某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

グループⅡ筋求心性線維はおそらくヒトの歩行時の中潜時ヒラメ筋伸張反射に貢献する

Group Ⅱ muscle afferents probably contribute to the medium latency soleus stretch reflex during walking in humans

 

MJ Grey, M Ladouceur, JB Andersen, JB Nielsen T Sinkjaer   2001  IF 5.0

 

中枢神経システムは正常なヒトの歩行のコントロールに複雑な神経ネットワークの経路とメカニズムを持つ。こうしたメカニズムの1つとして、筋や皮膚、感覚レセプターからの求心性フィードバックがある。ヒトの歩行における求心性の情報に対する我々の知識は限られているが、この分野における積極的な研究が何年も続けられてきた。Yangら(1991)やSinkjaerら(1996)は、足部の伸筋群が予期しない伸張状態にさらされた際に、歩行のコントロールには求心性の調節されたフィードバックがCNSによって用いられることを示した。さらに近年では、Sinkjaerら(2000)は歩行の際に、ヒラメ筋から得られた50%にものぼるバックグラウンドでの筋電図が求心性フィードバックに貢献するというエビデンスを示している。しかしながら、求心路の相対的な重要性は、歩行時にバックグラウンドで得られた筋電図と、伸張の際に得られた筋電図では異なるだろう。

 

 ヒトのヒラメ筋が座位で伸張された時、平均潜時59と86msの2つのはっきりした発火が筋電図で得られる。これらの発火はそれぞれ短潜時反射応答(SLR)と中潜時反射応答(MLR)と呼ばれ、さらにそれぞれM1、M2伸張反射と関連づけられる。短潜時反射は約40msの潜時から始まりグループIa線維の大径線維から脊髄運動ニューロンの単シナプス興奮に関わる。中潜時反射は乏シナプス経路を通るグループⅡ求心路によって修正され、おそらくグループIb求心路を経由する。さらに、グループⅡ求心線維は立位時の中潜時応答にも貢献することが報告されており、そこからグループⅡ求心性線維は歩行時の中潜時応答を修正することが間接的ではあるが考えられる。グループIbの力―感覚求心線維もまたネコにおいてエビデンスがあり、ヒトの立位や歩行においても姿勢調整にかかわるだろう。

 

 本研究の目的は、歩行時に足首の動揺する際、ヒラメ筋筋電図における中潜時応答はどちらの求心性線維によって修正されるかを決定することである。これには、以下の事を用いて検討した。

1.グループIa線維は速度に敏感で、グループⅡ線維はより振幅に敏感であり、歩行の際の短潜時伸張反射は筋により速い動揺が加わった際に増大し、中潜時反射は伸張速度には依存しないことが考えられる。

2.神経の冷却を用いると、伸張反射による短潜時または中潜時応答は同じ求心性線維によって調節されるかどうかを調査することができる。これは、冷却の効果が、神経の直径によって異なることに由来し、神経線維の伝導速度は冷却によって低下するが、それは神経の直径が細ければ細いほど低下度合が大きく、小径であるグループⅡ線維は、より大きいIa線維よりも大きく速度が低下することになる。

3.大径求心性線維に対する虚血性ブロックがもちいられた。これによって線維の直径を図り、より大径のIa線維は小径の線維よりも早くブロックされる。これによってIa線維が中潜時応答により重大な影響をもたらすかどうかを検討することができる。

4.α2アドレナリン受容体作動物質、チザニジンは、グループⅡ求心線維からの多シナプス脊髄経路の伝達を選択的に弱める。チザニジンはグループⅡ求心線維の活動電位を大きく弱めるが、グループI求心線維には影響をもたらさない。

5.足首への局所麻酔により、足部の皮膚求心電位を弱めることができる。これによって足部の皮膚求心性情報が中潜時応答に影響をもたらす可能性を減らすことができる。

 

 

結果

 図2に足関節角度、ヒラメ筋筋電図、前脛骨筋筋電図の結果を示す。このケースでは3.5km/hで歩行し、伸張反射はヒールコンタクトの200ms後に加えた。

 

伸張速度の違いによるEMGの応答は図3

 

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図5

 A 神経冷却の効果

 B 虚血の効果

 C チザニチンの効果

 D リドカインブロックの効果(局所麻酔)

細い線は介入前、太い線は介入後 

グラフの黒■は介入前  白□は介入後

 

 

考察

 本研究の結果から、歩行の際にヒラメ筋筋電図における伸張調節反応は2つの反応に分離され、それは速度の感度、神経冷却、虚血性ブロック、チザニジンやリドカインの影響によってもたらされることが示された。さらに、我々は中潜時伸張反射はグループⅡ筋束求心性線維によってもたらされることを示した。

 

どちらの求心性線維が含まれるか

5つのテクニックが本研究で用いられ、歩行の際に足首が動揺した際の伸張反射には様々な求心路が貢献することが示された。本研究で調査された短潜時応答と中潜時応答は、Ia線維によって調整される単シナプス経路と、グループⅡ線維によって調整される乏シナプス経路の伝導速度の範囲(Schieppati & Nardone 1997)と一致した。

本研究で観察された短潜時応答の速度感度は、グループIa求心性線維によって調整されたもの(Houk & Rymer 1981)と一致した。短潜時伸張反射の低下はIa求心性線維は虚血によってブロックされるが、一方中潜時応答は低下がみられず、同じIa求心性線維によって調整されていないことが明らかとなった。伝導速度の小さい小径グループIa線維または他シナプス神経内結合が中潜時応答に役立つだろう。しかしながら、中潜時応答における速度感度は小さく、より遅いIa線維からの影響はさらに小さいようである。

 中潜時反射応答における速度感度の不足はグループⅡ求心性線維においてはグループIaほど速度の感度が良くないというネコで行われた研究(Nichols & Houk 1976)と同様の結果となった。チザニジンによる中潜時伸張反射の大幅な低下から、グループⅡ求心性線維は中潜時応答に関わるが、短潜時応答には関与しないことが考えられる。これらの結果はErikssonら(1996)の四頭筋の伸張反射の結果とは対照的なものとなった。この矛盾はおそらく四頭筋と脊髄との距離がより短いことによるものである。四頭筋反射ループにおいて伝導距離がより短いと、グループIとⅡの効果はヒラメ筋よりも不明瞭なものとなるだろう。

 

