某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、某理学療法士が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 個人的にどこでみた文献か忘れないようにメモしているようなもので、 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

アクセス解析

先日でブログを始めて1年になりました。

 

これまで毎週末にできる限り更新しておりましたが、

半年ほど前からまた大学で研究をさせていただいておりまして

最近は論文を書くため今やっている研究に関する論文ばっかり読んでいるのです。

 

臨床に関する論文も読んでいきたいのですが、なかなか時間をとれず

定期的な更新は前回までにしようかと思っています。

 

はてなブログでは簡単なアクセス解析がついておりまして、どの記事が人気があるのか見ることができます。

これまでのブログ記事をみてみると

足底の皮膚受容器の役割の記事が圧倒的に人気があり

googleからのアクセスの半分以上はこの記事でした。

 

PTの方がみてる可能性が高いので、多分足底の受容器が人気なんでしょうね。

何か読もうと思ったら、足関連の論文を読んでみようと思います。

ニューラル・ネットワーク・メカニズムの細胞タグ付け

Cellular tagging as a neural network mechanism for behavioural tagging

Nomoto M, Ohkawa N, Nishizono H, Yokose J, Suzuki A, Matsuo M, Tsujimura S, Takahashi Y, Nagase M, Watabe AM, Kato F, Inokuchi K  2016  IF12

 

マウスを使用

新しいことを記憶した際に、海馬の中でどの細胞が記憶したかがわかるように細胞にタグをつける

さらに遺伝子操作して、レーザー光を当てることで細胞を活性化したり不活化したりできるようにしてある

(これだけでもものすごく大変そう・・・)

A:ある部屋に入った後に反応した細胞(部屋に入ることを記憶)

B:電気ショックを与えた際に反応した細胞(電気ショックを記憶)

 

これらの細胞を可視化して、それぞれの細胞にレーザー光をあてて同時に活性化させ同期させる

 

すると、Aの部屋に入った際にBの記憶が想起され恐怖反応を示すようになる 

 

 

以下、個人的な考察

この研究グループすごい・・・富山大学の先生方らしいですが。

さらにscienceに発表した論文で、

2つの独立した記憶を連合させると2つの記憶にオーバーラップした細胞が増えていく

(Aの記憶に対してBの記憶に対する反応:パブロフの犬みたいな)

そのオーバーラップした細胞に光を照射して細胞を不活性化するとパブロフの犬のような反応がみられなくなるとのこと

 

これが進歩していけば、AとBの記憶をつないだり無くしたりするだけでなく

より細かく記憶の改ざんが行えるようになるかもしれません。

もはや漫画の世界のようなことが現実に起こりうる可能性があります。

 

先日、友人が「人間が想像できることは実現可能である」と昔ある科学者が言ったといった話をしていましたが

いつになるかはわかりませんが、記憶の操作ができる日がくるかもしれませんね。

恐ろしや

 

 

話は違いますが、

Amazon:ワイヤレスマウス

パソコンの方のマウスですが、このマウスを買って使用していたのです。

ミラーの部分がすぐ壊れそうだなぁと思っていたら、2日で折れました。

割と高いのに・・・

 

もし購入を考えている方がいたらミラーの無いタイプもあるみたいなので、そちらの方がお薦めです

 

共有住宅に住む高齢者の立位バランスに対するエクササイズの効果

The effects of comprehensive exercise program on the adjustments of standing balance in community-dwelling elderly persons

Maejima H, Kanetada Y, Sunahori H, Murase A, Otani T, Sakamoto N, Yoshimura O, Tobimatsu T  2008

 

高齢者(平均約70歳)を対象に、1日30分以上の歩行、ストレッチ、筋トレ、バランスエクササイズ(筋トレマシンは使用せず)を3ヶ月実施

 

静的バランスの介入効果として静止立位時のCOPの動揺が増大した。

片脚立位、10m歩行、ファンクショナルリーチ、左右方向への安定性限界も大幅に改善した。

 

 

以下、個人的な考察

静止時重心動揺の範囲が狭いほど安定した立位ってイメージですが

そうではないはずだとずっと思ってて、

何か論文ないかなぁと思ってたらありました。

 

先日の研修会からこれまで持ってた疑問に対する答えみたいな論文がどんどんみつかってます。ありがたや。

 

前に、温熱で足を温めると重心動揺の範囲が広がるから立位が不安定になるって論文を読みましたが、

「重心動揺の範囲が広がる=不安定」ではないので結論としては逆かもしれません。

 

今回の結果では前後方向への安定性限界は広がらず、左右方向のみ。

パーキンソン病では前後方向の動揺が減少するって論文があるので

パーキンソンの方には上記のエクササイズでは転倒予防にはならないかもしれません。

 

1つの事がすべての方にあてはまるわけではないところが

難しくもあり、やりがいのある部分なんでしょうね

 

