某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、某理学療法士が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 個人的にどこでみた文献か忘れないようにメモしているようなもので、 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

choosing wisely

choosing wisely 賢い選択について

 

英語論文ではないですが、

海外では無駄な医療を削減しようと様々な取り組みがなされているそうで。

 

例えば、腰が痛い際には整形外科へ行ってレントゲンをとってもらうって流れが多いと思うのですが、

85%は画像診断で原因がはっきりしないと言われている中でレントゲンが第一選択になるのは医療費も無駄になるしレントゲンによる被爆も考えられるしってことで推奨されないというのはよく言われますね。

 

特にアメリカは数字による結果が重要視されますし、RCT等の論文というのは非常に大切かと思います。

 

手元にある試料を一部抜粋すると

健常者に対するPET検査やCT検査でのがん検診は、がんがみつかる可能性が低く、放射線被爆リスクもあるため推奨されないそうです。

グルコサミンやコンドロイチンが膝関節症の患者の症状を緩和させる効果はないとか。舞の海さんもびっくりです。

 

 

PT部門についてはどうなんだろうと思い

American Physical Therapy AssociationのHPを見てみたところ

①筋骨格系に対する温熱(表層、深部とも)は長期的にみて臨床的に重要な効果がない

 (短期的に疼痛を軽減する効果はあるそうです)

②高齢者に対して過小すぎる負荷の運動処方をしてはならない。各個人の能力やゴールに合わせて頻度、強度、期間を決定するべき

(ここで紹介されている論文の一番上にある論文では55歳以上を対象にしていましたが、日本で高齢者と呼ばれるような超高齢者でもそうなのかしら)

 

重篤な医学的な問題が無い限り、抗凝固療法が施された急性深部静脈血栓患者のベッド上安静は推奨しない

④単純なTKA後に、CPMの使用は推奨しない

⑤創傷のケアとして過流浴は推奨しない

 

上記5つがのってました。

 

自分としてもこれは効果あるだろ!と思うことがあるので論文にしたいところですが

介入の直後にどうなったかっていうのは研究として比較的やりやすいと思いますが、

それが長期的にみてどうなのかというのはなかなか難しい・・・

とりあえず介入A群とB群でランダム化してみてみたら2群間で初期値に有意差があるっていう自体になってしまい困ったもんです。

 

神経活動により血液中のIGF-1は血液脳関門を超えて中枢神経系へ運ばれる

Neuronal activity drives localized blood-brain-barrier transport of serum insulin-like growth factor-1 into the CNS

 

Nishijima T, Piriz J, Duflot S, Fernandez AM, Gaitan G, Gomez-Pinedo U, Verdugo JMG, Leroy F, Soya H, Nunez A, Torres-Aleman I    2010

IF: 14!

 

すごい論文をみつけた気がします。

まず、IGF-1というのは

インスリン様成長因子1IGF-1)

人体の殆どの細胞、特に筋肉肝臓腎臓神経皮膚及びの細胞はIGF-1の影響を受ける。インスリン様効果に加え、IGF-1は細胞成長(特に神経細胞)と発達そして同様に細胞DNA合成を調節する。(Wikipediaより)

 

昔読んだ論文では、細胞の再生や成長に必須な因子で、神経の保護作用もあるとのこと。

 

脳の活動を測る方法としてよく用いられるものに、fMRIがありますが

あくまで脳血液動態をみているだけで、神経細胞の活動量が増えていることをみている訳ではない

よってfMRIを用いた研究は意味がないみたいな意見もあるみたいです

しかし、この論文では血流量が増加した部分では血中のIGF-1が血液脳関門をぬけて脳内に輸送される可能性が示されており

fMRIを用いた研究でも、結果的に神経活動をみれているのではないかと思います。

(他にも様々な要因があるため100%大丈夫とは言えないかと思いますが) 

 

ラット小脳脚に5Hzの電気刺激を15分加えたところその部位でのIGF-1が増大したそうですが

末梢に電気刺激を加えたところその対応する体性感覚野のIGF-1が増大したそうで。

さらに面白いのは、末梢に加える電気刺激は2HzだとIGF-1の増大に効果的だったが5HzではIGF-1の増大はみられなかったとのこと。

体性感覚野だけでなく、視床の後内側核でもIGF-1の増大がみられたことからも、感覚入力が脳に何らかの作用を与えていることが考えられると思います。

また、環境を変えると海馬におけるIGF-1が60%増加していたとのことで、普段と異なる刺激が加わることが認知機能にも良い効果をもたらす可能性が示唆されます。

 

ラット末梢に対する刺激では、2Hzが効果的で5Hzでは効果がみられなかったようですが、ヒトでも反応が良い周波数とかあるのかもしれませんね。

 

かなりレベルの高い論文で、自分は内容を消化しきれておりませんがこれは凄い・・・

 

 

自分は博士課程では臨床検査領域の手法を用いて研究を行なっていましたが  

PTの研究に応用できる部分はわずかかなぁなんて思ってましたが

こんな方法があるなんて!いろんな面で勉強になりました。

 

この論文を書かれた先生は現在首都大学にいらっしゃるそうで。(PTではありませんが)