ネコにおいては、チザニジンがグループⅡ求心性線維の多シナプス脊髄路の伝導を選択的に低下させることが報告されているが(Barsら1989, 1990 Skoogら 1996)、彼らの調査ではグループⅠ、Ⅱ筋束の求心性線維に限局されていた。グループIb腱求心性線維、皮膚求心性線維におけるチザニジンの効果は調査されていない。加えて、チザニジンは侵害受容感覚に対する脊髄後角ニューロンの反応を弱めるが、無害の皮膚刺激に対しては弱めないことからα2アドレナリン作動体の中にはグループⅡ抑制以外にも働くものがあることが考えられる。

 

ヒトの歩行の際の皮膚反射の効果は近年かなりの興味をもたれている。これらの反射は歩行の調整やつまづいた際の応答に重要である。本件研究と対照的に、過去の研究ではスィングへの移行期、またはスイングからの移行期に着目している。大径Aαと中径Aβ皮膚求心線維の伝導速度もまた本研究で観察された反射応答にかかわるだろう。しかしながら、van Wezelら(2000)はAβ線維は歩行の際の皮膚反射を調整するのにもっと役立っていると報告している。

 

本研究では足部や足首からの皮膚求心性入力伝達は局所麻酔によって強く制限された。足部への麻酔の後、短潜時、中潜時伸張反射の変化があまりみられなかったのは、少なくとも歩行時のスタンスフェーズにおいて皮膚求心性入力は伸張反射には強く関わらないことを示している。

 

グループIb筋腱求心性線維は、除脳ネコにおいて同側性運動ニューロンを抑制することが示されている(Nichols & Houk 1976)。しかしながら、近年の研究では、ネコにおいてこれらの求心性線維は歩行時には逆転し興奮性の反応をもたらすことが示されている(Pearson & Collins 1993, Gossardら1994)。ヒトにおいては、Ib求心性線維は促通性の効果ももたらすと考えられている(Dietz 1998, Stephens & Yang 1999)。

 

 

本研究の結果から、グループⅡ求心性線維が単独で中潜時伸張反射を調整するかどうかを述べることはできなかった。これは、チザニジンがグループⅡ求心性経路と同様にグループIb求心線維に対しても弱める働きを持つかどうかがはっきりしないためである。今後は特にヒトの歩行の際の伸張反射に関連した働きをするこれらの求心性線維の働きを決定し、定量化する必要がある。

 

 

以下、個人的な考察

EMGの変化はデータを見る限りでは虚血が一番大きい気がします。

今回はヒラメ筋ですが、他の筋でもそうなのかも?

 

歩行時につまづくのは

筋力低下や神経の影響もありますが、虚血の影響が特に大きいのかもしれません。

血流の改善を図るアプローチがうまくできたらいいなぁと思います。

 

 

静止立位時のバランスコントロールにおける足首の筋の硬さ

Ankle muscle stiffness in the control of balance during quiet standing

DA Winter, AE Patla, S Rietdyk, MG Ishac 2001    IF:2.3

 

 

Winterら(1998)によって静止立位時の単一の筋の硬さのバランスコントロールの概念について紹介された。その議論の核心部分は、コントロールされた変数COM(質量中心)は実際にフェーズの中で運動変数COP(圧中心)をコントロールするということだ。質量、ばね、緩衝メカニカルシステムの調整によって間接的にバネのような硬さは作り上げられる。もし正常な反応制御があれば、求心性、遠心性の潜時と筋収縮の動員の生理機械的な遅延の結合が、COMが動いた約100ms後のCOPに結果として現れるであろう。MarassoとSchieppatiは単純なバネのような硬さは存在するが、しかし「オリジナルの遅れを補正する何かコントロール回路のようなものが存在し」COPとCOM間の同期が生理学的法則の結果として必要であると述べている。こうした批判の中、本論文の目的は足首のモーメントと動揺角度を直接測定することで、足首における単一のバネのコントロールの実験的エビデンスを提供することである。また、エビデンスは足首の底屈筋の硬さ特性により提供され、この非線形性は姿勢をアップライトにコントロールするための単純かつ安定した動作点を提供する。

 

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図1:逆振り子のモデル 

   COPを通る垂線とCOMと結んだ線とのなす角

   この角度×重量×高さから足首周りのモーメントを算出

 

結果

 静止立位時の10人の被験者の解析で、3DでCOMとCOPのバイオメカニカルな解析が行われた。

足首のモーメントと動揺の角度には高い相関が見られた(図2)

 

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足部の硬さに着目した研究において、我々の研究で行った静止立位状態と似たものは1つもなかった。Hofは特別な測定機器を用いて立位時の足首を測定したが、被験者は杖の上に手をおいてバランスを修正することができた。

底屈筋の弾性特性の研究では、筋硬度の概算をもたらした。WintersやStarkによるこうした研究を真似し、さらに各筋の弾性コンポーネントの合計を含めたものを図3に示す。80kgの大人が、足首の5cm前方にCOP`がある状態で立つと、足首にかかる合計のモーメントは約40Nmである。こうして足首に20Nmの筋トーンがかかっている場合、足首の剛性は図3のaで示した非線形のカーブから算出される。2つの合計されたカーブがプロットされており、1)腓腹筋、ヒラメ筋、残りの底屈筋群の合計、2)ヒラメ筋、腓腹筋の2倍、残りの底屈筋群の合計である。この2つめの合計したものは腓腹筋(本実験においては腹臥位で膝屈曲位のため短縮位であった)がその生理学的にクロスする部位(ヒラメ筋のちょうど半分以上にわたる)に比例して貢献するという仮説に基づいている。これらの姿勢保持筋の非線形特性の機能的重要性が強調されなければならない。安定した動点が結果としてこの非線形性から現れている。もし被験者が前方へスウェイしたら、角度は増大するし、後方へスウェイしたら角度は減少する。こうして、この角度における安定した動点はmgh(質量×高さ)の閾値を超える。

 

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MorassoとSchieppatiは反転した振り子モデルを用いて、Winterらのモデルとに似たバネによるコントロールと同一と考えた。MorassoとSchieppatiはそのモデルの中で、我々の発見したCOMとCOPの関連性の同期は単純なバネのコントロールの機能ではないと述べている。

 

HofやWinters and Starkらによる静的な足首の筋の硬さの形成は、我々の結果を強めるものであった。単純なバネのコントロールによってもたらされるCOPとCOM間の同期した関係は、MorassoとSchieppatiのモデルによっては説明できず、それは彼らのモデルが求心性または遠心性の遅延を含めていないからである。MorassoとSchieppatiの剛性に対する過剰なクレームは、荷重は彼らの間違った前提である運動システムの発火ノイズによって修正されるというものである。さらに、足首のバネによるノイズは底屈筋群の収縮の合計による波形によって示されるように最小のものである。