筋と脂肪について(また英文じゃないです)

先日、自分が行なってきた研究に関して、発表させていただく機会をいただきました。

 

発表後の質疑応答で

「運動刺激の不足や不動化により筋が線維化し、筋が脂肪に置き換わるという話があるが

どの筋がより脂肪に代わりやすいとか、筋による違いはあるのか」

といった内容の質問(詳細違うかも)をいただきました。

 

自分の考えとしては

筋は筋肉を構成する細胞、脂肪は脂肪細胞(それぞれ分化した細胞)によって成り立っているので

筋細胞が脂肪細胞に置き換わるなんてないだろうなぁと思って答えてたのですが

 

その後セミナーに参加していた方から論文をいただきまして

どうやら細胞研究をした際に、培養条件によっては筋衛星細胞が脂肪細胞へ分化することがあるそうで。

ただ、生体内でのこの反応は現在のところ確認できていないのだそうです。

 

筋衛星細胞というのは

筋の周りにあって、筋線維損傷時に筋へ分化・融合することで筋線維の回復に関わる。

筋活動によって活性化し、そうでないと休止状態となる細胞です。

(うろ覚えなのっで詳細は調べてもらったほうが安心かと)

 

さらに調べてみると

筋衛衛星細胞の大元である間葉系前駆細胞が脂肪細胞へと分化するのを、

筋衛星細胞からの抑制シグナルによって防いでいるのだそうです。

 

つまり、筋衛星細胞が普段抑えている前駆細胞の脂肪化ですが

筋の回復が妨げられる病気とか、萎縮とか一定の病態よっては抑制シグナルが伝わらなくなり

前駆細胞が脂肪化し、結果筋内の脂肪が増えるってことがあるそうです。

 

そうなると、普段から筋衛星細胞の活動性が高くて筋衛星細胞による抑制が強い筋ほど

不動化等の状態に陥った際に脂肪が増えやすいのかもしれません。

 

研修会内で紹介した論文は2週間の固定による筋間脂肪をみていたので、不動化による脂肪細胞の萎縮が主な結果でしたが

さらに長期でみていけば、脂肪細胞の増生といった変化もみられるかもしれません。

 

 

色々な方のご意見を伺って、また足りなかった点を次に生かしていくことで

新しい知見は得られるし、どんどん新しい課題が見つかっていくのでいいですね。

 

最近はあまり学会発表をしていなかったのですが

ちょっと学会発表もしていこうかと思ったこの頃です。

 

TKAの結果と膝関節屈曲拘縮の役割

The role of flexion contracture on outcomes in primary total knee arthroplasty

Ritter MA, Lutgring JD, Davis KE, Berend ME, Pierson JL, Meneghini M 2007  IF 3.0

 

屈曲拘縮がTKAオペ後の結果にどう影響をもたらすかを検討する。

5622の膝について調査

 

オペ前に

A.膝を最大伸展した際の角度が5°屈曲位〜9°以上の過伸展の人 62.1%

B.膝を最大伸展した際の角度が6°以上屈曲位の人       35%

オペ後に10°以上の屈曲拘縮が残存した人Aは少なく、Bは多く、約6倍の差

 

男の方が拘縮が残りやすく、太った人はオペ後拘縮になりにくい。

オペ前に10°以上の反張膝がある人は、そうでない人に比べて2.5倍痛みが出やすい。

 

オペ後に屈曲拘縮がある場合、膝の伸展が正常であるよりも疼痛は少なく、機能的にも高いものとなりやすい。

オペ後に10°以上の過伸展がある場合は痛みが出やすく、機能的にも低いものとなりやすい。

 

 

以下、個人的な考察 

以前ブログで書いた屈曲拘縮には意味があるみたいな文章の元となってた論文です。

 

たしかに屈曲拘縮の方が疼痛でにくいってことで意味があるのかもしれませんが、

そのメカニズムとかはどうなんでしょう・・・

屈曲より過伸展の方がよくないみたいですね。これはなんとなくわかりますが。

 

昔勤めていたクリニックにもTKA後過伸展+膝の中に感染で疼痛強い人いたけど

当時の自分には何もできなかったなぁ・・・

今なら何かできるのかはわかりませんが。

 

大病院だと期限がくれば退院になりますが、クリニックとかだとそうはいかないし

個人的にはクリニックの方が大変なイメージです。

個人で開業してる人なんてさらに大変でしょうけど

 

来週も更新しないと思います。多分。

静脈洞交会について(英語翻訳ではありません)

ちょっと今回英語じゃないんですが、気になったので。

 

 

先週研修会に参加したのです。

そこで、小脳テントやその中を走る横静脈洞は左右対称じゃないって話を伺いまして

まぁ人の体なんてそこら中左右対称じゃないので気にしていなかったんですが

その日にもっていた解剖の本を読んで確認したところ

直静脈洞は左の横静脈洞に、上矢状静脈洞は右の横静脈洞になる(逆の人もいる)と書いてありました。(アトラスとテキスト 人体の解剖 第2版)

