某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その1

なんか毎度毎度長くなってしまうので、何回かに分けてみようかと思います。

あと、周囲の方が興味を持つ部分と、自分が興味持つ部分があまりかぶらないのでとりあえず全部訳してましたが、

自分が興味ある部分だけ訳してみればいいかなと思い、結構省略してこうかと思います。

 

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q   IF: 5.6

 

概要

 消化管は多細胞生物の器官のシステムで、食物の摂取、消化、吸収し、その後無駄なものを排泄する。複雑な神経の配列や補助細胞が、消化管の上端や下端を例外に通常潜在意識に登る感覚運動装置として貢献する。しかしながら、傷に対する意識的な感覚を提供している可能性もある。この機能は保護のためのものであるが、特に慢性的な機能不全にある際にはこのシステムは重度な(精神の)病的状態へと導きうる。胃腸の侵害受容、不明な慢性の内臓痛のコンディションの解剖学的、分子学的基礎や治療の発達について本レビューで紹介する。

  

 

本レビューは、基本的な科学か臨床的な視点から特に、科学が臨床に知らせる所、そして、体性痛覚との重要な違いがある所といった点にほとんどの興味を置いている。タイトルにあるように、本レビューは可能な限りヒトでの研究に着目しているが、必要に応じて実験動物を用いた結果からも引用している。

このレビューは基礎から臨床への課程の基礎として以下の構造を整理する。

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節的影響(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

(以上の5項目を分けて記載していきます)

 

1)消化管侵害受容の解剖学的基礎について

 内臓感覚は迷走神経由来と脊髄神経由来のものがあり、詳細を複雑にしている。特に後者は重要視されており、奬膜の侵害受容の認識を複雑にし、痛みの伝達に貢献しているからである。内臓の感覚を伝える神経は迷走神経と脊髄の内臓神経にわけられ、脊髄の内臓神経はさらに内臓と骨盤の求心性線維にわけられ、それぞれ交感神経と副交感神経に分けられる。これら神経は消化管壁のすべての層に停止し、大部分はミエリンのないC線維でわずかにミエリンのあるAδ線維である。一般的に迷走神経は侵害受容の役割に関しては脊髄由来のものよりも少ない。

 脊髄の内臓神経は内臓の神経線維の10-20%で、奬膜、腸間膜接合部をふくむすべての消化管壁に剥き出しの神経終末として投射する。脊髄由来の機械感覚求心線維は3つのグループに分類される。

A)基本的なもの

 休息時にも基本的なレベルで活動し、低い閾値で消化管壁のテンションを向上させる

B)高い閾値のもの

 休息時の活動レベルは低く、有害な拡張テンションが働いた時に活動する。

C)サイレント受容器

 炎症反応が起きた時のみに活動する。

 

内臓求心線維は脊髄に入る求心性情報の7-10%を構成するだけだが、レクセドの層Ⅰ,Ⅱ,Ⅴ,X層の広い範囲に分布する。交感神経の遠心性線維はT1〜L2の間がよく関わっている一方で、このレベルの求心性線維は様々な器官の広い範囲のDRGを横切って広がっている。結果として内臓に繋がる脊髄の求心性線維の細胞体はC1(食道)〜S4(直腸と膀胱)間に存在する。この内臓に配置された細胞体は相対的に小さく、内臓痛の局在性があいまいである原因かもしれない。

脳へと投射する2次ニューロンは脊髄網様体路、脊髄中脳路、脊髄視床下部路、脊髄視床路を通る。このうち前者3つは無意識下での情報を送り、内臓感覚入力や感情やふるまいの変化に自動的に反応する。後者は意識下で視床の核を介して体性感覚をS1,2皮質(外側疼痛システム)、前帯状回(内側疼痛システム)、島へと送る。外側疼痛システムの主な働きは刺激の強さと位置を知ることで、内側疼痛システムは疼痛に対する感情を調整し、刺激に対する自律的な抑制下降路となる。島や前頭前部皮質といった領域は感覚の統合に重要な役割をもち、自動的な内臓の働きや行動反応を高度にコントロールする。

