某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

運動における半球の非対称性

Hemispheric asymmetry of movement

KY Haaland, DLHarrington   IF 6.1

 

  

我々が日々行なっている複雑で卓越した動きは、強さやスピードといった運動の基本となる要素に依存するが、それだけでなく、計画、自己モニター、運動の修正に必要なより高いレベルでの認知機能にも依存する。神経解剖学、神経生理学、神経行動学、神経イメージング研究により、これらのスキルが大脳皮質や皮質下構造を含む神経システムの相互作用のよるものであると示されている。

 

複雑な動きをコントロールする際の大脳半球間の違いの研究は、基本的に1側の半球が障害された脳卒中患者を用いて行われる。ほとんどの研究において、同側の運動では複雑な運動スキル実行の際に左半球が優位であることを示した。これらの発見は、タスクにおける認知―運動の必要性や左半球がこれらの運動をコントロールする際に関連する皮質エリアの主要な役割にあるものである。

 

さらに最近では、ファンクショナルイメージング研究では、神経学的に無傷な人々を集める方法を用いることで、脳卒中患者から正常な脳機能を推察するという方法で生じうる問題を避けることでこれらの問題に対応しつつある。これらのアプローチは、認知―運動の必要条件は行動測定により定量化され、全脳イメージングと一緒になることで我々の半球の運動の非対称への理解を改善するかなりの見込みがある。

 

ここでは、左半球によって差次的にコントロールされる動きを観察してみると、運動に関連した半球は非対称のパターンを示すことをレビューする。同側運動コントロールを説明する最も信頼できる2つ―運動の認識や同側の皮質脊髄路の活性化に関連する左右半球の関連するエリアの様々な活性化―についても説明されるだろう。ファンクショナルイメージング研究は運動コントロールの半球非対称についてもまた説明するだろう。 

  

右半球、左半球からの同側運動コントロール

 それぞれの手の半球のコントロールは対側の一次運動システムに強く影響され、特に遠位の筋で強い。半球のダメージにより、同側領域よりも反対側領域の障害が強いことに疑いの余地はないが、右利きの患者を用いた多くの研究では、一側の半球のダメージが同側の四肢においても同様に障害されることを報告している。その同側運動障害のパターンの違いは、運動の認識の必要性にあるようである。

 

 

ほとんどの研究において、同側ではなく対側が認知―運動の必要性が最小な単純作業において欠損することを示してきた。右または左半球の障害後、認知、感覚―運動の統合が必要なより複雑なタスクにおいて同側でも同様に障害されることが報告されているため、暗に両側の半球が関わっていると考えられる。左ではなく右半球のより大きな障害後、一般的ではないものの同側の障害があり、タッピング速度の低下や目的とした動作の開始が遅くなることが報告されている。しかしながら、左半球障害後、同側の運動障害(例:外的なペースでの速いタッピング、四肢の失行、バリズム様運動、運動順序障害)がより高い頻度で見られ、このことから左半球は少なくとも右利きにとってほとんどの運動面の認識のコントロールに優位であることが示されている。

 

左半球は認知―運動プロセスの計算に関連し、そこには運動プログラムの構築や保管、感覚フィードバックを利用し運動を観察・修正、運動プログラムを連続した動きにするための選択や修正といったことを含む。一方で、全てではないものいくつかの研究においては右の半球は閉ループコントロールに特別な役割を果たし、目的とする運動の正確さや軌道の修正を実行すると報告している。

 

運動における同側障害は、ダメージを負った同側の皮質脊髄路の問題というより、タスクにおける関連する皮質エリアを動員した認知―運動における必要性に関連するものである。この説明は好ましいものであるが、それは同側の障害は左半球で右半球よりも頻度が高く、運動タスクの増加に伴う認知の増加を必要とするためである。しかしながら、領域研究では半球内の領域と認知―運動パフォーマンスの関連性を系統的に説明できていないのが現状である。

 