 

 

 

以下、個人的な考察 

 

この論文はなんだかものすごく読みにくかった・・・

文法がなんか不思議なんですよね。

最後の文もまとめっぽっくないし

 

やたらMorassoさんとSchieppatiさんを批判している感じでしたが、過去に何かあったのかな。

 

モーメントが大きいと動揺も大きいらしいですが、そりゃそうだろうなぁと

動揺が大きいからといって姿勢のコントロールが悪いわけではないと思っております。

 

 

東京での研修会は非常によかったです。

 勉強が出来ないことを言い訳をしない。

 どんだけ疲れてても、他にやることがあっても、勉強すると決めたら毎日絶対やる

 そうやって自分に厳しく勉強している人だけが上にいける

 

ぬるいことをしていた最近を反省できた研修会でした。

 

でも困ったことに自分に甘いんだよなぁ・・・

関連痛

前々回くらいのスクレロトームの話のInmanの文献を探していてみつけた文献です。

Inmanの文献はみつかりませんでした・・・

今回の文献 IFめっちゃ高くてびっくり。古い文献だからIFあまり参考にならないかもですが

author不明ってのでさらにびっくり。

 

Referred pain

1942  IF 19.96

 

内臓疾患から離れた位置に、なぜ痛みが感じられるのかは臨床家にとって長く夢中にさせてきたが、Mackenzieが関連痛に関してよく知られた概念を発達させ多くの論争を生み出してきた。Mackenzieは内臓事態は感覚を感じないが、ある環境においては内臓から信号が上向し、求心性の神経は交感神経から後根へと入り、脊髄運動神経を活性化させ、筋を活動させ、皮膚や筋からの本当の感覚神経から中枢へとつながり、我々は痛みを知覚すると考えた。こうした内臓感覚、内臓運動反射と彼が呼んだものが、関連痛の主な現象であるとMackenzieは説明しようとした。

 

 Theobaldは、子宮を観察することで新たな仮説を生み出した。彼は子宮頸部痛がある際に硝酸銀の棒をあてていると5分以内に腸骨稜、大腿内側に関連痛が生じることを示したが、これはL1の支配領域である。腸骨の痛みは、皮膚が骨に最も近づく部位での皮下線維への麻酔で一時的に和らげられ、腹部の痛みは腸骨鼡径神経、腸骨下腹神経への麻酔で和らげられる。月経困難による周期的な痛みはこれらの介入により消失する。陣痛も似た反応を示し、局所麻酔による腹痛の軽減は腸骨部の痛みを強調し、もし、局所麻酔で痛みを消失させると、鼡径管や恥丘領域の痛みとして認識される。

 これらの結果はMackenzieの仮説に一致するものであるが、内臓疾患からのぼる痛みが関連する皮膚部分への麻酔で軽減するのかを説明するに十分な根拠ではない。たとえば絞扼性大腿ヘルニアによる腹部の痛みは腹壁への麻酔では軽減しない。Theobaldは月経困難と社会的な環境の相関性を強く関連付け、実際に硝酸銀が全身麻酔下で子宮頸部へあてられると、ただちに痛みは消失することを示した。Theobaldによるこれらの事実は、関連痛の異常な特徴には、脊髄よりも脳が深くかかわっていることを示している。アクシデントで出血により痛みがどこにあるか隠されている際、体幹は板のようになり、下肢は屈曲する。もし腸骨下腹神経や腸骨鼡径神経が麻酔されると痛みや腹部の硬さはなくなる。下部胸椎の6つの神経がL1の刺激病巣によって刺激されることは無く、Mackenzieの内臓運動、内臓感覚の仮説は脳による中枢の調整を反映している。頻繁な広い関連痛―Theobaldの例では中足基節関節の障害による陰茎先端の痛みや、歯槽膿漏による腕の痛みといった関連痛を含み、これもまた脊髄よりも脳によるものと理解できる。彼は、内臓疾患のインパルスは体性感覚神経を上向し、交感神経経路を通り脳の痛覚中枢へ到達すると提案している。これらのインパルスが到着すると、通常の体壁からのインパルスの受容閾値を低下させ、痛覚受容に広くかかわる。Theobaldの仮説では内臓や皮膚からのインパルスは脊髄から感覚器へと部分的に通り、内臓運動反射は脳によるものと考えている点でMackenzieのものとは異なる。

 普段の読者は、関連痛に対する様々な理論に混乱しがちだろうが、より重要ないくつかのポイントを要約する。内臓疾患のほとんどの例で、痛みがまずどこからでているかを疑う余地がある。Lennanderは数年前に、ほとんどの腹腔臓器は機械および温度刺激への反応が悪いことを示し、痛みはこうした臓器から直接あがるのではなく、周囲の感覚の鋭い器官(腸間膜等)から上向するものであると提唱した。LewisとKellgrenらは、除脳ネコの十二指腸の腸間膜をつまむと腹直筋の反射的収縮がみられるが、十二指腸自体をつまむと反射が起きないことを観察した。Morleyらは、局在の明確ではない痛みは内臓から上向するが、これは筋の硬さによる痛みではみられず腸間膜内の体性神経の刺激の結果であると考えた。さらに、内臓やその周囲の痛みが直接上向するかどうかについてはより注意してとらえなければならない。体壁から上向するインパルスが内臓痛の原因として貢献するかどうかは最終的には解決せず、Morleyは横隔膜の下面の刺激によっておこる痛みが、肩の皮膚の麻酔によって軽減することを発見し、Woollard, Carmichael, Robertsは横隔膜の圧縮に対して同様の行為を行ってもまったく効果がなかったと報告しており論争があるが、Morleyは内臓疾患により起こりうる現象により近い条件で再現している。最後に、通常セグメントによって痛みが分布する一方で内臓痛は奇妙な分布をしている。KellgrenとLewisは、この特性は内臓疾患にのみ特有のものではなく、深層組織から上向する体性痛においてもみられることを示している。こうしたことから、障害された構造の深さによって痛みが局所的か、部位的か、離れた部位に感じられるのかを決定することがわかる。内臓からの感覚神経は自律神経系の経路を通り、他の体性感覚神経と同様に後根に入る。表層の組織においては、刺激部位と感覚受容位置には正確な関連性があり、これは重要な機能である。深層痛の局在は、明らかにインパルスが入る中枢神経システムの影響をうけており、かなり粗い部位局在でおそらくは発生起源のものである。個体発生は系統発生を繰り返すという古い生物学的原理は、内臓痛は胚形成由来のものという考えを支持するものである。

