静脈洞交会について(英語翻訳ではありません)
ちょっと今回英語じゃないんですが、気になったので。
先週研修会に参加したのです。
そこで、小脳テントやその中を走る横静脈洞は左右対称じゃないって話を伺いまして
まぁ人の体なんてそこら中左右対称じゃないので気にしていなかったんですが
その日にもっていた解剖の本を読んで確認したところ
直静脈洞は左の横静脈洞に、上矢状静脈洞は右の横静脈洞になる(逆の人もいる)と書いてありました。(アトラスとテキスト 人体の解剖 第2版)
ご遺体の写真なので載せれませんが、写真付きで説明されていたのでわかりやすく、そりゃ左右対称にはならないだろうなぁと思いました。
しばらくしてふと、そういえば昔静脈洞交会って習った気がする・・・と思い
スマホで調べてみたらやっぱり出てくる。
その日もっていた解剖の本には静脈洞交会って言葉がのってない・・・
家に帰って別の解剖の本みてみるとやっぱり載ってる。
プロメテウス、ネッター、カラー人体解剖学、グラント解剖学、解剖実習の手引き、Duus神経局在診断
自分が持っているすべての教科書に載っておりました。
でもこれらの解剖の本はすべて写真じゃなくCGや絵・・・どうなんでしょう
他の教科書ではすべて直静脈洞と上矢状静脈洞が交じって静脈洞交会をつくっていましたが
写真付きで交じらずに走行している図を説明されちゃうと説得力半端ないですし
静脈洞交会はあるのか無いのか・・・
ふと、そういえば人体の不思議展で販売されていたという解剖の本を妻が持っていたので見てみたら
静脈洞交会載ってる・・・写真で。
これはやっぱりあるのか?
どうなんだろうなぁと思ってもう一つ、ヴォルフカラー人体解剖学をみたところ!
静脈洞交会は作るけど、上矢状静脈洞からの血液の流れは右に流れていくみたい!
ちょうどいい折衷案?
静脈洞交会作る人もいるし作らない人もいて
作ったとしても上矢状静脈洞と直静脈洞の静脈の流れは違う!ってな感じかもしれません。
これで解決と思いましたが、なんかすっきりしないので論文を調べてみたところ・・・
ありました!
静脈洞交会の解剖学的研究 石坂博昭(1985)
静脈洞交会は胎生8週までに前・中・後大脳静脈間の静脈叢が互いに接合と退縮を繰り返すことで形成されるため 様々な分岐様式が存在するとのこと。
遺体52例を解剖し、下の図の()内の数字は症例数。
SlRr、SrRlというそれぞれ交わらないパターンを合わせると
52例中10例。約1/5の人は交わらないみたいです。
自分の中ではこれで解決しました。
絵がちょっと・・・いや、ありがたい論文です。
昔から気になったことを調べだすと結局答えがわからずうやむやになって終わることが多かったのですが
今回はすっきり解決できてよかったです。