アームリーチにおける半球の運動コントロール

 左半球は右半球よりも腕のリーチング動作において特殊であるが、この不一致のメカニズムを説明するには意見の相違がある。ある研究者達は、左半球のダメージは開ループプロセスを障害するため、運動のプログラムやフィードバックメカニズムの修正なしに実行されると提唱している。閉ループプロセスは感覚フィードバックに依存し、左半球障害後には問題ないようである。しかし、別の研究者達はこれと論争をおこしている。これらの不一致はタスクにおける認知―運動の必要性が異なる、題目の特性が異なる、開ループと閉ループの定義が異なるといった多くの要因に起因しているようである。

 

近年の研究においては、開ループコンセプトは左半球の優位性を考慮するにはあまり有益でないようである。運動学的な解析では、左半球のダメージは、運動の振幅が増加した際に最適な運動速度を選択し、実行する際の問題に関連する。この発見は、開ループの説明とは矛盾する視覚的なフィードバックの利用には影響されない。より大きな振幅の運動の実行は、より大きな力が正確性を維持するのに必要で、認知―運動の複雑さを増加させるため不安定となるかもしれない。

 

観念運動性失行症の半球コントロール

観念運動性失行は、親しんだジェスチャーの実行が時空間的に傷害される特徴があり、筋力低下、失調、感覚低下、失語、その他認知障害はみられない。臨床的には、ジェスチャーの実行(例:歯を磨く動作)によって評価され、右半球よりも左半球障害の方がより高い頻度でみられる。最近では、これらの障害は頭頂葉が障害された四肢の失行患者の、スライスするジェスチャーを実行する上品な運動学的研究によって記載された。コントロール群の人々と比較すると、失行症患者の「パンをスライスする」能力は運動の平面において正常ではなく、スライスするジェスチャーはチョップする動きに変わってしまった。加えて、速度と軌道の形状と複数の関節に及ぶ運動の協調の関連性は歪んでいた。運動の時間空間的障害は運動プランと、様々なプランを繕い、組織する必要性があるプロセスの分解に原因があった。

 

これらの障害が失行に特徴的であることを確実にするため、運動学的な解析が失行のない左半球障害の患者で行われる必要がある。この対照群の重要性は、手の肢位の連続性の研究により協調される。左半球損傷で失行のない患者が連続した動きをコントロールする際に、失行と同様の障害を示す。

 

 

半球の連続性のコントロール

一側の脳損傷

運動の連続性の障害は左よりも右半球損傷でより報告が多いが、多数のメカニズムがおそらくそこには存在する。ある研究では、これまでの報告のように左半球が連続性の障害を示し右半球では示さないとしたら、左半球損傷で失行のあるおよび失行のない患者のある種の手の形を連続させる能力を研究し、障害は四肢失行に特徴的なものあるか、左半球の役割として一般的なものであるかどうかを調査した。失行のあるまたは失行のない患者は繰り返し手の形を調整する検査で正常な反応であった。失行の患者のみで、様々な手の形を含む連続した動きの非正常なパターンを示した。反応時間のパターンから、失行群はより高いレベルの反応へと運動を解剖し、組立てる連続の特性を利用する能力を示さないことを明らかにした。重要なのは、より進歩したプランニングにおけるこれらの障害は運動の実行に影響をもたらすことである。

 

この連続性のタスクにおいて空間的な能力が必要なのにもかかわらず、神経生理学的テスト上、視空間障害を示した右半球損傷のパフォーマンスは正常であった。これは、連続した運動の準備は運動システムの表現と、左半球に大きく依存しているということが示された。また、全てではないもののこれらのプロセスは観念運動失行の患者ではっきりと障害された。

 

ファンクショナルイメージング

いくつかのファンクショナルイメージング研究において、2つの半球間の同側運動中の活動について研究・比較されている。あるひとつの研究以外は左半球が右半球よりも同側運動の際の活動が大きかったと報告している。これらの研究の2つにおいて、母指とその他の指の連続した対立運動時の半球の非対称性を調査し、左半球が右半球よりもはるかに大きな同側性の活動を示したが、これは右利きのみ対象としたものである。1つの研究が運動皮質のみを研究し、他は全脳を研究したが、両方の研究において左の運動皮質の活動は右の運動皮質よりも活動が大きく、全脳を研究したものにおいては、運動皮質以外の他のエリアにおいては非対称性は示されなかった。

 

