某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その5

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q IF: 5.6

 

今回で最後です。5)消化管の慢性痛の治療

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

 

慢性消化管痛の治療

解剖学をベースとした治療

 消化管痛の解剖学的な基礎はまだ議論されている。消化管由来の治りにくい痛みのアプローチの1つとして、これらの疼痛経路を遮断することである。神経ブロックは、体性痛、特に脊椎の神経根由来の疼痛に用いられてきた。慢性の消化管痛では、その役割は実施不可能な後腹膜(多くはすい臓)、骨盤の悪性腫瘍由来の疼痛緩和のための免疫抑制治療の1つとして限られてきた。こうした痛みは(1)直接腫瘍が神経を巻き込んで起こるものや内臓が虚血に陥って発生するもの(2)治療に関連するもの(放射線後の神経炎、薬によって引き起こされるニューロパチー、外科的な脱神経)の結果として出現する。観血的治療は一般的に薬理学的治療や他の観血的治療や神経ブロックには効果がみられなかった患者に用いられる。ごく最近のエビデンスでは内視鏡超音波ガイド下腹腔軸ブロックも用いられる。神経根破壊のためのクモ膜下腔内へのフェノールやアルコール注射もまた約50-80%骨盤内腫瘍の痛みに効果がある。骨盤内の交感神経遮断は交感神経支配をうける脊髄の求心路を遮断する必要がある。仙髄の神経切断術は時々効果があるものの、膀胱や大腸機能障害がみられるため、疼痛に対しては行われなくなった。しかし本研究に、より関連しているのは仙骨神経刺激の急速な開発途上エリアである。仙骨神経刺激は便失禁や便秘に対する第一選択の観血的治療になりつつある。後者に関しては、痛みに対しては大抵効果がない他の外科的な治療とは異なり、仙骨神経刺激はひどい便秘のある患者の痛みに対して非常に効果があり、骨盤痛に対する治療として今後でてくるであろう。

 

消化管痛の薬理学的な調整

 内臓感作に対して、機能性消化管障害や特に過敏性腸症候群に対する薬理学治療に様々なレビューがある。現在の機能性消化管障害の痛みに対する治療は、麻酔薬、鎮痙薬と抗うつ薬を用いるが、時々便秘や鼻づまりといった副作用が出現する。製薬会社はここ20年、機能性消化管障害に対する「魔法の弾丸」を開発するために研究を重ねてきた。しかしながら、その努力は成功にはいたっておらず、金銭的にも回収できていない。臨床においても、ほとんどの薬がほとんど効果がないことが示されている。この原因の一つとして、機能性消化管障害は症状に基づいて診断され、病気を確定するマーカーが存在せず、大規模臨床試験が実施される前に薬のメカニズムを証明する病気の良いモデルが不足していることがある。

 

 

薬は末梢シグナルと末梢感作に劇的に働く

 末梢侵害受容伝達や特に末梢感作にある分子の複雑な調節は様々な可能性が議論されてきた。これらのプロセスには3つのグループのレセプター:電位作動性イオンチャネル、リガンド作動性陽イオンチャネル、Gプロテイン結合レセプターが関与しており、またこれらの分子と局所炎症前細胞、免疫細胞との双方向性の相互作用が影響する。電位作動性イオンチャネルは疼痛伝達の基本を示す可能性がある。陽イオンチャネルはその反応性を調整することでおこる変化について、体性痛については研究されてきたが内臓痛についてはそうではない。Gプロテイン結合レセプターについては、上記2つのグループに比べて消化管痛の新たな末梢治療を最大限保証する。

 

薬は中枢シグナルと中枢感作にも劇的に働く

 中枢にのみ働く訳ではないが、いくつかの薬は活動電位の伝達をブロックしたり、抑制する。

 

薬は経路の調整にも劇的に働く

 腹痛や内臓感作によって特徴づけられる機能性消化管疾患においてストレスや認知や感情機能を調整する可能性がある。

 