ご遺体の写真なので載せれませんが、写真付きで説明されていたのでわかりやすく、そりゃ左右対称にはならないだろうなぁと思いました。

 

しばらくしてふと、そういえば昔静脈洞交会って習った気がする・・・と思い

スマホで調べてみたらやっぱり出てくる。

その日もっていた解剖の本には静脈洞交会って言葉がのってない・・・

家に帰って別の解剖の本みてみるとやっぱり載ってる。

プロメテウス、ネッター、カラー人体解剖学、グラント解剖学、解剖実習の手引き、Duus神経局在診断

自分が持っているすべての教科書に載っておりました。

でもこれらの解剖の本はすべて写真じゃなくCGや絵・・・どうなんでしょう

 

他の教科書ではすべて直静脈洞と上矢状静脈洞が交じって静脈洞交会をつくっていましたが

写真付きで交じらずに走行している図を説明されちゃうと説得力半端ないですし

静脈洞交会はあるのか無いのか・・・ 

 

ふと、そういえば人体の不思議展で販売されていたという解剖の本を妻が持っていたので見てみたら

 

静脈洞交会載ってる・・・写真で。

これはやっぱりあるのか?

 

どうなんだろうなぁと思ってもう一つ、ヴォルフカラー人体解剖学をみたところ!

 

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静脈洞交会は作るけど、上矢状静脈洞からの血液の流れは右に流れていくみたい!

ちょうどいい折衷案?

 

静脈洞交会作る人もいるし作らない人もいて

作ったとしても上矢状静脈洞と直静脈洞の静脈の流れは違う!ってな感じかもしれません。

 

 

これで解決と思いましたが、なんかすっきりしないので論文を調べてみたところ・・・

 

ありました!

静脈洞交会の解剖学的研究 石坂博昭(1985)

静脈洞交会は胎生8週までに前・中・後大脳静脈間の静脈叢が互いに接合と退縮を繰り返すことで形成されるため 様々な分岐様式が存在するとのこと。

遺体52例を解剖し、下の図の()内の数字は症例数。

 

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SlRr、SrRlというそれぞれ交わらないパターンを合わせると

52例中10例。約1/5の人は交わらないみたいです。

 

自分の中ではこれで解決しました。

絵がちょっと・・・いや、ありがたい論文です。

 

昔から気になったことを調べだすと結局答えがわからずうやむやになって終わることが多かったのですが

今回はすっきり解決できてよかったです。

 

変形性膝関節症患者の膝屈曲拘縮:後部関節包の臨床的特徴と組織学的特性

Knee flexion contractures in patients with osteoarthritis: clinical features and histlogic characterization of the posterior capsule

TM Campbell, G Trudel, O Laneuville  2015

 

21人のOA患者(13人膝の屈曲拘縮あり、8人膝の屈曲拘縮なし)のTKAオペ前の膝屈曲拘縮に関連する臨床的な特徴を明らかにする。

また屈曲拘縮あり9人、なし6人の膝後方関節包を採取し組織学的な特徴を明らかにする。

 

結果

より長い期間膝OAを罹患していると膝屈曲拘縮になりやすい。

オペする側は屈曲制限、反対側は伸展制限になりやすい。

(オペする側は下肢が短縮していることが多く、それに合わせて対側下肢を屈曲位で行動するためと考えられる)

 

組織学的な関節包の特徴として

拘縮群ではより線維化し、脂肪が多く滑膜線維が少なかった。

 

拘縮が一箇所あると、他の関節の摩耗も早めてしまうため、早めの介入が必要である。

 

  

 

以下、個人的な考察

拘縮した関節で線維が増加しているというのは動物実験でも同様の結果で

ヒトでも似た結果になるというのは、これまでの動物実験での結果が参考にできるといったところで嬉しいです。

ただし、確か動物実験では滑膜の増生と脂肪細胞の減少がみられたのですがヒトでは滑膜は減少し脂肪が増加していたとのこと。

条件が違うとはいえそれぞれ異なるので動物実験の結果がすべてそのままヒトにあてはまるとはいえないのがもどかしい。

 

まぁヒトでは上肢と下肢ですが、動物実験では全ての肢が荷重下にあるのでそれだけで条件が違いますし、

これはOA患者さんのデータで、実験動物はOAではないのでこれまた条件は異なりますし同じようには比べられないですが。

 

この論文中に、ROMを改善させるためにストレッチすると疼痛の原因となることがあると書いてあって、 

その元になった論文が「屈曲拘縮の役割」みたいなタイトルで、拘縮自体にも意味があるんだよってなニュアンスでした。

ちょっと面白そうなので近いうちにこれを読んでみようかと思います。

 

 

来週は連休ですが研修会のため更新しないと思います。