某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

おしらせ

色々と調べてみたところ、論文の翻訳が著作権侵害にあたる可能性がありそうです。

少なくとも、自分の文章よりも長い引用はアウトなようで。

 

要約ならOKなようなのでしばらく要約で書いていきます。

これまで書いた文章もうまくまとめられたら順次再度記載していきます。

アルコール摂取下では、機械受容器の感覚はヒトの姿勢制御における重要性を増す

Mechanoreceptive sensation is of increased importance for human postual control under alcohol intoxication

 

Modig F, Patel M, Magnusson M, Fransson PA  2012  IF 2.3

 

ヒトの立位姿勢の安定性は、視覚、前庭、固有受容、機械受容感覚を中枢神経系が統合することで成り立つが、もし感覚の減少や欠落がおきると中枢神経系は他の信頼できる感覚情報に重きをおくことで代償する。これを感覚の再荷重という。

 

アルコール摂取により頭位アルコール眼振が起きたり、眼球運動の異常が起きたり、脊髄小脳や前庭小脳由来の失調が起きたりする。

 

その際の姿勢制御には、足底から中枢神経系に送られる皮膚感覚がバランス調整に特に重要である。

足底から詳細な時間的、空間的情報が入力され、体順応が変化する(!)

 

この研究の目的は、足部からの低閾値の機械受容感覚が、アルコール摂取後の開眼時、閉眼時の姿勢制御にどう貢献するかを検討することである。 

 

 結果、酔うほど足部感覚の重要性は大きくなった。

 

特に振動刺激に対する反応が弱い人(閾値が高い人)は酔った際にひどい不安定性を示した。

 中枢神経内のアルコールの存在は、細胞膜へのナトリウムイオンの流れを阻害し、結果神経がうまく発火できなくなったり伝導速度が遅くなったりする。

前庭感覚情報の阻害は酔いのレベルに関連するため、酔うほど姿勢制御における足部感覚の重要性は増大する。

 

 

 以下、個人的な考察

以前書いた足底感覚受容器の順応が遅い受容器と速い受容器は

遅いのが触覚受容、速いのが振動受容に関連するという研究もあるようです。

特に動的な安定性には速い受容器が関わるみたいですね。

 

酔いによって足底感覚も低下する可能性もあるとは記載されていますが、特に阻害のレベルが強いのは前庭感覚のようです。

 

もともと振動刺激に対する閾値が高い人もいるようなので、誰もが同じ反応するわけではないってのが大事ですね。

今回の研究では、振動は120Hzを用いたようですが、

以前の記事に書いた各受容器が最も反応する振動数(FA1・・・60Hz FA2・・・250Hz)とは異なるんですよね。

複合的にみてるってことですかね。

 

 

 今回の件は上記の通りですが、途中の

「 足底から詳細な時間的、空間的情報が入力され、体順応が変化する」

 の部分には驚きです。

まさか足部への感覚入力が姿勢に影響をもたらす件が論文になっているとは!

 

この部分は他の論文の引用のようのですが、この論文をダウンロードできたら近々訳してみたいと思います。

 

皮膚神経刺激と運動ニューロンの興奮性

Cutaneous nerve stimulation and motoneuronal excitability 2

 

Delwaide PJ, Crenna P   1984

 

感覚神経の刺激後、遠位の運動核でさえ回復曲線によって示される興奮性の変化の影響をうける。

すべてにおいて、等しくない2つの促通のピークが見出される。

これは、様々な感覚神経の刺激後の運動神経核や、腓腹神経への刺激と同様の刺激が運動神経核に行われた際に見られる。

 

腓腹神経へ様々な強度での刺激後、ヒラメ筋と前脛骨筋運動ニューロンの興奮性の変化をこれまでに報告してきた。

 

同側および対側へ刺激した際には似たような結果が得られ、脊髄の分節構造を基本とした解釈では説明が難しく、何か他の要因があるのでは?と考え

伏在神経、外側大腿皮神経、腸骨下腹神経、正中神経、三叉神経への刺激がヒラメ筋運動核へ及ぼす影響を調査する。

また、腓腹神経への刺激がヒラメ筋、大腿四頭筋大腿二頭筋短頭、上腕二頭筋、咬筋の運動核へ及ぼす影響を調査する。

 

結果、これらすべての神経への刺激はヒラメ筋運動核を促通した。

また、腓腹神経への刺激が様々な筋の運動核を促通した。

 

これは脊髄の分節的なメカニズムのみ、及び頸髄と腰髄ー仙骨間の相互作用のみの説明では不十分である。

頭尾に連続するすべての運動核を促通する上位脊髄中枢の存在を仮定すると興味深い。

 

 