 

 

 

以下、個人的考察

1942っていう戦前の文献なので、どこまで参考になるやらって思って読み始めましたが

結構今の考えと似た感じですかね。

関連痛ってのはヒトを使って検討するしかないので

なかなか他のカテゴリよりも進めにくいのかもしれません。

 

 

こんな痛みのときはこの内臓が原因!ってのがはっきりわかれば

より安全に治療がすすめられると思うのですが

ヒトの体はそんな簡単じゃないから難しいし、面白いのかもしれません。

 

次回、東京で研修のため更新できるか不明ですが、できるだけ頑張ります。

できるだけです。

 

頭蓋下顎痛と機能障害に対する筋筋膜リリース

Myofascial release for craniomandibular pain and dysfunction

 

JF Barnes  IF: 0.47

 

驚くべきことに、完全な生理学的システムとして重要な筋膜システムはごく最近まで注目を浴びることはなかった。臨床的なエビデンスとして、筋膜システムの制限は、歯科医やセラピストが痛みを和らげ、機能を回復させるのにかなり重大なものであることを示してきた。

 

マッサージ、運動や柔軟体操、薬、モビライゼーション、マニピュレーション、マッスルエナジーテクニック、すべて神経筋骨格システムに影響するが、筋膜システムには影響しない。筋筋膜リリースのみが構造的にクロスリンクと筋膜の基質の粘性を変化させる。

 

筋膜の制限が神経筋骨格系や他の痛覚受容組織に絶大な張力を及ぼすということに気付ければ、この情報は歯科医やセラピストに大変重要である。

 

Kyotoはこの圧を測定したところ1平方インチあたり約2000ポンドであった。この巨大な圧は、我々が排除しようと努力している様々な症状を起こしうる。症状を和らげるために無駄なことをするよりも、私たちは原因を見つけ出し、原因を絶ち、患者の複雑な問題を解決するためのツールを手に入れた。

 

 

筋膜の解剖と生理学

 ミシガン州立大学のバイオメカニカル研究所では、痛みや機能障害における筋膜システムの役割の重要性を報告してきた。筋膜の機能障害や束縛が理学療法が遭遇するひどい結果の理由になりうる。

 筋膜は途切れることなく頭から足まで3次元的に全身を広く覆う強い結合線維である。筋膜はすべての筋、骨、神経、血管、体の器官を包み、細胞レベルまで繋がる。そのため、トラウマ、姿勢、炎症等による筋膜システムの機能障害は筋膜を通じて神経や筋、骨、器官に正常でない圧を与えることとなる。これはデルマトームの領域に沿わない一見関連のない症状のようにみえる奇妙な副作用を生じさせる。痛みや可動域制限のある中で極めて高いパーセンテージの人々が筋膜の問題があるがほとんどは診断がつかず、筋膜の重要性は今になって認められてきた。多くのスタンダードな検査、レントゲン、ミエログラフィー、CAT、筋電計等は筋膜を見つけられない。

 

筋膜は3つの部分に分解できる

  • 浅筋膜は真皮の直下に存在する。
  • 深筋膜は筋、骨、神経、血管、全身の器官を細胞レベルまで包み、満たしている。

3.最も深い筋膜は頭蓋仙骨システム内の硬膜内にある。

 

筋膜は細胞レベルでは間質のスペースを作り出し、支持、保護、分離、細胞内呼吸、排泄、新陳代謝、液体とリンパの流れに極めて重要な機能を果たす。言い換えると、体のすべての細胞との直接接する環境であり、筋膜のいかなるトラウマ、機能障害も、全身の細胞の効率の低下、ネクローシス、病気、疼痛や機能障害を起こしうる環境を作ってしまう。

 健康のプロは脳、脊髄、脳脊髄液、硬膜、頭蓋骨、仙骨、複雑な筋膜システムやそれが包み、入り込み、影響するすべての構造体の生理学的な動きに対して、その治療がどのような影響をもたらすのかを考えなければならない。頭蓋と筋膜コンセプトの組織的な影響は広く理解されることで、歯科の重点は顎関節の概念から、外皮内の頭蓋下顎関節の概念へと変化する。頭蓋仙骨メカニズムを理解することで、歯科は患者全般の健康により大きな役割を果たせると考えられる。

 

側頭下顎関節機能障害は筋膜システムの強力な影響によって起こる全身の現象で、セラピストと歯科医の役割の相互作用をたやすく視覚化することができる。頭蓋下顎機能障害への筋膜リリースアプローチは、多面的で多くの学問領域に関わる。

 

伝統的な理学療法で症状への治療を始める―湿熱、頭蓋療法、超音波、経皮的神経刺激、電気刺激、微小電流、マッサージ、治療的エクササイズ―痛みやスパズムを減らし、ROMを増大させ、バランス機能の向上や筋力強化を行う。

 

バイオフィードバックは歯ぎしりを無くし、慢性的な骨格および平滑筋のテンションを減らし、リラックスしたり日常のストレスとうまくやっていったりするための再教育に非常に役立つ。

 

治療経過で、側頭下顎関節の筋スパズム、両側の関節のみに症状を引き起こす筋膜と骨の制限を評価し続ける。その構造と機能の唯一性によって、側頭下顎メカニズムはバランスをとるのに機能する必要がある。その位置や根本的な機能は遠く離れた足部、下肢、腸骨、肩といった関節のインバランスによって深く影響される。この考え方では、微小電流、神経針、冷却治療は体中の経点をマスターして行われるべきである。これらの治療はβエンドルフィンを解放し、体のエネルギーの流れを調整し、筋スパズムを減らして疼痛を軽減することができる。

(図2、3)

 

そのため、体の構造的なインバランスを作り出す筋筋膜の制限を見つけ出し、治療していかなくてはならない。制限やインバランスのおこる頻度の最も高いのは足部、腸骨、仙骨底、腰筋、肩甲帯、舌骨上部と下部である。

 

ただ単に症状の治療を行うのではなく、環椎、軸椎複合体、硬膜管、側頭筋、咬筋、内側および外側翼突筋、咬合面、側頭下顎には着目する必要がある。

 

