某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

おしらせ

色々と調べてみたところ、論文の翻訳が著作権侵害にあたる可能性がありそうです。

少なくとも、自分の文章よりも長い引用はアウトなようで。

 

要約ならOKなようなのでしばらく要約で書いていきます。

これまで書いた文章もうまくまとめられたら順次再度記載していきます。

不動による非炎症性関節拘縮

Noninflammatory joint contractures arising from immobility: animal models to future treatments

Wong K, Trudel G, Laneuville O

IF 2.4

 

疫学的に関節拘縮を分類すると

①先天的なもの

②慢性疾患や外傷後(炎症性の経路による)

③不動によるもの

 

 

②の場合、滑膜の増生と線維化を伴う関節包の変化を起こし、疼痛によるROM制限を伴う事が多い。

大きな関節に拘縮が発生した1/3以上はICUで2週間以上の臥床をした患者である。

ICUで拘縮がつくられた患者は、退院後3.3年における死亡率が高い。

 

疫学的には機械的刺激の不足が拘縮の原因となる。

 

関節拘縮は慢性化すると治療効果が少ない。

関節包の変化(関節包の短縮、接着、線維化)→その後ROM改善しない

不動は筋の異栄養と関節包の変化をもたらす

 

不動化により軟骨細胞の遺伝子発現も変化

軟骨内のタンパクレベルが変化し、滑液分泌は減少する。

そのため、関節拘縮は遺伝的な要因もある。

 

不動により、関節包のtypeⅠコラーゲンが増生しtypeⅢコラーゲンが減少する

最終糖化産物(AGEs)は結合線維の剛性を高める

 

神経由来の症状(脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺等)にはストレッチの効果がない。

 

 

以下、個人的な考察

ICUで拘縮がつくられた患者は、退院後3.3年における死亡率が高いっていうのは

介入できないほどの病態→拘縮になった可能性があるんじゃないかと思うので

拘縮自体が死亡率に関わるのかどうかはわかりませんが。

 

コラーゲンについては、Ⅲ型/Ⅰ型コラーゲンの比率が

加齢に伴って低くなるという論文があり、不動によって加齢と似た身体の変化をもたらされるのでしょう。

身体の中で動かない部分というのは加齢が進行するんですかね。

 

最近は拘縮においても遺伝子、タンパクレベルでの研究がなされているみたいで、身体に加わる周囲の因子から、タンパクレベルで身体の変化がおこるということからも

いろんな刺激が身体に入るのが健康維持には大切なのだと思います。

 

AGEsが結合線維の剛性を高める→食べ物によって身体の状態が悪化するってのがちゃんと論文であるんですね。

甘いものばかり食べてると体を悪くするというのは、血液データ的なものだけでなく関節拘縮にも関係するみたいで、

後輩がジュースが好きだけど、飲むと体が硬くなるんですとか言ってたけど、こういうことですかね。

 

神経由来の拘縮にストレッチは効果がないっていうのは、医学的に説明するような論文はありましたが、統計的なデータに関しても論文があるみたいなので

近いうちに翻訳してみたいと思います。

 

臨床に真剣に向き合っている方々から、「なんかわからんけど臨床上こういうことがあるよ」と教えてもらった現象は

少し時間が経ってくると多くのものがデータとして証明されてくるのでびっくりです。

圧および侵害刺激による歯からの求心性情報

Afferent impulses from the teeth due to pressure and noxious stimulation

C Pfaffmann  1939

 

ネコを用いて、歯根部が痛覚だけでなく、様々な情報を伝達することを研究。

結果、歯根部の歯根膜は神経終末が集まっており、ここへの圧刺激が脳へimpulseを送ることを示した。

 

 

以下、個人的な考察

かなり短くなってしまいましたが、要約すると上記のような感じです。

すんごい古い論文なので、上記内容以上のことは得られなかったかもしれませんが、

この論文を元に、現在は色々と研究がされているようで、もっと進歩していろいろと解明されているかもしれません。でもタダでみれる論文はなさそうでした。

 

 

この論文に興味をもった理由を掘り下げていくと

昔何かで読んだのですが、

ヒトの姿勢制御に関わるものとしては固有受容、視覚、前庭とあるが、第4の機構として、下顎が大きな働きをする

という話でした。

 

それからしばらく下顎が姿勢制御にどう働くのか ということを調べましたが論文は見つからず、長いこと忘れていたのですが

 

先日自分が歯医者へ行った際に、そこの先生が歯並びと姿勢についてかなり勉強されている先生で

その先生から説明を受けたことが

歯根部には圧受容器があり、その圧の情報は脳へと送られ、

歯にかかる圧に応じて顎の筋を自動的に収縮させ圧を逃がすといった内容でした。

(この論文を探したかったのですが、今回の記事のものしか見つからず・・・)

