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某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

中枢性めまいに対する椎骨脳底システムのCTアンギオ

Vertebrobasilar system computed tomographic angiography in central vertigo

Pasaglu L    2017  

(筆者は医師で放射線技師らしいです。なので画像の撮影についての話が多いです)

 

概要

 めまいの発生率は人口の20-30%と言われ、その1/4のケースは中枢性のめまいである。本研究の目的は断層撮影血管造影法(以下CTA)を用いて脳梗塞ではない中枢性のめまいにおいて、椎骨脳底動脈システムを見出すことである。

本研究ではめまいの患者さんに対してCTAやMRIを用いて評価した。既往歴、身体検査、耳科や神経学的なテストから、中枢性めまいの疑いのある129名の患者(MRI脳梗塞は否定)が本研究に参加した。コントロール群として、めまいは無いが似たような脳血管疾患のリスクファクターをもつ120名の患者が参加した。椎骨動脈と脳底動脈の直径、形成不全、椎骨動脈の出口側の変化、椎骨脳底動脈のねじれ、50%以上の狭窄の有無がすべての患者において検査された。

 めまいのある群では、椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄が高頻度でみられた。めまい患者のうち78名(60.5%)に50%以上の狭窄があり、そのうち54名(69.2%)はV1に、9名(11.5%)はV2に、2名(2.5%)はV3に、13名(16.6%)はV4に狭窄がみられた(V1-V4の分類は後述)。めまい、コントロールの両群において脳底動脈の形成不全と50%以上の狭窄の保持率は同程度であった。

 

 

 

めまいの発生率は20-30%と言われている。耳科的要因、中枢、体性感覚、視覚の要因が目眩の原因となり、中枢性のケースは1/4である。半器官、球形嚢、卵形嚢と前庭神経が末梢の前庭システムを形成する。前庭核、小脳、大脳脚、脊髄、前庭皮質が中枢の前庭システムを形成する。中枢性のめまいは、失調や構音障害、複視や視覚障害弱視といった神経学的な症候を伴う。中枢性めまいは、既往歴、神経学的なテストや画像診断によって末梢性のものと区別することができる。中枢性のめまいによくある原因として、椎骨脳底動脈の機能不全、脳卒中、一過性脳虚血、偏頭痛、多発性硬化症、後頭蓋窩腫瘍、神経変性疾患、薬物、精神状態等があげられる。

 小脳や大脳脚に関連する中枢性の目眩はMRIを用いた多くの研究で示されている。しかしながら、梗塞ではない中枢性のめまい患者に対して、CTAを用いて椎骨脳底動脈の変化を調査した研究は無い。CTAとMRAは椎骨動脈の50%以上の狭窄を見出すのに高い感度と特異度をもつ。本研究では、脳卒中のない中枢性の目眩を椎骨脳底システムに対するCTAから調査することである。

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V1・・・椎骨動脈の根元からC5,6頸椎の横突孔まで 

V2・・・C5,6の横突孔からC2まで

V3・・・C2横突孔から硬膜まで

V4・・・硬膜から脳底動脈になる合流地点まで

 

結果

全249名、うち129名がめまいあり群(36-85歳, 平均59.8歳)、120名がコントロール群(31-81歳, 平均62.2歳)であった。

 右の椎骨動脈の平均径

  めまい群3.72±1.15mm コントロール群3.94±0.9mm

 左の椎骨動脈の平均径

  めまい群3.97±1.1mm コントロール群4.18±0.8mm

  脳底動脈の平均径

  めまい群3.33±0.6mm コントロール群 3.44±0.7mm

それぞれ、めまい群の方が平均径が小さかったものの、統計的には優位差はみられなかった。

 

椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄については、めまい群で明らかに高かった。78名のめまい患者には50%以上の狭窄があり、54名(69.2%)はV1に、9名(11.5%)はV2に、2名(2.5%)はV3に、13名(16.6%)はV4に狭窄がみられた。

解離性動脈瘤、線維筋過形成は両グループでみられなかった。めまいのある8名は50%以上の狭窄を伴う椎骨動脈の形成不全がみられた。8名のうち5名には経皮的血管形成術やステント留置が行われ、3名は血管内治療は希望しなかった。コントロール群では形成不全や狭窄は認められなかった。78名のうち5名は両側の狭窄があった。