以下、個人的な考察

とある先生が書いてた論文の参考論文にされていたので元の論文をもってきてみました。

古い論文ですが、なかなか面白い。

 

解剖の教科書的にはあまり関係性がなさそうな部位であっても

ヒトの体はやっぱりつながっているので影響があるんですね。

 

 頸膨大と腰膨大をつなぐ線維もあるみたいで 

(頸膨大は咀嚼リズム、腰膨大は歩行リズムという話を聞いたことありますがどうなんでしょう) 

うまいこと全身のリズムがとれるように身体も神経もできているんですね。

不思議なもんです人体。

静的および動的紡錘ニューロンの赤核脊髄路のコントロール

Rubrospinal control of static and dynamic fusimotor neurons

Appelberg B, Jeneskog T, Johansson H   1975

 

ネコを用いて赤核脊髄路がγ運動ニューロンにおよぼす影響を研究

約40%の細胞が動的なものと考えられた。

動的な紡錘運動ニューロンは、屈筋細胞の興奮と伸展細胞の抑制が厳密に相互作用する方法で影響される。

 

赤核脊髄路はαーγ連関に遠心性の働きをもつ。

赤核の背側が動的γ運動ニューロンをコントロールする。

 

 

 

以下、個人的な考察

赤核脊髄路について結構いろいろと報告がありまして。

ウェルニッケ=マン肢位の原因も赤核脊髄路であるという論文もあります。

網様体脊髄路って論文もありますが)

特に動的γニューロンとの関連が今回の論文では報告されており

運動時に緊張が異常に上がってしまう原因であると自分は考えています。

 

数年前まではヒトにおける赤核脊髄路は無いのではないかって意見もありましたが

2014年にはヒトにおける赤核脊髄路も同定されましたし、

色々と動物実験からの考えも応用できそうに思います。(やっぱりヒトには無かったよってなるかもしれませんが)

 

年々医学が進歩していくと

これまで正しいと思われていたことが間違っていたりその逆のことが起こったり。

 

はっきりとこれだ!って答えがわかっちゃえばラクなんですけど

一応今はこれだけど数年後には逆になってるかも・・・ってはっきりしない部分はどうしてもあると思います。

 

答えがでないのは気持ち悪くもあるのですが

結局悩んだところで答えはでないので、

このはっきりしない感じを楽しむというところに意識をもっていければいいんでしょううね。

後肢懸垂は機械的感覚受容、上皮の厚さ、末梢神経分布に影響をもたらさない

Hindlimb suspension does not influence mechanical sensitivity, epidermal thickness, and peripheral nerve density in the glabrous skin of the rat hind paw

 

Tanaka Y, Nakano J, Hamaue Y, Sekino Y, Sakamoto J, Kataoka H, Okita M

2013  IF: 1.461

 

後肢懸垂を用いた微小重力による影響について多く研究されており、内臓、血管、循環、骨や筋の変化について数多くの報告がある。

皮膚に関しては少ないものの、皮膚が薄くなるとの報告もあり、そこから感覚にも変化があることが考えられる。

しかしながら、後肢懸垂では微小重力の影響だけでなく、ラットに対するストレスから身体の変化があることが考えられ実際に血中のストレスマーカーは上昇している。

 

そこで実際に後肢懸垂するグループ、装置は装着するけど懸垂しないグループ、コントロールで比較

 

結果機械刺激に対する感覚過敏は懸垂しないグループでも観察され、微小重力が原因ではないことが示唆された。

ストレスによる感覚過敏が考えられる。

 

以下、個人的な考察

以前、このグループの研究で、不動が感覚過敏をもたらすみたいな論文を翻訳したのですが

不動もかなりのストレスだと思うので、実は動かさないことが原因 ではなく動かないことによるストレス が原因だったりして・・・

 

過度なストレスというのはやはり良くないんですね。

患者さんみるときも身体の問題だけでなく、家庭でのストレスとか、心因性の不安とか

総合的にみて痛みの原因を判断していければと思うのですが

 

自分がどうしても痛みを治せない患者さんがいた時に、これは家の問題だな!と逃げ道を作っちゃいそうで怖いですね。

でも本当に家庭が問題だったりして・・・と永久ループです。

 

拘縮の治療と予防のためのストレッチ

Stretch for the treatment and prevention of contracture: an abridged republication of a Cochrane systematic review

LA Harvey, OM Katelinic, RD Herbert, AM Moseley, NA Lanninm, K Schurr

2017 IF 4.08

 

ストレッチは本当に効果があるのか

動物実験において

短縮位での固定がサルコメア長が低下することが報告されている。

また、ストレッチで形態的な変化と伸長性の増加がみられ

このことからストレッチは拘縮治療に効果があると思われている。

 

