某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

おしらせ

色々と調べてみたところ、論文の翻訳が著作権侵害にあたる可能性がありそうです。

少なくとも、自分の文章よりも長い引用はアウトなようで。

 

要約ならOKなようなのでしばらく要約で書いていきます。

これまで書いた文章もうまくまとめられたら順次再度記載していきます。

一卵性双生児の腰椎MRIの変性の類似性

Similarities in Degenerative Findings on Magnetic Resonance Images of the Lumbar Spines of Identical Twins

 

1995  IF2.4

MC Battie, DR Haynor, LD Fisher, K Gill, LE Gibbons, S Washington, T Videman

 

20組 40人の一卵性双生児の双子の男性の腰椎椎間板の変性具合をMRIで評価。

各双子間の椎間板の変性具合は非常に高い割合で類似していた。

そのため、椎間板の変性具合には遺伝的要因が影響することが考えられる。

 

 

 

以下、個人的な考察

えらい短くなってしまいました。

 

昔仕事で無理をしたから腰を悪くしちゃって・・・って話を良く聞きますが

この研究では仕事の負荷の大きさに関係なく、各双子間の椎間板の変性具合は似ていたとのこと。

 

 

椎間板の変性は遺伝的要因で進行していくのか

双子だと身体的特徴が似てくるので(これも遺伝的要因といえば遺伝的要因ですが)、繰り返される日常の動作で変性が進んでしまっているのか

いろいろな考え方ができるかと思いますが

確か2016年に椎間板の変性を起こす遺伝子が発見されたそうで。

遺伝的な要因が強いんですかね。

 

遺伝子で変性が決まるとなると、

腰を悪くする人は生まれながらにして決まってるって考えると何かやるせない感じです。

とはいえすべての病気の原因は遺伝子であるという考え方もあるみたいです。

(負荷がかかり続けると遺伝子に問題が発生し、恒常性を維持できず異常な状態になる)

 

癌の場合、今後は癌の原因となる遺伝子を見出し、遺伝子治療で癌を治していくという話はよく聞きますが

そのうち遺伝子治療で椎間板の問題や、その他様々な疾患も治療できるようになると考えると

理学療法士としての仕事はどんどん減っていくかもしれません。

まぁ社会全体を考えるといいことかもしれませんけどね。

脳卒中発症24時間以内の超早期介入の効果と安全性について

Efficacy and safety of very early mobilisation within 24h of stroke onset (AVERT): a randomised controlled trial

2015  IF 45 (←なんと!) 

 

脳卒中発症後、早期の介入は効果があると言われているが、

その介入方法には定義はなく、強いエビデンスに裏付けられたものではない。

 

この研究では2006年から2014年まで、5つの国の56の急性期脳卒中ユニットで同意の得られた2104人を対象として

超急性期の介入を行なった群と通常の介入を行なった群で機能等を比較。

評価にはNIHSS、mRS等が用いられた。

 

結果としては発症3ヶ月後の機能は、超早期介入群がはっきりと悪かった。

24時間以内の高負荷、高頻度の離床介入の効果は通常の介入以下の結果であった。

 

 

 

以下、個人的な考察

今回の論文が載っているLancetという雑誌は世界5大医療雑誌の一つらしいです。

ものすごいIF・・・

 

この論文は、ある有名な脳神経外科のDrが勉強会で紹介していた論文で、

その先生は、九州でおそらく一番多くボトックス治療をやったとおっしゃってました。

 

その結果わかったこととして

ボトックス治療は確かに効果がある。しかし急性期、回復期でのリハ介入がしっかりしていれば、ボトックスは必要ないとおっしゃっていました。

確かに介入次第では変な筋緊張が起きてこないので、介入ってすごく大事だなぁと思います。

 

いやいや、早期介入はガイドラインで定められてるだろ!って方もいらっしゃるかもしれませんが

2003年にでた脳卒中ガイドラインでは早期離床を推奨していますが、その元となった論文は1990年代のものでした。

 