東京でたまに研修会をされているみたいなので、参加してみたいです。

糖尿病が治ってほしい

気がついたら2ヶ月放置しておりました。

何気に毎週みにきてくださってる方がいるみたいで。

今回久々更新のくせに英語じゃないっていう。

 

 

私が2年ほど前にみていた患者さん

糖尿病で10年ほどインシュリン注射をしていたそうです。

 

ある日、普段通っている病院で胆管ガンがみつかり、胆管ガンのオペをしたそうです。

医者からは、そこら中切ったり繋いだりしたけどもう大丈夫だよ

と説明されたそうで。

 

んでなんと、そのオペ後から血糖値は正常になり、糖尿病が治ってしまったそうです。

(私が会ったのは糖尿病が治った後のことで、詳細なオペについては不明)

 

これに関してはメカニズムが全くわからん・・・

たまたまそんな例もあるのかなと思っていたのですが

ちょっと気になる記事が・・・ 

 

今回元の英語論文はダウンロードできませんでしたが。

 

アメリカで減量のために行われる「ルーワイ胃バイパス術」という小腸を短縮する手術やそれに似た手術を行なった患者のうち

89%がインシュリン投与が不要になったとのこと。

2型糖尿病に対してです)

 

このメカニズムはまだ特定はされていないもののいくつか仮説があるみたいです。

 

そのうちの1つとして、

腸の神経枝は栄養の通過を脳に伝え、この信号を受けて脳が肝臓に信号をおくりグルコース産生を抑制する。オペによりこのフィードバックが強化されるとのこと。

迷走神経ってスゲー

 

 

なんかうまく応用できたら糖尿病治せるんじゃないかなーと思いました。

 

この記事は日経サイエンス2018年4月号にのってた話ですが

他のメカニズムも載っててわかりやすいです。

 

 

面白そうな刊は買ってしまいますが医療系の記事じゃなくても面白いので

毎月定期購読しようか悩み中です。

ニューラル・ネットワーク・メカニズムの細胞タグ付け

Cellular tagging as a neural network mechanism for behavioural tagging

Nomoto M, Ohkawa N, Nishizono H, Yokose J, Suzuki A, Matsuo M, Tsujimura S, Takahashi Y, Nagase M, Watabe AM, Kato F, Inokuchi K  2016  IF12

 

マウスを使用

新しいことを記憶した際に、海馬の中でどの細胞が記憶したかがわかるように細胞にタグをつける

さらに遺伝子操作して、レーザー光を当てることで細胞を活性化したり不活化したりできるようにしてある

(これだけでもものすごく大変そう・・・)

A:ある部屋に入った後に反応した細胞(部屋に入ることを記憶)

B:電気ショックを与えた際に反応した細胞(電気ショックを記憶)

 

これらの細胞を可視化して、それぞれの細胞にレーザー光をあてて同時に活性化させ同期させる

 

すると、Aの部屋に入った際にBの記憶が想起され恐怖反応を示すようになる 

 

 

以下、個人的な考察

この研究グループすごい・・・富山大学の先生方らしいですが。

さらにscienceに発表した論文で、

2つの独立した記憶を連合させると2つの記憶にオーバーラップした細胞が増えていく

(Aの記憶に対してBの記憶に対する反応:パブロフの犬みたいな)

そのオーバーラップした細胞に光を照射して細胞を不活性化するとパブロフの犬のような反応がみられなくなるとのこと

 

これが進歩していけば、AとBの記憶をつないだり無くしたりするだけでなく

より細かく記憶の改ざんが行えるようになるかもしれません。

もはや漫画の世界のようなことが現実に起こりうる可能性があります。

 

先日、友人が「人間が想像できることは実現可能である」と昔ある科学者が言ったといった話をしていましたが

いつになるかはわかりませんが、記憶の操作ができる日がくるかもしれませんね。

恐ろしや

 

 

話は違いますが、

Amazon:ワイヤレスマウス

パソコンの方のマウスですが、このマウスを買って使用していたのです。

ミラーの部分がすぐ壊れそうだなぁと思っていたら、2日で折れました。

割と高いのに・・・

 

もし購入を考えている方がいたらミラーの無いタイプもあるみたいなので、そちらの方がお薦めです

 

共有住宅に住む高齢者の立位バランスに対するエクササイズの効果

The effects of comprehensive exercise program on the adjustments of standing balance in community-dwelling elderly persons

Maejima H, Kanetada Y, Sunahori H, Murase A, Otani T, Sakamoto N, Yoshimura O, Tobimatsu T  2008

 

高齢者(平均約70歳)を対象に、1日30分以上の歩行、ストレッチ、筋トレ、バランスエクササイズ(筋トレマシンは使用せず)を3ヶ月実施

 

静的バランスの介入効果として静止立位時のCOPの動揺が増大した。

片脚立位、10m歩行、ファンクショナルリーチ、左右方向への安定性限界も大幅に改善した。

 

 

以下、個人的な考察

静止時重心動揺の範囲が狭いほど安定した立位ってイメージですが

そうではないはずだとずっと思ってて、

何か論文ないかなぁと思ってたらありました。

 

