某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

腰痛に対するスタビリティエクササイズ 最新版(2014)

An update of stabilization exercises for low back pain: a systematic review with meta-analysis

BE Smith, C Littlewood, S May 2014   IF 1.7

 

概要

 非特異的腰痛は原因や病気のはっきりしない腰痛であり、その生涯有病率は80%といわれる。時点有病率は12-30%でそのうち急性の90%は6週以内に改善する。しかしながら腰痛を初めて経験した人々の62%は1年以上も症状が続く慢性腰痛へと発展し、16%は6ヶ月病人リストにのせられる。イギリスでは、病院や理学療法治療等に10億ポンドものコストを強いられ、これは他の先進国でも同等に高いコストがかかっている。腰痛は労働人口の中で長期にわたる病気の原因となり、イギリス労働者では計年間6億2400万ポンドかかり、各年1億1900万もの労働日が失われている。

 イギリスにおいて、腰痛患者は日常的に理学療法を受ける。治療方法は様々で、脊椎のマニピュレーション、モビライゼーション、エクササイズ等が行われる。脊椎のローカル筋の活動やタイミングの障害と腰痛の関連性が報告されてきた。これらの筋の運動機能や不活動に対して再教育する治療的体操が開発されてきた。腰痛とこれらの筋活動、こうしたエクササイズ(コアエクササイズ)の効果のつながりには疑いが持ち上がってきたにもかかわらず、イギリスにおいては腰痛に対する一般的な理学療法学的治療として成長し流行した。

 MayとJohnsonによる2008年のシステマティックレビューによれば、スタビリティエクササイズは全く何をしないよりも効果があるが、他の運動よりも効果があるとは言えないとレポートされている。その後も様々なトライアルが実行され、報告された。Macedoらは2008年6月までに出版された論文を含めて報告しているが、スタビリティエクササイズは一般的なエクササイズよりも良いものではない。2012年、Wangらはシステマティックレビューを発表し、コアスタビリティと一般的なエクササイズには有意差はないと報告している。しかしながら、Wangらはコアスタビリティエクササイズを「不安定な面で行うエクササイズ」と定義しているため、より広く知られている筋活動とは異なっている。Bystromらは、スタビリティエクササイズは一般的なエクササイズよりもより効果的と報告しているが、彼らは腰痛を非特異的腰痛に限らずに行なっている。本論文では、様々な文献を比較し、コアスタビリティエクササイズが非特異的腰痛患者への他の代替治療と比較して本当に効果的であるかを決定することにある。

 

 

疼痛について

 22の研究、2258人の患者が痛みに対する治療をうけた。質の高い研究において、腰痛に対するスタビリティエクササイズは短期、中期、長期にわたって統計学的には他の代替治療や何もしないよりも非常に高い効果を示した。しかしながら、各グループ間においては臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)においては優位な差はなかった。(MCIDについてはこちら臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)とは?: EBPT雑記帳

スタビリティエクササイズと他のエクササイズにおいては短期、中期的に統計学的に優位な差が見られた。各グループ間の差は臨床的に優位な差ではなく、また長期的な効果については臨床的に重要な差はみられなかった。

 

機能障害について

 24の研究、2359人の患者が機能障害に対する治療を受けた。質の高い研究において、腰痛に対するスタビリティエクササイズは他の代替治療や何もしない群と比較して短期、長期的に効果があった。しかしながら、各グループ間の違いは臨床的に重大ではなく、中期的な効果には違いがなかった。

 スタビリティエクササイズと他のエクササイズには短期、中期的に統計学上重大な差があったが、臨床上は差がみられなかった。長期的には重要な差はみられなかった。

 

考察

 本論文の目的は腰痛に対するスタビリティエクササイズの効果の現在のエビデンスを評価することにある。結果、コアスタビリティエクササイズは他の代替治療や何もしなかった群と比較して臨床的に重要であるとは言えないものであった。

 腰痛に対するコアスタビリティエクササイズは、他の代替治療と比較して短期、中期的に非常に小さな効果しか認められず、臨床的に重要なレベルとはいえないレベルでしか変化がみられなかった。長期的には、他のエクササイズと比較して痛みや機能障害に対してまったく利点がなかった。スタビリティにトレンドは向かっているものの、結果として臨床的には重要ではなかった。

 特に心因性の腰痛に対しては、スタビリティエクササイズはエアロバイク、スリングエクササイズ、一般的なエクササイズと比較してより悪い結果となった。

 本レビューではスタビリティエクササイズは腰痛を改善するものの、他のエクササイズよりも優位ではないことが明らかとなった。また、心因性のものについてはより悪い結果となった。スタビリティエクササイズと他のエクササイズを組み合わせたものが、より良い結果をもたらすかもしれないが、本レビューにおいては、スタビリティエクササイズを推奨しないものとなった。

 

 

以下、個人的な考察

スタビリティエクササイズはあまり効果がない!

まぁ本来無意識下で働いて欲しいものを、意識的に練習したところで・・・ってところでしょうか。

特に心因性のものに関してはより悪いってのは、やってる感があまり無いからでしょうかね・・・

 

統計学的に優位な差はあったけど、臨床的には差がなかったってのはどういうことやら。

肘の屈筋の緊張が異常に高くて、肘の伸展ROMを改善したいと思った時に

肘の屈筋群を切断してしまえばROMは統計学的にはかなり改善するでしょうが

臨床的には意味がないという話をたまにするのですが

そんな感じですかね

 

 

はてなブログは簡単なアクセス解析がついてて、フェイスブックのリンク以外から来た方がどんな言葉を検索してここにたどり着いたのかでてきます。

検索してこられた方のほとんどは、

「足底 感覚」とか「足底 受容器」とか足のことを検索されているようです。

 足底の受容器について興味がある方が多いんですかね。

 

立位と足底の受容器に関する論文は昔翻訳したので

歩行時の足部の受容器の働きについての論文を近いうちに翻訳してみようかと思います。