当時の脳血管疾患での死亡者は人口10万人に対して100人くらい

手元にあるデータで一番新しい2009年は10万人に対して50人くらい。

多分2017年現在はさらに少ないと思います。

医療の進歩で亡くなる方が減少しています。

 

すると、

f:id:kami_12483:20170917214649j:plain

上図のようなことがおこってきます(ちょっと大げさな色分けになってしまいましたが)

この今の医療では助かる人に、1990年代の調査対象の方の結果をそのまま当てはめて

本当に安全なのか、本当に良いのかという問題はでてくるんじゃないかと思います。

 

Lancetという世界トップクラスの雑誌に投稿された論文において

超早期に高負荷、高頻度の介入は良くないという結果がでている以上は一考の余地ありかと思います。

(別に早期の介入が良くないって訳ではないですよ) 

 

昔自分もICUとかで長下肢装具をつけて離床・起立とかを絶対正しいと思ってやっていましたが

やっぱり後になってなんか変な緊張がでちゃうんですよね・・・

 

6ヶ月の壁なんて言われてましたが、慢性期でも介入次第で変化はみられるという論文がどんどんでてますよね。

医療が進歩して変わっていく以上

自分のやってることもどんどんアップデートされていかないといけないので

やはり日々の勉強が大事だと思うこの頃です。

 

慢性炎症時の皮膚における交感神経線維の発芽

Autonomic fiber sprouting in the skin in chronic inflammation

L Almarestani, G Longo, A Ribeiro-da-Silva  IF3.5   2008

 

 

ニューロパチーの際 交感神経線維が上部真皮に発芽する(正常であれば上部真皮に交感神経線維はない)

これは、慢性炎症や関節炎でも発生する。

 

研究には完全フロイントアジュバンド(CFA)というものを用いている

これを用いると抗原をゆっくりと放出させ、強力かつ長期にわたって免疫応答を促すことができる

1回の量を多くすると、

 一側の炎症と関節炎。続いて対側の腫脹とリウマチ様の関節炎、多数の関節と臓器に影響がでる

1回の量を少なくすると

 一側の浮腫と関節炎がすぐにでるが、対側の症状はでない。

 

これまでに慢性の炎症や関節炎に伴う後角の可塑性変化は詳細な報告がある。

坐骨神経の慢性絞扼障害においても上部真皮への交感神経線維の発芽の報告がある。

 

この研究では皮下へのCFA注射で皮膚炎や関節炎を惹起させた。

結果徐々に上部真皮への交感神経線維の発芽が増え、4週では大幅な増加がみられた。

 

 

以下、個人的な考察

どういう機序かわかりませんが

CFAの投与量大→反対側にも関節炎等が発生ってのはびっくりです

一側に強めの炎症がある場合、対側にも問題がでてくるんですね。

(CFAが血流にのって反対側にも悪さしてるのかもしれませんが)

 

 

慢性的に疼痛がある場合

上皮直下の真皮の上部にも交感神経線維が発芽してしまうということで

血流にも問題がでてくるでしょうし

脳のマップの変化の報告もありますし

長くなればなるほど治りづらくなってしまうのかもしれません。

 

 

脳の感覚求心路に障害の既往あり+慢性疼痛のケースは

一筋縄ではいかない方が多い気がします。

 

 

ラットにおける不動後の後肢の上皮の厚さ、末梢神経分布、機械受容の変化

Changes in hind paw epidermal thickness, peripheral nerve distribution and mechanical sensitivity after immobilization in rats.