噛み合わせが悪いと、圧を逃せずにさらにかみしめてしまい、さらに筋の収縮が強くなってしまうという悪循環になるそうで。

ヒトの頭部は高い位置にあり、その部分で筋が収縮し、頭部が傾くと姿勢も自然と変化して姿勢にも大きく関わるとのことでした。

 

実際の患者さんの写真もみせていただき、肩があがらなかった方が歯並びを調整しただけで2週間後には姿勢が改善し肩の可動域も改善したそうです。

(チャンピオンデータでしょうが、実際にそういうこともあるんですね)

 

ちなみに君は非常に姿勢が悪いとのこと(良く言われます)

君の歯の形から君の生活を想像すると、

右を下にして寝ることが多いだろう。左に頬杖をつくことが多いだろうとのこと。

た、確かに・・・

右下で寝ることが多いし、右手でマウスをいじりつつ左手は頬杖ついている

 

脳のどの領域に、どういった情報が入るのかというのはよくわかりませんが

臨床応用できそうだなーと思ったり。

 

 

脳卒中の方で例えばすんごくプッシャー強い方とか、

口の中でガーゼとかを噛んでもらえればひょっとしたら姿勢に変化があるのかもしれません。

何か臨床で使えそうでしたら是非やっていただいて、結果を教えていただけたら幸いです。

 

 

てことは、結局体をしっかり治しても

歯の噛み合わせの影響から体が崩れているとしたら

歯の治療も必要になってくるんでしょうね。

噛み合わせに問題がありそうな方ならこの歯医者さんへ紹介すればいいかも。

近所にいい歯医者さんがあってよかったです。

ラット膝関節拘縮モデルに対する低強度超音波療法の効果

Effect of low-intensity pulsed ultrasound therapy on a rat knee joint contracture model

Watanabe M, Kojima S, Hoso M  2017

 

ラット膝関節をキャスト固定し、8週間固定

その後治療群は4週間超音波治療を実施

非治療群は4週間放置

コントロール群は12週間放置

(すべての群で、足がつかないようにおそらく胴体を持ち上げて浮かせている)

 

8週間の固定で

治療群 約84° 非治療群 約86°の可動域制限

その後4週の介入で

治療群 約31° 非治療群 約42°の可動域制限

 

組織学的にも後方関節包の厚みや濃度について、治療群の方がコントロール群に近いものがあった。

 

 

以下、個人的な考察

今回の論文は修士の頃に大変お世話になった先生方の論文で

似たようなことをやっていた身としては読みやすかったです。

 

動物実験で治療介入をする際、その強度決めというのが非常に難しいのですが

この研究をするにあたってはおそらく予備実験をかなりされたのではないかと思います。

 

かなり前の論文では、拘縮を起こした関節にストレッチをかけたところ

可動域は正常に近づいたものの、組織学的には増生した線維はあまり元に戻らなかったといった論文がありましたが

超音波は組織学的な面についても効果がありそうですね。

 

正常な関節組織へ戻す際には、ストレッチだけでは難しく

深い層へアプローチできるようなものが大切なのだと思います。

 

来週は日曜日の更新が難しいので

土曜日か月曜日に更新するのではないかと思います。

 

一卵性双生児の腰椎MRIの変性の類似性

Similarities in Degenerative Findings on Magnetic Resonance Images of the Lumbar Spines of Identical Twins

 

1995  IF2.4

MC Battie, DR Haynor, LD Fisher, K Gill, LE Gibbons, S Washington, T Videman

 

20組 40人の一卵性双生児の双子の男性の腰椎椎間板の変性具合をMRIで評価。

各双子間の椎間板の変性具合は非常に高い割合で類似していた。

そのため、椎間板の変性具合には遺伝的要因が影響することが考えられる。

 

 

 

以下、個人的な考察

えらい短くなってしまいました。

 

昔仕事で無理をしたから腰を悪くしちゃって・・・って話を良く聞きますが

この研究では仕事の負荷の大きさに関係なく、各双子間の椎間板の変性具合は似ていたとのこと。

 

 

椎間板の変性は遺伝的要因で進行していくのか

双子だと身体的特徴が似てくるので(これも遺伝的要因といえば遺伝的要因ですが)、繰り返される日常の動作で変性が進んでしまっているのか

いろいろな考え方ができるかと思いますが

確か2016年に椎間板の変性を起こす遺伝子が発見されたそうで。

遺伝的な要因が強いんですかね。

 

遺伝子で変性が決まるとなると、

腰を悪くする人は生まれながらにして決まってるって考えると何かやるせない感じです。

とはいえすべての病気の原因は遺伝子であるという考え方もあるみたいです。

(負荷がかかり続けると遺伝子に問題が発生し、恒常性を維持できず異常な状態になる)

 

癌の場合、今後は癌の原因となる遺伝子を見出し、遺伝子治療で癌を治していくという話はよく聞きますが

そのうち遺伝子治療で椎間板の問題や、その他様々な疾患も治療できるようになると考えると

理学療法士としての仕事はどんどん減っていくかもしれません。

まぁ社会全体を考えるといいことかもしれませんけどね。

脳卒中発症24時間以内の超早期介入の効果と安全性について

Efficacy and safety of very early mobilisation within 24h of stroke onset (AVERT): a randomised controlled trial