先日の研修会からこれまで持ってた疑問に対する答えみたいな論文がどんどんみつかってます。ありがたや。

 

前に、温熱で足を温めると重心動揺の範囲が広がるから立位が不安定になるって論文を読みましたが、

「重心動揺の範囲が広がる=不安定」ではないので結論としては逆かもしれません。

 

今回の結果では前後方向への安定性限界は広がらず、左右方向のみ。

パーキンソン病では前後方向の動揺が減少するって論文があるので

パーキンソンの方には上記のエクササイズでは転倒予防にはならないかもしれません。

 

1つの事がすべての方にあてはまるわけではないところが

難しくもあり、やりがいのある部分なんでしょうね

 

筋と脂肪について(また英文じゃないです)

先日、自分が行なってきた研究に関して、発表させていただく機会をいただきました。

 

発表後の質疑応答で

「運動刺激の不足や不動化により筋が線維化し、筋が脂肪に置き換わるという話があるが

どの筋がより脂肪に代わりやすいとか、筋による違いはあるのか」

といった内容の質問(詳細違うかも)をいただきました。

 

自分の考えとしては

筋は筋肉を構成する細胞、脂肪は脂肪細胞(それぞれ分化した細胞)によって成り立っているので

筋細胞が脂肪細胞に置き換わるなんてないだろうなぁと思って答えてたのですが

 

その後セミナーに参加していた方から論文をいただきまして

どうやら細胞研究をした際に、培養条件によっては筋衛星細胞が脂肪細胞へ分化することがあるそうで。

ただ、生体内でのこの反応は現在のところ確認できていないのだそうです。

 

筋衛星細胞というのは

筋の周りにあって、筋線維損傷時に筋へ分化・融合することで筋線維の回復に関わる。

筋活動によって活性化し、そうでないと休止状態となる細胞です。

(うろ覚えなのっで詳細は調べてもらったほうが安心かと)

 

さらに調べてみると

筋衛衛星細胞の大元である間葉系前駆細胞が脂肪細胞へと分化するのを、

筋衛星細胞からの抑制シグナルによって防いでいるのだそうです。

 

つまり、筋衛星細胞が普段抑えている前駆細胞の脂肪化ですが

筋の回復が妨げられる病気とか、萎縮とか一定の病態よっては抑制シグナルが伝わらなくなり

前駆細胞が脂肪化し、結果筋内の脂肪が増えるってことがあるそうです。

 

そうなると、普段から筋衛星細胞の活動性が高くて筋衛星細胞による抑制が強い筋ほど

不動化等の状態に陥った際に脂肪が増えやすいのかもしれません。

 

研修会内で紹介した論文は2週間の固定による筋間脂肪をみていたので、不動化による脂肪細胞の萎縮が主な結果でしたが

さらに長期でみていけば、脂肪細胞の増生といった変化もみられるかもしれません。

 

 

色々な方のご意見を伺って、また足りなかった点を次に生かしていくことで

新しい知見は得られるし、どんどん新しい課題が見つかっていくのでいいですね。

 

最近はあまり学会発表をしていなかったのですが

ちょっと学会発表もしていこうかと思ったこの頃です。

 

TKAの結果と膝関節屈曲拘縮の役割

The role of flexion contracture on outcomes in primary total knee arthroplasty

Ritter MA, Lutgring JD, Davis KE, Berend ME, Pierson JL, Meneghini M 2007  IF 3.0

 

屈曲拘縮がTKAオペ後の結果にどう影響をもたらすかを検討する。

5622の膝について調査

 

オペ前に

A.膝を最大伸展した際の角度が5°屈曲位〜9°以上の過伸展の人 62.1%

B.膝を最大伸展した際の角度が6°以上屈曲位の人       35%

オペ後に10°以上の屈曲拘縮が残存した人Aは少なく、Bは多く、約6倍の差

 

男の方が拘縮が残りやすく、太った人はオペ後拘縮になりにくい。

オペ前に10°以上の反張膝がある人は、そうでない人に比べて2.5倍痛みが出やすい。

 

オペ後に屈曲拘縮がある場合、膝の伸展が正常であるよりも疼痛は少なく、機能的にも高いものとなりやすい。

オペ後に10°以上の過伸展がある場合は痛みが出やすく、機能的にも低いものとなりやすい。

 

 

以下、個人的な考察 

以前ブログで書いた屈曲拘縮には意味があるみたいな文章の元となってた論文です。

 

たしかに屈曲拘縮の方が疼痛でにくいってことで意味があるのかもしれませんが、

そのメカニズムとかはどうなんでしょう・・・

屈曲より過伸展の方がよくないみたいですね。これはなんとなくわかりますが。

 

昔勤めていたクリニックにもTKA後過伸展+膝の中に感染で疼痛強い人いたけど

当時の自分には何もできなかったなぁ・・・

今なら何かできるのかはわかりませんが。

 

大病院だと期限がくれば退院になりますが、クリニックとかだとそうはいかないし

個人的にはクリニックの方が大変なイメージです。

個人で開業してる人なんてさらに大変でしょうけど

 

来週も更新しないと思います。多分。