運動と柔軟、関節モビライゼーション-マニピュレーションテクニック、トラクション、筋膜リリース、筋膜アンワインディング、姿勢再教育の組み合わせが推奨される。統一体としての体の治療により、最大限の効果と歯の治療にも役立つ。

 

我々のゴールは患者に3次元的なバランスを取り戻させることである。これによって患者の生理学的な適応能力や自己治癒能力を最大限取り戻すことができる。

 

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以下、個人的な考察

この論文は

「筋膜は〇秒でゆるむよ」みたいなことが書いてあった論文の参考文献でしたので

とりあえずどんな条件なのか読んでみようと思ったのですが

あまり秒数については記載がありませんでした。

 

細胞レベルでの研究をしていた者としては

筋膜と細胞の話がつながってくると面白い・・・

 

今回の論文は歯科と全身のつながりについてですが

近所の歯医者さんが、めまいとかも考えて歯の治療しているって噂を聞いたことがあります。

丁度歯が痛いしいってみようかな。

 

 

 

足底の個々の部位への皮膚刺激は歩行時の足の「感覚の操舵」として働く

Cutaneous stimulation of discrete regions of the sole during locomotion produces “sensory steering” of the foot

EP Zehr, T Nakajima, T Barss, T Klarner, S Miklosovic, RA Mezzarane, M Nurse, T Komiyama

2014

 

今回の論文はかなり勉強になりました。

図が重要なので、以下のURLをコピーして頭にhをたして

論文を見てみていただけたらと思います。

ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4158001/pdf/2052-1847-6-33.pdf

 

 

背景

 体性感覚フィードバックは環境と中枢神経システムの重大なコミュニケーション手段である。下肢には様々なタイプのレセプター(侵害受容、筋骨格機械受容器、皮膚および皮下機械受容器等)があり、動的な相互作用が存在する。これらすべてが歩行時には関連しあった役割を持ち、皮膚および皮下の足底反射経路の活動は、足部に加わる様々な圧を調整する皮膚の活動に特に重要である。

 感覚フィードバックの役割はヒトの歩行と複雑な機能的反射の調節を結びつける。反射は歩行時に機能的な役割を持ち、前後関係に依存した適切な振る舞いを行えるようにする。反射の振幅(感覚入力の役割)はタスク(立位か歩行か)、刺激強度(侵害受容かそうではないか)、運動のフェーズ(ヒールコンタクトか立位〜スウィングへの移行期か)といったことに依存している。歩行の精密な調節は足底の刺激された神経からの皮膚入力によって生じる。加えて、足底の皮膚からの”正常な”感覚の除去は金活動や歩行のメカニクスを変化させる。こうして、皮膚の求心性フィードバックはバランス調整をアシストし、スタンスフェーズでの足の位置を確実にさせる。

 皮膚の反射にははっきりとした神経や位置による特殊性がある。足背部、足部外側縁(腓腹神経)、足底部表面(脛骨神経)の活動は異なった反応性を示す。特に、足底のレセプターは私たちが歩行の際に地面を受容するための感覚器官である。マイスナー神経叢、メルケル盤、ルフィニ、パチニといったレセプターの高密度の集中によって、足底の皮膚はステップサイクル間の触覚の感覚が鋭い。

 触覚強度での脛骨神経の電気刺激により、スタンスからスウィングへの移行期に足部の背屈が強調される一方で、スウィングからスタンスへの移行期には足部の底屈が強調される。立位時の腓腹神経への非侵害刺激は足部の背屈と外反を増大させ、足外側部や踵付近ででこぼこな地形に立った際にバランスを崩すのを修正しようとする。

 非侵害性の皮膚反射が足背や足底を支配する3つの主な神経幹に関して研究されている一方で、近年ようやく足底の領域によって特別な効果があることが興味をもたれてきた。これらの研究は坐位または立位に限られており、また前足部内側、前足部外側、踵への刺激に限られていたが、足底の個々の領域によって起こる皮膚反射は明らかにヒトの足部筋反射の地図を生み出してきた。

 前足部への刺激はヒラメ筋と腓腹筋内側頭に抑制性の反応を発生し、前脛骨筋には興奮性の反応を示す。踵への刺激はこの反対の効果がみられる。第5趾のつま先から踵まで足底の外側縁への系統的な刺激は、このヒラメ筋と前脛骨筋反射の反転を足底の中足部周囲に発生し、以前明らかにされた腓腹筋や脛骨神経刺激よりも良い運動出力を提供する。

 前足部外側と踵への刺激は長腓骨筋への興奮性の反応を生じさせ、前足部内側への刺激は抑制性の反応を生じさせた。これらの結果は、触覚刺激は姿勢の不安定性を真似し、足関節の安定性を通して不安定な地面へ適応するために長腓骨筋の反応を調整することを示している。

 しかし、神経科学で中心となる原理では、神経機能は精巧にタスクに依存するものである。我々は立位や坐位で得られたデータから足部への刺激が歩行の際にどのようなパターンの反射を示すか保証することはできない。本論文の目的は、歩行時の足底領域への刺激が皮膚反射に及ぼす影響を調査することである。加えて、足底の特定の領域の神経機械的役割を決定し、歩行時に足部から入力される皮膚感覚の神経機械的な影響をより詳細にマップ化することである。

 本研究でテストされる仮説は2つある。1つめは歩行時に足底の個々の領域への皮膚刺激は、マップ化された個々の皮膚反射を生じさせることである。2つめは皮膚反射により形成される神経の応答と、足底の力や刺激された肢の運動学的な変化の機械的な相関があることである。

 

 

皮膚の刺激方法について  

 経皮的刺激は部分ごと足底の5箇所にランダムに行われた。踵(HL)、縦アーチ内側(M―M)、第5中足骨近位端(M―L)、第1中足骨頭(F―M)、第5中足骨遠位端(F―L)

 

 

結果

皮膚反射

すべての筋の反射のフェーズ依存性の平均化したデータは図4の通りである。データはすべての参加者の全ステップサイクルで刺激を加えた際の平均を表している。

 

 歩行の際の特定のフェーズに着目すると、惹起された皮膚反射の違いが、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に歩行サイクルの中で広範囲にわたって見出すことができる。他の筋では、刺激による違いは典型的には観察されなかった。三角筋後部、大腿二頭筋、外側広筋、中殿筋については歩行の2フェーズでのみ(外側広筋、三角筋後部は1のみ、48フェーズ中)刺激した側に主な効果がみられた。この結果から、前述の3つの筋が足首周囲では劇的に効果がある。

