某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

足底の個々の部位への皮膚刺激は歩行時の足の「感覚の操舵」として働く

Cutaneous stimulation of discrete regions of the sole during locomotion produces “sensory steering” of the foot

EP Zehr, T Nakajima, T Barss, T Klarner, S Miklosovic, RA Mezzarane, M Nurse, T Komiyama

2014

 

今回の論文はかなり勉強になりました。

図が重要なので、以下のURLをコピーして頭にhをたして

論文を見てみていただけたらと思います。

ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4158001/pdf/2052-1847-6-33.pdf

 

 

背景

 体性感覚フィードバックは環境と中枢神経システムの重大なコミュニケーション手段である。下肢には様々なタイプのレセプター(侵害受容、筋骨格機械受容器、皮膚および皮下機械受容器等)があり、動的な相互作用が存在する。これらすべてが歩行時には関連しあった役割を持ち、皮膚および皮下の足底反射経路の活動は、足部に加わる様々な圧を調整する皮膚の活動に特に重要である。

 感覚フィードバックの役割はヒトの歩行と複雑な機能的反射の調節を結びつける。反射は歩行時に機能的な役割を持ち、前後関係に依存した適切な振る舞いを行えるようにする。反射の振幅(感覚入力の役割)はタスク(立位か歩行か)、刺激強度(侵害受容かそうではないか)、運動のフェーズ(ヒールコンタクトか立位〜スウィングへの移行期か)といったことに依存している。歩行の精密な調節は足底の刺激された神経からの皮膚入力によって生じる。加えて、足底の皮膚からの”正常な”感覚の除去は金活動や歩行のメカニクスを変化させる。こうして、皮膚の求心性フィードバックはバランス調整をアシストし、スタンスフェーズでの足の位置を確実にさせる。

 皮膚の反射にははっきりとした神経や位置による特殊性がある。足背部、足部外側縁(腓腹神経)、足底部表面(脛骨神経)の活動は異なった反応性を示す。特に、足底のレセプターは私たちが歩行の際に地面を受容するための感覚器官である。マイスナー神経叢、メルケル盤、ルフィニ、パチニといったレセプターの高密度の集中によって、足底の皮膚はステップサイクル間の触覚の感覚が鋭い。

 触覚強度での脛骨神経の電気刺激により、スタンスからスウィングへの移行期に足部の背屈が強調される一方で、スウィングからスタンスへの移行期には足部の底屈が強調される。立位時の腓腹神経への非侵害刺激は足部の背屈と外反を増大させ、足外側部や踵付近ででこぼこな地形に立った際にバランスを崩すのを修正しようとする。

 非侵害性の皮膚反射が足背や足底を支配する3つの主な神経幹に関して研究されている一方で、近年ようやく足底の領域によって特別な効果があることが興味をもたれてきた。これらの研究は坐位または立位に限られており、また前足部内側、前足部外側、踵への刺激に限られていたが、足底の個々の領域によって起こる皮膚反射は明らかにヒトの足部筋反射の地図を生み出してきた。

 前足部への刺激はヒラメ筋と腓腹筋内側頭に抑制性の反応を発生し、前脛骨筋には興奮性の反応を示す。踵への刺激はこの反対の効果がみられる。第5趾のつま先から踵まで足底の外側縁への系統的な刺激は、このヒラメ筋と前脛骨筋反射の反転を足底の中足部周囲に発生し、以前明らかにされた腓腹筋や脛骨神経刺激よりも良い運動出力を提供する。

 前足部外側と踵への刺激は長腓骨筋への興奮性の反応を生じさせ、前足部内側への刺激は抑制性の反応を生じさせた。これらの結果は、触覚刺激は姿勢の不安定性を真似し、足関節の安定性を通して不安定な地面へ適応するために長腓骨筋の反応を調整することを示している。

 しかし、神経科学で中心となる原理では、神経機能は精巧にタスクに依存するものである。我々は立位や坐位で得られたデータから足部への刺激が歩行の際にどのようなパターンの反射を示すか保証することはできない。本論文の目的は、歩行時の足底領域への刺激が皮膚反射に及ぼす影響を調査することである。加えて、足底の特定の領域の神経機械的役割を決定し、歩行時に足部から入力される皮膚感覚の神経機械的な影響をより詳細にマップ化することである。

 本研究でテストされる仮説は2つある。1つめは歩行時に足底の個々の領域への皮膚刺激は、マップ化された個々の皮膚反射を生じさせることである。2つめは皮膚反射により形成される神経の応答と、足底の力や刺激された肢の運動学的な変化の機械的な相関があることである。