 

J Nakano, Y Sekino, Y Hamaue, J Sakamoto, T Yoshimura, T Origuchi, M Okita  2012 IF 1.6

 

ラットだけでなく、ヒトの関節も不動化で痛覚が過敏になる。

これは中枢神経系の関わりが考えられているが、詳細はまだわかっていない。

また、皮膚の萎縮もみられることが知られている。

 

運動の不足で皮膚が薄くなる

 関節固定による血流不全でも皮膚は薄くなるが、固定の際に浮腫等に気をつけることで

 血流不全の可能性は減らすことができる。

 →運動の不足で皮膚が薄くなる

 

皮膚の薄化や末梢神経の増加はCRPSでもみられる。

 

この研究でみられた上皮の厚さや末梢神経の変化は、不動化によっておこる痛覚過敏の原因の一部となりうる。

 

 

以下、個人的な考察

不動部分というのは、様々な要因で痛覚を感じやすくなるんですね。

 

おそらくヒトの体の中で、関節ではない部分でも本来動くはずの部分が

動いていないことで痛みを感じやすくなるのだと思います。

原因は様々で絶対ではないのですが、俗に言う「固いところ」を動くようにするだけでも

痛みが減少するのではないかと考えています。

 

 

 

ところで。

インパクトファクター(IF)は その雑誌にのったすべての論文が、平均して何回、他の論文に引用されているのかということを示します。

(IFが高い雑誌→多くの論文に引用されている→研究としての価値が高い)

 

知り合いの先生が、ある雑誌に英語論文を投稿したところrejectされてしまい

なぜ載せてもらえないのかを問い合わせたところ

「表向きのルールにはいれてないが、この雑誌に載せたいのなら、この雑誌の過去の論文から2つ以上引用して論文を書くように」と言われたそうです。

そうして無理矢理使えそうな論文を引っ張ってきて、引用論文に加えて書いたらacceptされたそうです。

 

調べてみると、その雑誌はそれまでIF0.5にも満たない状態がずっと続いていたのが

ここ数年で急に1.9まで上昇しています。

 

これは明らかにその雑誌のインパクトファクターの水増しになると思います。

 過去にそういうことをやっていたブラジルの医学雑誌は、IF算出対象から外されてしまったそうです。

 

ブラジル: 4学術誌、 IF水増し操作 – トムソン・ロイターは算出対象から除外(nature記事紹介) | 科学技術情報プラットフォーム

 

知り合いの先生に聞いただけなので、本当かどうかはわかりませんが

(とはいえ嘘とは思えませんが)

もし本当にそんなことをしていて、IFを水増ししているとしたら

他の海外雑誌に苦労して論文をのせた身としてはちょっとどうかと思う話ですね。

スポーツでいうドーピングみたいなもんだと思いますし。

(結構引用を増やそうとするジャーナルはあるみたいですが、journal self-citationという自らの雑誌からの引用の値が20%以下くらいならセーフという考え方もあるそうです。 )

ちなみに上記の雑誌は他の雑誌での引用を見たことがないレベルなので、100%なんじゃないかなぁと疑うレベル。

 

もし本当に不正をしているのが事実なら日本の恥なので

理学療法に関する雑誌はIF算出対象から外されて欲しいと願う今日このごろです。

 

Research gateというサイトより引用

f:id:kami_12483:20170831212519j:plain

 

 

 

膝関節拘縮の関節または筋による制限の質的・時間的回復

Quantitative and temporal differential recovery of articular and muscular limitations of knee joint contractures; results in a rat model

 

G Trudel, O Laneuville, E Coletta, L Goudreau, HK Uhthoff  2014  IF 3.3

 

 

関節拘縮の研究 

 250匹のラットを1,2,4,8,16,32週間のうちどれかで片側の膝関節を固定。

もう一方をコントロールとし、差を比較。

自然回復なし群、あり群にわけ、さらに自然回復あり群は回復期間を3つに分ける。

自然回復の期間は、基本的には固定期間の1倍、2倍、4倍で経過をみるが(固定期間1週なら回復期間は1,2,4週)、16週固定は1/2倍、1倍、2倍で、32週固定は1/2倍、1倍、1.5倍の週で経過をみた。

 

固定を外してROM測定→後面の筋を切除しROM測定(筋由来の制限および関節由来の制限を明らかにできる)

 

結論

膝の屈曲拘縮発生初期(1-4週)は筋が原因となり、それらは自然回復で元に戻ることができる。長期間にわたる拘縮では関節構成体が拘縮の原因となり、それらは不可逆性である。

 