 図4では部分ごとの足底刺激によって長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に現れた結果を示している。

 図5では歩行周期フェーズ1とフェーズ9での各足底部位に刺激を加えた際の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動を示している。例えば、フェーズ1での腓腹筋内側頭の反射はHLへの刺激で促通され、F-Lで抑制される(矢印)。似たように、フェーズ9での長腓骨筋の反射は、F-MとM-Mでは反対で、TAに対してのHLとF-Mも反対である。次に、刺激下の状態で筋を比較すると、反射の効果は指定された筋によるものである。例えば、F-M刺激への反応はフェーズ9で長腓骨筋(促通)、腓腹筋内側頭(効果なし)、前脛骨筋(促通)である。次に、フェーズ毎の筋と刺激部位の比較では、明らかにフェーズによって反応が異なることがわかる。例えば、F-M刺激をした長腓骨筋はフェーズ1では抑制、フェーズ9では促通である。

 図6では長腓骨筋のフェーズごとの各刺激部位による反応の違いを示している。図に示されているように、長腓骨筋は刺激部位とフェーズの相互作用によって反射が変化する。長腓骨筋はスタンスフェーズでF-MおよびF-L刺激によって(フェーズ1,3,4,5)お互い常に有意差がありM-MとM-Lは立脚中期(フェーズ3と4)でお互い有意差がある。スウィングの間(フェーズ9)では、遠位(M-L、F-M、F-L)と近位(HL、M-M)で有意差がある。

 

腓腹筋内側頭の線維はアキレス腱内でParsonsによって1894年に描写されたように、踵骨外側を走行する。図7に示したように、腓腹筋内側頭の反射はフェーズと刺激部位が重要であるが、相互作用は重度ではない。フェーズ1では神経刺激部位によって大きな差がみられた。腓腹筋内側頭ではHLでの刺激は特にスタンス時、他の刺激部位とはことなることが分かった。

 

前脛骨筋については(図8)フェーズと部位の重大な相互作用がみられた。ステップサイクルのフェーズの5つで神経刺激部位による大きな違いがみられた。3つ(8,9,11)はスウィング中で2つは移行期(フェーズ12)とスタンス(フェーズ1)であった。スウィングフェーズ8,9,11ではF-Mへの刺激はM-M以外のどの部位への刺激とも異なる結果であった。M-MやF-Mといった内側への刺激は移行期(フェーズ12)の前脛骨筋を促通させた。

 

力検出について

踵部の力検出は図9、内側部は図10、外側部は図11.

 

 

足部の内外反

 足部の内外反についてはフェーズや刺激部位に重要な効果がみられ、またその相互作用についても影響される。刺激が足部の内外反におよぼす変化については図12にまとめてある。足部内外反の重大な変化としてはスタンス時(フェーズ2)とスウィング時(フェーズ9-11)にみられた。

 スタンスの間、M-Mへの刺激は外反を減少させ、HLやM-Lとは異なった結果となった。スウィングの間はF-Mのみ他のものと異なった結果となった。外側への刺激(M-L、F-L)は内反を減少させ、内側への刺激(M-M、F-M)とは反対の結果となった。

 

足部の底背屈

 底背屈については図13にまとめた。部位による違いはスウィングの際に顕著で、フェーズ9-11の間足部の内外反の効果も大きかった。スウィングの際の底背屈はF-Mへの刺激が他のものとは異なっていた。HLへの刺激はスウィングの際の背屈を減少させ、フェーズ9-11での底背屈も減少させた。

 

 

考察

本論文では、足底表面の5つの部位について非侵害性の皮膚刺激を加え、その反応について部位およびフェーズ依存性に歩行の適応が変化するかどうかを検討した。その結果足部の各部位への皮膚入力が、歩行の際には足底の求心情報と神経機械的な機能の結合により足部の安定性と強調をもたらすことが示唆された。運動学的な機械的変化はほとんどがスウィングで、力の面での運動学的変化はスタンスの際に見出された。

 

 

歩行周期による神経機械的表現

 統合された神経機械的な応答の機能的解説は下記の通りで、歩行を4つの機能的なフェーズにわけると(スタンス移行期、スタンス、スウィング移行期、スウィング)はっきりした反応が見られる。

 

 

スタンス移行期

 スウィングからスタンスへの移行期において、刺激部位依存性の特徴としては、前脛骨筋の活動と、踵への力に大きな影響がみられた。スタンスへの移行期では踵への刺激は踵への負荷軽減へと働く。機能的には、踵への非侵害性皮膚入力は前脛骨筋の活動を増加させ外返し(?)を促通し引きずったり躓いたりするのを防ぎ、立脚肢のすみやかな荷重応答を可能とさせる。スウィングからスタンスへの移行は地面への接触が予期され、踵刺激からの触覚入力は、踵接地の開始を強調すると解釈される。これらの観察はスウィング後期での脛骨神経刺激の研究結果によっても支持され、底屈によって特徴づけられる位置応答の形成を行う。

 踵よりも遠位の刺激の効果としては、でこぼこした地面へ荷重が増加する際の立脚肢を調整すると予測され、以前の研究では、歩行の立脚時の腓腹神経刺激が背屈と外返しを誘発し足部外側縁や踵付近にそってでこぼこした地面に適応できるように調整すると報告されている。M-MとF-Mへの影響を考えると、以前の論文では脛骨神経刺激で底屈が報告されており、腓腹筋と前脛骨筋活動の反射逆転がおこる境界が中足部の近位側に存在することが示されている。この境界は足底の外側縁にそって存在するが、内側縁を反映するものでもあるようだ。座位や立位でのアイソメトリックな収縮時の踵への刺激は、それぞれヒラメ筋への興奮性の反応や前脛骨筋への抑制性の反応をおこし、前足部内側や外側への刺激はその逆の反応を示す。これらのことは、F-MやF-L刺激の後前脛骨筋の促通が起こることを支持しているだけでなく、M-M刺激は反射逆転境界線が中足部周辺にあることを支持している。M-MやF-Mの効果はこうして単に脛骨神経の内側足底枝の活性からおこる反射を反映したものである。

 ヒールコンタクトでは、F-Lへの刺激は、M-Mへの刺激時の力の減少に比較して内側への力の重大な増加を示した。これらの効果は足底の縁に反対する触覚入力の増大に応答したバランスの回復や足部の安定化の結果かもしれない。NakajimaらはF-L刺激後の内側への荷重の減少は、外側の足底縁に沿った刺激が足部の外返しを促通するというエビデンスを提供している。この解釈は、このフェーズにおける長腓骨筋が広範囲にわたって促通される機能的感覚を作り出している。