 

 

皮膚の刺激方法について  

 経皮的刺激は部分ごと足底の5箇所にランダムに行われた。踵(HL)、縦アーチ内側(M―M)、第5中足骨近位端(M―L)、第1中足骨頭(F―M)、第5中足骨遠位端(F―L)

 

 

結果

皮膚反射

すべての筋の反射のフェーズ依存性の平均化したデータは図4の通りである。データはすべての参加者の全ステップサイクルで刺激を加えた際の平均を表している。

 

 歩行の際の特定のフェーズに着目すると、惹起された皮膚反射の違いが、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に歩行サイクルの中で広範囲にわたって見出すことができる。他の筋では、刺激による違いは典型的には観察されなかった。三角筋後部、大腿二頭筋、外側広筋、中殿筋については歩行の2フェーズでのみ(外側広筋、三角筋後部は1のみ、48フェーズ中)刺激した側に主な効果がみられた。この結果から、前述の3つの筋が足首周囲では劇的に効果がある。

 図4では部分ごとの足底刺激によって長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に現れた結果を示している。

 図5では歩行周期フェーズ1とフェーズ9での各足底部位に刺激を加えた際の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動を示している。例えば、フェーズ1での腓腹筋内側頭の反射はHLへの刺激で促通され、F-Lで抑制される(矢印)。似たように、フェーズ9での長腓骨筋の反射は、F-MとM-Mでは反対で、TAに対してのHLとF-Mも反対である。次に、刺激下の状態で筋を比較すると、反射の効果は指定された筋によるものである。例えば、F-M刺激への反応はフェーズ9で長腓骨筋(促通)、腓腹筋内側頭(効果なし)、前脛骨筋(促通)である。次に、フェーズ毎の筋と刺激部位の比較では、明らかにフェーズによって反応が異なることがわかる。例えば、F-M刺激をした長腓骨筋はフェーズ1では抑制、フェーズ9では促通である。

 図6では長腓骨筋のフェーズごとの各刺激部位による反応の違いを示している。図に示されているように、長腓骨筋は刺激部位とフェーズの相互作用によって反射が変化する。長腓骨筋はスタンスフェーズでF-MおよびF-L刺激によって(フェーズ1,3,4,5)お互い常に有意差がありM-MとM-Lは立脚中期(フェーズ3と4)でお互い有意差がある。スウィングの間(フェーズ9)では、遠位(M-L、F-M、F-L)と近位(HL、M-M)で有意差がある。

 

腓腹筋内側頭の線維はアキレス腱内でParsonsによって1894年に描写されたように、踵骨外側を走行する。図7に示したように、腓腹筋内側頭の反射はフェーズと刺激部位が重要であるが、相互作用は重度ではない。フェーズ1では神経刺激部位によって大きな差がみられた。腓腹筋内側頭ではHLでの刺激は特にスタンス時、他の刺激部位とはことなることが分かった。

 

前脛骨筋については(図8)フェーズと部位の重大な相互作用がみられた。ステップサイクルのフェーズの5つで神経刺激部位による大きな違いがみられた。3つ(8,9,11)はスウィング中で2つは移行期(フェーズ12)とスタンス(フェーズ1)であった。スウィングフェーズ8,9,11ではF-Mへの刺激はM-M以外のどの部位への刺激とも異なる結果であった。M-MやF-Mといった内側への刺激は移行期(フェーズ12)の前脛骨筋を促通させた。

 

力検出について

踵部の力検出は図9、内側部は図10、外側部は図11.

 

 

足部の内外反

 足部の内外反についてはフェーズや刺激部位に重要な効果がみられ、またその相互作用についても影響される。刺激が足部の内外反におよぼす変化については図12にまとめてある。足部内外反の重大な変化としてはスタンス時(フェーズ2)とスウィング時(フェーズ9-11)にみられた。

 スタンスの間、M-Mへの刺激は外反を減少させ、HLやM-Lとは異なった結果となった。スウィングの間はF-Mのみ他のものと異なった結果となった。外側への刺激(M-L、F-L)は内反を減少させ、内側への刺激(M-M、F-M)とは反対の結果となった。

 

足部の底背屈

 底背屈については図13にまとめた。部位による違いはスウィングの際に顕著で、フェーズ9-11の間足部の内外反の効果も大きかった。スウィングの際の底背屈はF-Mへの刺激が他のものとは異なっていた。HLへの刺激はスウィングの際の背屈を減少させ、フェーズ9-11での底背屈も減少させた。