ヒトに対しては本当に効果があるのか

18の研究 述べ549人の神経障害のある患者さんに対するストレッチの効果と

18の研究 述べ865人の非神経障害の患者さんに対するストレッチの効果を検討した。

 

結果

神経障害の有無にかかわらずストレッチは関節の運動性に臨床的効果がないという高いエビデンスが得られた。

 

 

 

以下、個人的な考察

前回のブログに書いた神経由来の拘縮にストレッチは効果がないという論文を翻訳しようとしたら

その論文を書いたグループがさらに新しい論文を書いてたのでそっちにしました。

 

昔から宇都宮先生にはストレッチするな!と言われましたが

でも脳卒中患者さんの足首硬くなっちゃう・・・って思ってたら

当院のボスにも脳卒中患者さんにストレッチするな!と言われて

今となったら自分もストレッチ全然しなくなりました。(ROM.exはやりますが)

 

特に脳卒中患者さんへのストレッチに関しては、筋の緊張をどんどん高めてしまうっていうメカニズムを解説した論文が結構ありますが

こういう統計的なデータもあるってことはやっぱりダメなんですね。

 

 

動物実験では効果が認められているっぽいんですが

動物実験て条件決めが難しいんですよね・・・

ラットの体重は300gくらいで、ちょっと触った程度でも300gくらいの力が加わっちゃうし

しっかり伸ばそうとして体重以上の力が加わっているとなると

体重以上の力で単一の筋肉を伸ばそうなんてしたら、そりゃ筋肉引きちぎれるだろうなって思います

(可動域的には向上するかもしれませんが)

 

 

来週は研修会のため更新できないかもしれません

不動による非炎症性関節拘縮

Noninflammatory joint contractures arising from immobility: animal models to future treatments

Wong K, Trudel G, Laneuville O

IF 2.4

 

疫学的に関節拘縮を分類すると

①先天的なもの

②慢性疾患や外傷後(炎症性の経路による)

③不動によるもの

 

 

②の場合、滑膜の増生と線維化を伴う関節包の変化を起こし、疼痛によるROM制限を伴う事が多い。

大きな関節に拘縮が発生した1/3以上はICUで2週間以上の臥床をした患者である。

ICUで拘縮がつくられた患者は、退院後3.3年における死亡率が高い。

 

疫学的には機械的刺激の不足が拘縮の原因となる。

 

関節拘縮は慢性化すると治療効果が少ない。

関節包の変化(関節包の短縮、接着、線維化)→その後ROM改善しない

不動は筋の異栄養と関節包の変化をもたらす

 

不動化により軟骨細胞の遺伝子発現も変化

軟骨内のタンパクレベルが変化し、滑液分泌は減少する。

そのため、関節拘縮は遺伝的な要因もある。

 

不動により、関節包のtypeⅠコラーゲンが増生しtypeⅢコラーゲンが減少する

最終糖化産物(AGEs)は結合線維の剛性を高める

 

神経由来の症状(脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺等)にはストレッチの効果がない。

 

 

以下、個人的な考察

ICUで拘縮がつくられた患者は、退院後3.3年における死亡率が高いっていうのは

介入できないほどの病態→拘縮になった可能性があるんじゃないかと思うので

拘縮自体が死亡率に関わるのかどうかはわかりませんが。

 

コラーゲンについては、Ⅲ型/Ⅰ型コラーゲンの比率が

加齢に伴って低くなるという論文があり、不動によって加齢と似た身体の変化をもたらされるのでしょう。

身体の中で動かない部分というのは加齢が進行するんですかね。

 

最近は拘縮においても遺伝子、タンパクレベルでの研究がなされているみたいで、身体に加わる周囲の因子から、タンパクレベルで身体の変化がおこるということからも

いろんな刺激が身体に入るのが健康維持には大切なのだと思います。

 

AGEsが結合線維の剛性を高める→食べ物によって身体の状態が悪化するってのがちゃんと論文であるんですね。

甘いものばかり食べてると体を悪くするというのは、血液データ的なものだけでなく関節拘縮にも関係するみたいで、

後輩がジュースが好きだけど、飲むと体が硬くなるんですとか言ってたけど、こういうことですかね。

 

神経由来の拘縮にストレッチは効果がないっていうのは、医学的に説明するような論文はありましたが、統計的なデータに関しても論文があるみたいなので

近いうちに翻訳してみたいと思います。

 

臨床に真剣に向き合っている方々から、「なんかわからんけど臨床上こういうことがあるよ」と教えてもらった現象は

少し時間が経ってくると多くのものがデータとして証明されてくるのでびっくりです。