 左の椎骨動脈は動脈弓から出るが、めまい群では9.3%、コントロール群では7.5%が鎖骨下動脈から出る変異がみられたが、統計学的には有意差はみられなかった。

 めまい群では9名はV1のねじれがあり、17名は脳底動脈のねじれがあった。コントロール群ではそれぞれ8名、13名で統計学的な有意差はなかった。

 

 

考察

 椎骨脳底動脈疾患の最も多い原因はアテローム動脈硬化である。椎骨・脳底動脈の狭窄はアテローム動脈硬化の2次的なもので、椎骨脳底動脈の機能不全と後方への循環障害をもたらす。めまい、失調、構音障害、複視、視覚障害が椎骨脳底動脈の循環障害でみられる。本研究では、めまい群においては椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄が原因として考えられた。1側の椎骨動脈が正常な循環をしていれば、脳底動脈へは十分に供給できるが、もし両側の椎骨動脈の狭窄や閉塞がある場合には何か介入が必要である。薬、血管内、外科的な治療があり、薬では抗血小板療法や抗凝固療法が考えられる。外科治療は技術的に難しいためあまり考えられない。

アテローム性動脈狭窄は椎骨動脈起始部にもっともよくみられる。椎骨動脈の頭蓋内部分においては、狭窄は椎骨と脳底の結合部に最もよくみられる。他によくみられる部分としては、右の後下小脳動脈の分岐部前で硬膜侵入部の遠位である。椎骨動脈起始部の狭窄のある患者は、椎骨脳底動脈の虚血性疾患に高いリスクをもつ。

 椎骨・脳底動脈狭窄疾患では、TIA脳卒中がみられたり、TIAや微小梗塞後の梗塞のリスクが高くなったり する。ある研究では、椎骨動脈の狭窄があり、椎骨脳底動脈由来のTIAや微小梗塞のある患者では1ヶ月以内の脳梗塞のリスクが30%あることが明らかになっている。

 本研究では、めまいの患者では椎骨動脈の形成不全がよくみられた。他の文献では椎骨動脈の形成不全と後方への循環障害が脳卒中と高い相関があることが報告されている。本研究で脳卒中がないにも関わらず、めまい群で椎骨動脈の形成不全がみられた点が非常に重要である。椎骨動脈の形成不全は、小脳や大脳脚の血流不全からめまいを引き起こす。椎骨動脈の形成不全があると、脳底動脈の形成不全もある可能性が高いことが報告されており、これも後方循環の虚血をもたらす原因となる。1側の椎骨動脈が正常であれば脳底動脈の血流は保たれるであろうが、両側に問題があったり、1側の形成不全と反対に狭窄があれば後方循環の十分な血流が阻害されてしまう。

 これまでに、脳底動脈の狭窄がめまいの発症と関連があるだろうと報告されていたが、本研究ではその可能性は低いことが明らかとなった。近年では、椎骨動脈や脳底動脈のねじれが、めまいとの関連があると報告されている。椎骨動脈のねじれは、頭の位置を動かす際の機械的な圧により引き起こされ、結果として虚血をもたらす。脳底動脈のねじれが、閉塞やアテローム動脈硬化症の原因となり、ねじれた血管の遠位への血流を阻害することが報告されている。本研究ではめまい群とコントロール群にねじれについては有意差はみられなかった。

 めまいの診断は難しいが、詳細な患者の既往歴、身体検査、神経―耳科学的なテスト、画像診断が有用である。深刻な急性めまい症のケースでは、MRIによる後頭蓋窩梗塞の検出が有用で、前庭神経炎と鑑別することができる。造影MRAでは、心パルスや呼吸によるアーチファクトから椎骨動脈起始部の偽狭窄を描出してしまう。CTAではこのアーチファクトの影響を受けづらいため、我々はCTAをお薦めする。

 

 

以下個人的な考察

考察が結果とほとんど一緒で考察じゃない気が・・・

 

 

以前に金沢へ教えに来てくれたアメリカのPTの話では、

アメリカではめまいに対して理学療法士が徒手でアプローチするらしいのですが

日本では耳鼻科の先生がやってますね・・・

 

私もアプローチの1つとして、頸椎へのアプローチ(もちろん評価あってですが)を行うことがあります。

上位頸椎ばかり重要視していましたが、めまい群ではV1の狭窄が多いとのことから

胸郭〜C5,6へのアプローチも大事になりそうですね。

 

来週は旅行先からの更新になるので更新できるか不明です(つд⊂)