これらの結果は脳損傷の患者によって得られたものではあるが、左半球の優位性は皮質の関連エリアにおいて運動皮質よりも非対称性は大きかった。母指と他指の対立タスクでみられた非対称性は運動皮質でみられ、他の運動関連エリアではみられなかったという事実から、左の運動皮質は単純なタスクにおいてより重要な働きをもつことが考えられる。これは2つの筋の同時収縮や共同筋の収縮といった運動のパラメータを調整する役割がある。これらの連続した運動タイプは補足運動野を両側性に活性化させるが、母指と他の手指の対立運動においては活性化させない。

 

同側の活性における半球の違いは、右(利き手)か左(非利き手)の運動タスク実行の違いにも関わる。電気筋電計をもちいたある研究では、左手の運動をする際に右手に隠されたミラー運動の発生が見出され、両側の運動皮質の活性がみられた。それゆえ、左半球でのより強い同側の活性は、半球の優位性というよりも右手のミラー運動を反映しているのかもしれない。これは半球の非対称性を解析するのに混乱させる要因となりうる。

 

運動皮質からの同側の出力は同側のコントロールにかかわるだろうか?

 皮質脊髄路を通じた同側の運動投射の影響はよく考えられなくてはならず、特に似たような同側の障害は右または左半球の障害後にみられ、またファンクショナルイメージ研究による非対称な活性化は運動皮質に局在した。しかしながら、この説明は半球の非対称にはありそうもなく、なぜならば複雑な同側運動の障害された患者は、単純なタスクにおいては同側の障害がみられなかったためである。加えて、ヒト脊髄の病理組織学的な解析では皮質脊髄路の非対称が見出されており(同側の投射は大多数の患者で左半球よりも右半球からの投射の方が大きい)、これは上記の動作のデータとは反するものである。

 

同側の脊髄路投射は皮質脊髄路の10〜15%程度にもかかわらず、これらの投射は遠位よりも近位の筋群に影響する一方で、ある1つの神経解剖学的研究では同側の皮質脊髄路はほとんど遠位の筋群に投射すると強調している。それでもなお、動作の研究においては遠位のコントロールは近位のコントロールよりもはるかに重要性は低いことが示されている。これらの発見は同側近位の動きより遠位の動きに半球の非対称性が大きく関わることを予言している。しかしながら、ヒトの障害研究においては同側への影響は、近位と同等に遠位の動きに必要であると示している。ファンクショナルイメージング研究では、片麻痺からの回復の際に、回復した肢を動かす際に障害されていない半球の大きな活動が見られることを示している。

 

これらの結果は、同側の大脳皮質と遠心性運動経路は回復をサポートするのに十分であることを示している。不幸にも、この研究ではその回復に左右の違いは示されていない。これらの経路がどのように正常な運動機能に役立つのかははっきりしていないが、近年のfMRI研究では、運動皮質からの同側投射は相対的には小さな働きしか果たしていないとされている。前運動皮質からの同側投射の役割はまだ明らかとされていない。

 

結論

近年のファンクショナルイメージング研究では同側の運動の際に右よりも左半球の大きな活動を示している。将来の研究ではこの半球の非対称性が、動作の認識の必要性に関連するのかどうかを検討しなくてはならない。各半球のどのエリアがこの非対称性の原因になっているのか、またタスクにおける認知―運動の関連性を明らかにしていくことが重要である。

 

 

 

以下、個人的な考察

 

同側の運動経路は左半球が優位で近位の筋群で優位

 

でも遠位が優位っていってる論文もあって

病理組織学的には右半球からの投射経路の方が大きい

 

うーん。いろいろとわかってくると逆にわからないことがでてくるいい典型ですかね。

 

病理組織学的に右からの投射が大きいけど、実際のヒトを用いた研究では左からの投射が重要

 

投射経路が大きいからといって運動の複雑性にはかかわらないということなのか?

 

左の半側空間無視は右より重度になりやすいというのは

右脳は左右両方の空間を認識しているためという論文が昔あったのですが

そのことも何か影響しているのか

 

なにかこれまで常識として考えられていたことが実は間違っていた!というのがでてくれば解決するのかもしれません

 

とりあえずはよくわからんです。