 脊髄の後角にあるいくつかのニューロンは体のどの部分に加えられた侵害刺激であっても、活動を強く抑制されてしまう。この神経生理学的現象は旧来からの臨床的な症状である、急性の嫌悪刺激が慢性的で再発する痛みを一時的に和らげる「誘導刺激」の基盤となっている。慢性の腹痛患者は、このシステムを活性化させることで知られる「足を氷水に浸す刺激」に付随して直腸の痛みに異常な知覚反応と脳の活動パターンを示すことがあることが報告されている。ネコを用いた内臓痛モデルの研究では、こういったニューロンが痛みの局在をアシストする求心性情報を精錬させていることが明らかとなっている。

 

骨盤神経について

上部消化管は迷走神経と脊髄神経の2重支配を受けるが、下部大腸と直腸は内臓ニューロンからは解剖学的に独立し、仙髄の投射と似た神経支配をうける。約1/3の骨盤神経は求心性線維で、主にAδとC線維である。

 

侵害受容における迷走神経の役割

約5万の迷走神経求心路(うち98%はミエリンなし)が消化管に供給されている。脊髄の求心路とは異なり、迷走神経はほとんどが低域値線維からなり、一般的な常識としては迷走神経は生理学的に害のない刺激(満腹、吐き気など)のセンサーと考えられている。広範囲の化学と浸透刺激に対する化学的受容器としての働きがメインの役割だが吐き気や嘔吐といった不快感覚の調整や、病気の際のサイレント受容器による炎症調整にも関わる。

 迷走神経求心路はその細胞体を下迷走神経節にもち、そこから脳幹へ投射し孤束核に終末をもつ。これらのニューロンは一方で(ほとんどが橋結合腕傍核を経由して)視床へと投射し、それから「内臓感覚神経マトリックス」として描出される特定の皮質エリアへと投射する。加えて、迷走神経求心路は直接視床下部扁桃体、中脳水道周囲灰白質、青斑核といった部位へも繋がり、感情、自律神経や行動反応を調整する。

 

 

腸神経システムの侵害受容における役割

 5億の神経細胞の約20%が化学的、機械的刺激に対する蠕動運動のような局所反射の求心性神経枝に関わる。混乱を避けるため、これらのものは固有感覚ニューロンというよりも固有一次求心性ニューロン(IPANs)として記載する。形態学的にはIPANsはDogiel type2の姿をしている(Dogiel細胞については http://www.nanbyo-study.jp/?page_id=2079 こちらのページがわかりやすかったです)。IPANsはダメージを感じ、消化管から生体/毒性化学物質を追い出す局所的な強い反射を調整することで有害な管の状態に応答する。

 

ここまでの要約

・消化管侵害受容はほとんど全てが脊髄内臓求心路によって調整される

・特に腸間膜や奬膜への脊髄の神経終末といった化学的―機械的受容器のコンビネーションは、重大な弛緩や虚血によって起こる急性の疼痛を調整する。粘膜への終末はおそらく炎症状態に起こる感作の後に重要な働きを持つ。

・迷走神経と固有求心路の役割は、独立して、または組み合わさって痛みの伝達に関わることが注目を浴びている。

 

 

 

以下、個人的な考察

 

 

皮質に入る感覚は皮質の活動に影響し

網様体に入る感覚は網様体の活動に影響し

中脳に入る感覚は中脳の活動に影響する

 

 

という考えからすると

脊髄網様体路、脊髄中脳路、脊髄視床下部路を通るということは

内臓の状態が網様体、中脳、視床下部へ影響をもたらすということで

 

姿勢制御や反射にも関わってくるってことですかね。

 

 

サイレント受容器はもともとが関節でみつかった受容器で

炎症状態にある関節は正常とは感覚受容が異なることになるんでしょうね。

 

Dogiel細胞についても知らないことばかりだったので新しく勉強していきます。

 

これくらいの長さだと読み直すのも楽でいい!これくらいでいきます。