2015  IF 45 (←なんと!) 

 

脳卒中発症後、早期の介入は効果があると言われているが、

その介入方法には定義はなく、強いエビデンスに裏付けられたものではない。

 

この研究では2006年から2014年まで、5つの国の56の急性期脳卒中ユニットで同意の得られた2104人を対象として

超急性期の介入を行なった群と通常の介入を行なった群で機能等を比較。

評価にはNIHSS、mRS等が用いられた。

 

結果としては発症3ヶ月後の機能は、超早期介入群がはっきりと悪かった。

24時間以内の高負荷、高頻度の離床介入の効果は通常の介入以下の結果であった。

 

 

 

以下、個人的な考察

今回の論文が載っているLancetという雑誌は世界5大医療雑誌の一つらしいです。

ものすごいIF・・・

 

この論文は、ある有名な脳神経外科のDrが勉強会で紹介していた論文で、

その先生は、九州でおそらく一番多くボトックス治療をやったとおっしゃってました。

 

その結果わかったこととして

ボトックス治療は確かに効果がある。しかし急性期、回復期でのリハ介入がしっかりしていれば、ボトックスは必要ないとおっしゃっていました。

確かに介入次第では変な筋緊張が起きてこないので、介入ってすごく大事だなぁと思います。

 

いやいや、早期介入はガイドラインで定められてるだろ!って方もいらっしゃるかもしれませんが

2003年にでた脳卒中ガイドラインでは早期離床を推奨していますが、その元となった論文は1990年代のものでした。

 

当時の脳血管疾患での死亡者は人口10万人に対して100人くらい

手元にあるデータで一番新しい2009年は10万人に対して50人くらい。

多分2017年現在はさらに少ないと思います。

医療の進歩で亡くなる方が減少しています。

 

すると、

f:id:kami_12483:20170917214649j:plain

上図のようなことがおこってきます(ちょっと大げさな色分けになってしまいましたが)

この今の医療では助かる人に、1990年代の調査対象の方の結果をそのまま当てはめて

本当に安全なのか、本当に良いのかという問題はでてくるんじゃないかと思います。

 

Lancetという世界トップクラスの雑誌に投稿された論文において

超早期に高負荷、高頻度の介入は良くないという結果がでている以上は一考の余地ありかと思います。

(別に早期の介入が良くないって訳ではないですよ) 

 

昔自分もICUとかで長下肢装具をつけて離床・起立とかを絶対正しいと思ってやっていましたが

やっぱり後になってなんか変な緊張がでちゃうんですよね・・・

 

6ヶ月の壁なんて言われてましたが、慢性期でも介入次第で変化はみられるという論文がどんどんでてますよね。

医療が進歩して変わっていく以上

自分のやってることもどんどんアップデートされていかないといけないので

やはり日々の勉強が大事だと思うこの頃です。

 

慢性炎症時の皮膚における交感神経線維の発芽

Autonomic fiber sprouting in the skin in chronic inflammation

L Almarestani, G Longo, A Ribeiro-da-Silva  IF3.5   2008

 

 

ニューロパチーの際 交感神経線維が上部真皮に発芽する(正常であれば上部真皮に交感神経線維はない)

これは、慢性炎症や関節炎でも発生する。

 

研究には完全フロイントアジュバンド(CFA)というものを用いている

これを用いると抗原をゆっくりと放出させ、強力かつ長期にわたって免疫応答を促すことができる

1回の量を多くすると、

 一側の炎症と関節炎。続いて対側の腫脹とリウマチ様の関節炎、多数の関節と臓器に影響がでる

1回の量を少なくすると

 一側の浮腫と関節炎がすぐにでるが、対側の症状はでない。

 

これまでに慢性の炎症や関節炎に伴う後角の可塑性変化は詳細な報告がある。

坐骨神経の慢性絞扼障害においても上部真皮への交感神経線維の発芽の報告がある。

 

この研究では皮下へのCFA注射で皮膚炎や関節炎を惹起させた。

結果徐々に上部真皮への交感神経線維の発芽が増え、4週では大幅な増加がみられた。

 

 

以下、個人的な考察

どういう機序かわかりませんが

CFAの投与量大→反対側にも関節炎等が発生ってのはびっくりです

一側に強めの炎症がある場合、対側にも問題がでてくるんですね。

(CFAが血流にのって反対側にも悪さしてるのかもしれませんが)

 

 

慢性的に疼痛がある場合

上皮直下の真皮の上部にも交感神経線維が発芽してしまうということで

血流にも問題がでてくるでしょうし

脳のマップの変化の報告もありますし

長くなればなるほど治りづらくなってしまうのかもしれません。

 

 

脳の感覚求心路に障害の既往あり+慢性疼痛のケースは

一筋縄ではいかない方が多い気がします。