 

以下、個人的な考察

もともとラットを用いた研究をしていた者としてはすごく読みやすい論文でした。

英語のみだと意味わからないことでも知ってる内容だとある程度補完できるし・・・・

長崎大学の先生がこのような拘縮による時間的な変化については研究をやっていました。

この論文では250匹も用いてやったってのが凄いですね。 (自分の経験では10〜20匹位が限界)

 

他の論文も自分の知識量が増えればうまく訳せるのかも

しばらくは拘縮についてやっていこうかと。

 

筋による制限はほっとけば良くなるってことですね。

長期の拘縮で無理に筋をひっぱったり伸ばしたりしても、おそらくもっと深い層での制限なのであんまり効果がないってのもあるでしょうね。

 

 

長い期間、関節可動域制限があった方が

ある手技をもちいたところ即座に変化が!!っていうのは

その手技が何かしら関節構成体に変化をもたらしているってことですかね。

以前書いたように筋膜には平滑筋様細胞による自動的な収縮性があるので

その収縮が緩めば関節包自体も緩むでしょうし。

その効果の持続についてはわかりませんが。

 

癒着まで行っちゃっている人は厳しいのかな

 

臨床で疑問があったことが、探してみると結構論文があって嬉しいです。

 

 

お知らせにも書きましたが、全文翻訳は著作権問題にひっかかるみたいなので、

今後は要約して書いていきます。

グループⅡ筋求心性線維はおそらくヒトの歩行時の中潜時ヒラメ筋伸張反射に貢献する

Group Ⅱ muscle afferents probably contribute to the medium latency soleus stretch reflex during walking in humans

 

MJ Grey, M Ladouceur, JB Andersen, JB Nielsen T Sinkjaer   2001  IF 5.0

 

歩行時に足首が動揺する際、ヒラメ筋筋電図における中潜時応答はどちらの求心性線維によって修正されるかを以下の条件を検討

 

 

 A 神経冷却の効果

 B 虚血の効果

 C チザニチンの効果(グループⅡ求心線維の活動電位を大きく弱めるが、グループI求心線維には影響をもたらさない)

 D リドカインブロックの効果(局所麻酔)

 

上記すべてのものが筋活動を低下させ、中潜時応答も抑制される。

グラフ上は特に虚血による筋活動低下が大きいように見える

 

短潜時伸張反射の低下はIa求心性線維は虚血によってブロックされるが、中潜時応答は低下がみられず、同じIa求心性線維によって調整されていない。

 

チザニジンによる中潜時伸張反射の大幅な低下から、グループⅡ求心性線維は中潜時応答に関わるが、短潜時応答には関与しないことが考えられる。 

ネコにおいては、チザニジンがグループⅡ求心性線維の多シナプス脊髄路の伝導を選択的に低下させることが報告されているが(Barsら1989, 1990 Skoogら 1996)、彼らの調査ではグループⅠ、Ⅱ筋束の求心性線維に限局されていた。

グループIb腱求心性線維、皮膚求心性線維におけるチザニジンの効果は調査されていない。加えて、チザニジンは侵害受容感覚に対する脊髄後角ニューロンの反応を弱めるが、無害の皮膚刺激に対しては弱めないことからα2アドレナリン作動体の中にはグループⅡ抑制以外にも働くものがあることが考えられる。

 

 

本研究では足部や足首からの皮膚求心性入力伝達は局所麻酔によって強く制限された。足部への麻酔の後、短潜時、中潜時伸張反射の変化があまりみられなかったのは、少なくとも歩行時のスタンスフェーズにおいて皮膚求心性入力は伸張反射には強く関わらないことを示している。

 

 

 

以下、個人的な考察

EMGの変化はデータを見る限りでは虚血が一番大きい気がします。

今回はヒラメ筋ですが、他の筋でもそうなのかも?

 

歩行時につまづくのは

筋力低下や神経の影響もありますが、虚血の影響が特に大きいのかもしれません。

血流の改善を図るアプローチがうまくできたらいいなぁと思います。