 

 

考察

本論文では、足底表面の5つの部位について非侵害性の皮膚刺激を加え、その反応について部位およびフェーズ依存性に歩行の適応が変化するかどうかを検討した。その結果足部の各部位への皮膚入力が、歩行の際には足底の求心情報と神経機械的な機能の結合により足部の安定性と強調をもたらすことが示唆された。運動学的な機械的変化はほとんどがスウィングで、力の面での運動学的変化はスタンスの際に見出された。

 

 

歩行周期による神経機械的表現

 統合された神経機械的な応答の機能的解説は下記の通りで、歩行を4つの機能的なフェーズにわけると(スタンス移行期、スタンス、スウィング移行期、スウィング)はっきりした反応が見られる。

 

 

スタンス移行期

 スウィングからスタンスへの移行期において、刺激部位依存性の特徴としては、前脛骨筋の活動と、踵への力に大きな影響がみられた。スタンスへの移行期では踵への刺激は踵への負荷軽減へと働く。機能的には、踵への非侵害性皮膚入力は前脛骨筋の活動を増加させ外返し(?)を促通し引きずったり躓いたりするのを防ぎ、立脚肢のすみやかな荷重応答を可能とさせる。スウィングからスタンスへの移行は地面への接触が予期され、踵刺激からの触覚入力は、踵接地の開始を強調すると解釈される。これらの観察はスウィング後期での脛骨神経刺激の研究結果によっても支持され、底屈によって特徴づけられる位置応答の形成を行う。

 踵よりも遠位の刺激の効果としては、でこぼこした地面へ荷重が増加する際の立脚肢を調整すると予測され、以前の研究では、歩行の立脚時の腓腹神経刺激が背屈と外返しを誘発し足部外側縁や踵付近にそってでこぼこした地面に適応できるように調整すると報告されている。M-MとF-Mへの影響を考えると、以前の論文では脛骨神経刺激で底屈が報告されており、腓腹筋と前脛骨筋活動の反射逆転がおこる境界が中足部の近位側に存在することが示されている。この境界は足底の外側縁にそって存在するが、内側縁を反映するものでもあるようだ。座位や立位でのアイソメトリックな収縮時の踵への刺激は、それぞれヒラメ筋への興奮性の反応や前脛骨筋への抑制性の反応をおこし、前足部内側や外側への刺激はその逆の反応を示す。これらのことは、F-MやF-L刺激の後前脛骨筋の促通が起こることを支持しているだけでなく、M-M刺激は反射逆転境界線が中足部周辺にあることを支持している。M-MやF-Mの効果はこうして単に脛骨神経の内側足底枝の活性からおこる反射を反映したものである。

 ヒールコンタクトでは、F-Lへの刺激は、M-Mへの刺激時の力の減少に比較して内側への力の重大な増加を示した。これらの効果は足底の縁に反対する触覚入力の増大に応答したバランスの回復や足部の安定化の結果かもしれない。NakajimaらはF-L刺激後の内側への荷重の減少は、外側の足底縁に沿った刺激が足部の外返しを促通するというエビデンスを提供している。この解釈は、このフェーズにおける長腓骨筋が広範囲にわたって促通される機能的感覚を作り出している。

 

 

スタンス

 スタンス初期に加えられた刺激の劇的な効果としては、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動や内側および外側の力、足部の内外反に変化をもたらした。踵への刺激を考えると、踵や脛骨神経への刺激は底屈をもたらし、外側への荷重の増加は、単にでこぼこな床面を受容する反応のための前足部の荷重の増加を反映している。加えて、内返しは最も内側の中足部を除いたすべての刺激で惹起された。ヒールコンタクトや立脚初期の間、踵への皮膚刺激から起こる反応は踵への圧の不均衡を是正するための反応で、運動出力の変化は前足部への圧を増加させることで立位肢のバランスをとろうとしているものと考えられる。これは内側への刺激で前脛骨筋(背屈・内返し)が促通されることや、外側への刺激で長腓骨筋(背屈・外返し)が促通されることにも反映されている。