 

 

スタンス

 スタンス初期に加えられた刺激の劇的な効果としては、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動や内側および外側の力、足部の内外反に変化をもたらした。踵への刺激を考えると、踵や脛骨神経への刺激は底屈をもたらし、外側への荷重の増加は、単にでこぼこな床面を受容する反応のための前足部の荷重の増加を反映している。加えて、内返しは最も内側の中足部を除いたすべての刺激で惹起された。ヒールコンタクトや立脚初期の間、踵への皮膚刺激から起こる反応は踵への圧の不均衡を是正するための反応で、運動出力の変化は前足部への圧を増加させることで立位肢のバランスをとろうとしているものと考えられる。これは内側への刺激で前脛骨筋(背屈・内返し)が促通されることや、外側への刺激で長腓骨筋(背屈・外返し)が促通されることにも反映されている。

 長腓骨筋や腓腹筋内側頭はスタンスの間、内側の足底圧に変化が起こることに強い影響があることが示された。M-LおよびF-L刺激の両方とも足底の内側への荷重を増大させることから、安定した荷重から不安定な面に応答し、バランスを改善させることを示している。これらの効果はNakajimaらにも支持されている。F-L刺激と比較して、M-L刺激後により大きな出力が起こるのは、身体質量中心が前足部よりも前にでる立脚後期に、中足部よりも前足部により大きな安定性をもたらすことを示している。

 

 

スウィング移行期

 スウィング移行期(フェーズ7)とスウィング初期(フェーズ8)では、部位依存性の効果は最も控えめであった。外側・遠位への刺激は長腓骨筋の活動を反映している。前脛骨筋は部位依存性の重大な影響を示し、底背屈や内外反はステップサイクルのこのパートをコントロールする主要な変数である。これは踵部分や外側、内側に加わる力を反映している。全体的な印象として、スウィング移行期では、足底部位の刺激はあまり特別な役割をもたないようである。

 

スウィング

 スウィングの間(フェーズ9-11)長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋は部位特異的な効果をみせた。前足部への刺激はすべての3筋を促通し、内側および近位側では外返しを、その他部位では内返しを発生させる。興味深いことに、踵部への刺激は底屈を起こす。

 

足底の個々の活動は、歩行の際の足の動きの「感覚の操舵」を行う

 Nakajimaらの研究では本研究を支持するものであり、足底からの反射により姿勢に影響すると報告している。足底への刺激によって惹起される神経的、機械的な機能的機構は、電気刺激によって混乱する足の動きをチューニングする役割をもつ(これを我々は感覚の操舵と呼ぶ)。

 図14に示したイラストでは、足底の活動が「感覚の操舵」反応を示し、足首の軌道や足底の圧を変化させることで機械的に現れている様子を示している。感覚の操舵の機能的な結果は、足の位置が障害物をかわす際の足の軌道をガイドしている。

 我々の触覚刺激強度であればどのケースであっても、神経機械的な結果が動きとして見られ内外方向(図14A)、近遠位方向(図14B)、足の斜軸(図なし)は刺激の位置に依存している。

 

 

足の刺激領域に対する方法論について

 今回行なった研究と、これまでに行われた研究で使用された全神経刺激の、歩行の際の足の領域の刺激の方法については大きな違いがある。スタンスの間、足の刺激電極に対して全体重がかかることで、スウィングの際よりも大きな圧がかかるが、神経刺激の際にはこのようなことはおこらない。これを相殺するために、我々は薄型電極を用いて、足底板の形状で2つの接着面で足底からずれないようにした。インソールがスウェイの間にずれてしまうことを心配したが、この接着を使用することが非常に効果的だった。我々は刺激閾値を5つの刺激点で3つのコンディション:立位(スタンスを真似)、坐位で足面は床についている(部分荷重を真似)、非荷重(スウィングを真似)で刺激出力を決定した。スウィングの際の反応(非荷重の状態を表す)はスタンスの際(荷重状態)の活動をこえる。(図4の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋参照)

 

 

結論

 我々の研究では、足底の皮膚神経は高く組織化されており、ヒトの下肢には地形学的な反射効果があるということを支持するものであった。部位とフェーズ両方の依存性が運動学的な反応が足底に発生する力の変化としてみられ、足底に加わる非侵害性皮膚刺激は、バランスと歩行の維持のための重要な触覚を提供する。歩行を修正する皮膚反射の効果は、足背部と脛骨、腓腹神経幹の直接刺激によって決定され、足底の特別な部位による皮膚反射のみをみた研究はほとんどない。

 本研究では、各足底の部位への非侵害性皮膚刺激の反応として部位およびフェーズ依存性の歩行修正がみられ、これはより深い運動との関連性の理解に役立ち、リハビリテーションに有用であろう。

 

 

 

以下、個人的な考察

長くなってしまいましたが、比較的読みやすい論文でした。

(ところどころとばしてますが)

 

歩行の際の下肢の調整に関しては色々と報告がありますが

脳まで感覚情報がいって、また下まで運動信号がおりてくるという形では反応間に合わず、反射レベルである程度なんとかしているということの証明にもなりそうで。

 

基本的には刺激部位から逃げるように足が動くようですが、そんなに単純な話なのかな・・・

電極があたってる時点で、何もない時の歩行とは反応が異なるような気もしますが

 

臨床で各歩行フェーズでうまくいかない部分がある時に、そのタイミングでうまく足底を刺激できるような装置があればより歩行の改善にもつながるかもしれません。

 

もうちょっと臨床で応用できるよう今週いろいろとやってみます。

 

スクレロトームについて 追記

先日記載したスクレロトームについてですが、

日本の論文がありました。

 

f:id:kami_12483:20170720180726j:plain

総合リハ 2016.6

 

他にも、膝OAの方の内側の痛みに対して

スクレロトームではL3,4の領域なので

デルマトームでL3,4の領域に電気刺激したら疼痛が軽減したという症例報告がありました。

 

 

このスクレロトームの骨における分布の図は

自分が検索した限りでは1944年 Inmanという方の研究が元になっておりました。

しかし、その論文がpubMedで検索してもでてこない・・・

一応日本の論文ではすべてこの論文を元にしてるみたいですが

どうなんでしょうね。

 

スクレロトームの発達と形態形成

Sclerotome development and morphogenesis: when experimental embryology meets genetics