 長腓骨筋や腓腹筋内側頭はスタンスの間、内側の足底圧に変化が起こることに強い影響があることが示された。M-LおよびF-L刺激の両方とも足底の内側への荷重を増大させることから、安定した荷重から不安定な面に応答し、バランスを改善させることを示している。これらの効果はNakajimaらにも支持されている。F-L刺激と比較して、M-L刺激後により大きな出力が起こるのは、身体質量中心が前足部よりも前にでる立脚後期に、中足部よりも前足部により大きな安定性をもたらすことを示している。

 

 

スウィング移行期

 スウィング移行期(フェーズ7)とスウィング初期(フェーズ8)では、部位依存性の効果は最も控えめであった。外側・遠位への刺激は長腓骨筋の活動を反映している。前脛骨筋は部位依存性の重大な影響を示し、底背屈や内外反はステップサイクルのこのパートをコントロールする主要な変数である。これは踵部分や外側、内側に加わる力を反映している。全体的な印象として、スウィング移行期では、足底部位の刺激はあまり特別な役割をもたないようである。

 

スウィング

 スウィングの間(フェーズ9-11)長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋は部位特異的な効果をみせた。前足部への刺激はすべての3筋を促通し、内側および近位側では外返しを、その他部位では内返しを発生させる。興味深いことに、踵部への刺激は底屈を起こす。

 

足底の個々の活動は、歩行の際の足の動きの「感覚の操舵」を行う

 Nakajimaらの研究では本研究を支持するものであり、足底からの反射により姿勢に影響すると報告している。足底への刺激によって惹起される神経的、機械的な機能的機構は、電気刺激によって混乱する足の動きをチューニングする役割をもつ(これを我々は感覚の操舵と呼ぶ)。

 図14に示したイラストでは、足底の活動が「感覚の操舵」反応を示し、足首の軌道や足底の圧を変化させることで機械的に現れている様子を示している。感覚の操舵の機能的な結果は、足の位置が障害物をかわす際の足の軌道をガイドしている。

 我々の触覚刺激強度であればどのケースであっても、神経機械的な結果が動きとして見られ内外方向(図14A)、近遠位方向(図14B)、足の斜軸(図なし)は刺激の位置に依存している。

 

 

足の刺激領域に対する方法論について

 今回行なった研究と、これまでに行われた研究で使用された全神経刺激の、歩行の際の足の領域の刺激の方法については大きな違いがある。スタンスの間、足の刺激電極に対して全体重がかかることで、スウィングの際よりも大きな圧がかかるが、神経刺激の際にはこのようなことはおこらない。これを相殺するために、我々は薄型電極を用いて、足底板の形状で2つの接着面で足底からずれないようにした。インソールがスウェイの間にずれてしまうことを心配したが、この接着を使用することが非常に効果的だった。我々は刺激閾値を5つの刺激点で3つのコンディション:立位(スタンスを真似)、坐位で足面は床についている(部分荷重を真似)、非荷重(スウィングを真似)で刺激出力を決定した。スウィングの際の反応(非荷重の状態を表す)はスタンスの際(荷重状態)の活動をこえる。(図4の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋参照)

 

 

結論

 我々の研究では、足底の皮膚神経は高く組織化されており、ヒトの下肢には地形学的な反射効果があるということを支持するものであった。部位とフェーズ両方の依存性が運動学的な反応が足底に発生する力の変化としてみられ、足底に加わる非侵害性皮膚刺激は、バランスと歩行の維持のための重要な触覚を提供する。歩行を修正する皮膚反射の効果は、足背部と脛骨、腓腹神経幹の直接刺激によって決定され、足底の特別な部位による皮膚反射のみをみた研究はほとんどない。

 本研究では、各足底の部位への非侵害性皮膚刺激の反応として部位およびフェーズ依存性の歩行修正がみられ、これはより深い運動との関連性の理解に役立ち、リハビリテーションに有用であろう。

 

 

 

以下、個人的な考察

長くなってしまいましたが、比較的読みやすい論文でした。

(ところどころとばしてますが)

 

歩行の際の下肢の調整に関しては色々と報告がありますが

脳まで感覚情報がいって、また下まで運動信号がおりてくるという形では反応間に合わず、反射レベルである程度なんとかしているということの証明にもなりそうで。

 

基本的には刺激部位から逃げるように足が動くようですが、そんなに単純な話なのかな・・・

電極があたってる時点で、何もない時の歩行とは反応が異なるような気もしますが

 

臨床で各歩行フェーズでうまくいかない部分がある時に、そのタイミングでうまく足底を刺激できるような装置があればより歩行の改善にもつながるかもしれません。

 

もうちょっと臨床で応用できるよう今週いろいろとやってみます。