2005 A Helene, M Burq   IF 2.4

 

友人に聞かれてスクレロトームについて調べてみましたが、

最近の研究は、どんな遺伝子がスクレロトーム発達のどこに関わるかという研究が主で

そもそもスクレロトームが何かよく分からない自分としては敷居が高かったので

 

詳しく書いてありそうな少し古い文献を翻訳してみました。

ですが途中からはやはり遺伝子の話に・・・

 

 

概要

脊椎は体節の腹側部分 sclerotomeから発達する。Sclerotomeの祖先は、彼らの運命をコントロールする近傍の線維に隠された多数のシグナル分子に従属する。本論文の目的はsclerotomeの導入、軟骨形成と形態形成のメカニズムを考察することである。伝統的な研究と近年の分子学の進歩の統合の結果、実験的発生学と遺伝学的アプローチの強力な融合が、椎体形成の多数のステップを明らかにしつつある。

 

 

脊柱は脊椎動物の体の支持と運動性の本質的な構成要素である。それは成体で明らかに最も分割された構造体で、肋骨や脊髄神経が連帯している。脊椎の発生(体節)が初めて記載、解析されたのは鶏のひなの胚で17〜18世紀のことでMalpighi, von Baer, Hisらによってである。それから、鶏の胚は体節形成と軟骨形成の研究の選択肢の一つとして残り、マウスやゼブラフィッシュといった他のモデルも近年用いられるようになってきた。こうして、鶏のモデルはNogent学会(フランスの有名な生物研究所?)で主な実験動物として用いられてきた。体節形成や分節過程の初期についてはPourquieによって解析された。このレポートはsclerotomeの初期を詳述し、形態形成に必要な軟骨形成と分子的なメカニズムについて着目した。私たちは多くがNogent学会で行われた伝統的な研究を解析し、近年注目されている脊椎動物の軟骨形成に関わる分子学的なメカニズムを解読する。

 

 

 

体節からのスクレロトームの形成

 原腸形成に続いて、中胚葉はHensenのnodeのレベルに集まり、中線に脊索を形成する。神経管の底面である脊索と、背側内胚葉の間の関係はM Catalaらによって記載された。原始線条の後ろ側に沿って、進入細胞が集まり沿軸、中軸、側板中胚葉が形成される。こうして、沿軸中胚葉は脊索の側面に位置し、神経板が形成されるとその底に位置する。神経管形成の間、神経管は集合し閉じ、沿軸中胚葉は成熟し上皮体節は神経管の両側に局在する。体節は前方から後方へと発達し、最も前方の体節はより成熟している。体節はその分節化していない沿軸中胚葉の位置に沿ってステージ分類され、体節Ⅰは分節化した最初の体節である。フェイトマッピング研究では、体節の様々なパートが様々な発達ステージでどの部分になるかを明らかとしてきた。鶏の胚では多くの詳細な研究が行われ、異所特殊性、同所性の体節部位の置換が、N Le Douarinによって作成された核小体マーカーを用いて明らかとなった。体節はその成熟過程順次形成される様々な領域に分けることができる。まず2つのメインとなるコンパートメントが形成される。背外側半分から発生する皮筋板は体幹筋と背部真皮の前駆体を含む。スクレロトームは腹側部分から形成され、脊椎と肋骨をつくる前駆細胞になる。胸椎の皮筋板細胞は肩甲骨の形成にも貢献する。各コンパートメントはより特別なエリアに分けられる。スクレロトームはさらに頭蓋側と尾骨側にvon Ebnerの裂け目によって分けられる。この2つは異なった分子マーカーを示し、様々な要素を生じる。体節の前側半分のさらに内側四半部は椎体を形成し、内側と後方四半部椎間板になり、後方と外側四半部は神経弓、椎体の椎弓根と肋骨を形成する。

 スクレロトームと椎体形成の理解は、血統特有の目印の入手可能性に依存してきた。先駆者の研究では細胞の形態学、軟骨性マトリックス形成、形態形成に着目してきた。(この後様々な遺伝子がどうか関わるかを記載)

 

 

 

スクレロトーム決定のタイミング

 沿軸中胚葉の全体の前後パターンは体軸に沿った分割の前に決定される。背―腹軸に沿った上皮の体節ⅠⅡの回転は、結果として正常な皮筋板やスクレロトームのポジションにする。対照的に、背―腹の回転の後、体節Ⅲは外胚葉と皮筋板の間に位置する間葉細胞の元になる。

 

周囲の組織によるスクレロトームのパターン

 卵割の後、体節ⅠⅡのスクレロトーム誘導は軸器官内側、体壁葉外側、外胚葉背側から放出されるシグナルによって起こる。脊索、神経管、可溶性抽出物がステージⅠ―ⅩⅣ体節に加えられると、軟骨と筋が形成される。

 

スクレロトームはさらに細かくいくつかのドメインに分けられる

 上皮ドメインの腹側部分に引き出されたすぐ後、スクレロトーム細胞は上皮体節の腹側部分から上皮から間葉への移行を受け、神経管や脊索周囲およびより外側へと移行し、肋骨の近位部分を形成する。

 

スクレロトームはさらにシグナルが加わることで軟骨組織へと分化する

 

 

以下、個人的な考察

 

途中で言葉を調べていたら

体節 (脊椎動物) - Wikipedia

中胚葉 - Wikipedia

 

こちらを見ていただいた方がわかりやすいと思ったのでやめました

(論文はどんな遺伝子が発達にどう関わるかの話がメインだったので)

 

デルマトームだけでなく、ミオトーム、スクレロトームが

原因部位とは離れた痛みの要因になりますよっていうのが

ここ数年治療家の間で言われ始めてるみたいですね

 

こちらのブログにスクレロトームの画像が少しのってました

(全く知らない方のブログなのでリンクさせておりません)

ttp://kogumaya.hatenablog.com/entry/2015/05/20/174251

 

発達も含めてその人の体を形成しているので

デルマトームや神経支配だけじゃないぞっていうのは常に考えつつ、

でもあまりに医学からぶっとんだものに傾倒しすぎないよう気を付けます

 

 

もっと勉強しなきゃなんですが・・・

なんとなんと

今週末発売のnintendo swich スプラトゥーン2セットが当たってしまいました。金曜日に届くそうで。

ここ数年ゲームなどやっておりませんでしたがめっちゃ面白いと評判なので

金曜日から廃人生活になってしまうかもしれません。

 

週一更新がピンチです。