結論

 消化管は痛みの面からも重要で、不幸にも慢性的で説明できないものにもなりうる。消化管痛症候群の病理学的な詳細の理解は新たな薬の開発に役立ち、将来の臨床にも役立つであろう。

 

 

以下、個人的な考察

最後治療は外科的治療と薬についてのみでした。

 

機能性消化管障害の痛みに対する治療・・・効果的な薬がまだできていない

と言いながら、

薬は末梢シグナルと末梢感作に劇的に働く

薬は中枢シグナルと中枢感作にも劇的に働く

薬は経路の調整にも劇的に働く

 

ってのはどういうことなのやら。

 

うーん。最後いまいちでしたね。

 

来週は

運動時、同側性の脳活動は左脳が優位であるという論文について書こうかと思っています。

多分。

 

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その4

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q IF: 5.6

 

今回は4)説明できない消化管の痛みについてです

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

 

説明できない慢性的な消化管の痛みについて

 腹痛は外科や胃腸科医へ紹介されるもっとも頻度の高い原因で、腹部または骨盤内臓が大抵関係している。急性の腹痛は様々なメカニズムによって発生し、臨床においては根底に病理学が存在するという考えを反映している。広く考えると、痛みは内臓のストレッチを原因として発生し、それは炎症や、癌などの神経に対する浸潤や圧迫といった何らかの障害によっておこる。ある意味では、急性の痛みは精神的外傷やオペ、または炎症によって起こるが、これらは特に説明できないような痛みに対しては慢性疼痛よりも問題となることは少ない。慢性疼痛は、慢性状態をひきおこす痛みを含め、慢性の消化管症状のはっきりせず、重なり合う状態と高い関連性を持つ。

 

機能性消化管障害

臨床での概要と重要性

 「過敏性腸症候群」という言葉は、一般人にもよく知られており、40歳以上の大人や小児科まで幅広く、口から肛門まで分類される。器質的な疾患の様々なケースを説明する臨床観察を集めた基礎を用いると、大抵はこのシステム(RomeⅢ:http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/5-kai%20PDF/hongo%20lunchon%20semi%200902_25-29low.pdf)を用いて過敏性腸症候群、消化不良、胸焼け、機能的腹痛症候群といった診断がくだされている。痛みがこの過敏性腸症候群の極めて重要な症候である。この消化管疾患の多様性が二次的なコストを生じており、例えば1998年には機能的消化管障害による経済的損失は410億ドルにも登るとされている。機能性消化管障害の痛みに対して、効果的な治療が不足しており、このエリアにおいて臨床的に今だ対処がなされていない。

 

 

応用病態生理学:内臓感作

 これは通常のコンディションでのエビデンスで、消化管は、生理学的感覚を超えた感覚を知覚する源ではない。不快な感覚は、生理学的範囲を超える刺激が加わった際に大抵鋭く、または痛みとして感じられる。この点において、腹痛は内臓の生理学的範囲を超えた膨張により脊髄の腸間膜からの求心性刺激で発生し、一方で虚血性の痛みは腸間膜への血流が受容範囲を下回った際に発生する。潜在的な線維のダメージを認識しうるこうした刺激は、悪性腫瘍や進行性の腸間膜動脈疾患といったいくつかのケースを除き、慢性的であることはまれである。こうした痛みは体性神経生理学的状態とともに自動的に登るため、通常有害ではない刺激(アロディニアと類似)を痛みと知覚したり、痛覚刺激に対する求心性の発火が増大したり(痛覚過敏と類似)といったことが起こりうる。こうした侵害刺激の痛覚過敏は内臓感作といったタイトルでグループ化される。

 

内臓感作には、4つの共通したメカニズムが存在する。

 ・求心性神経感作(末梢感作)

 ・脊髄後角ニューロンの感作(中枢感作)

 ・下降性促通や抑制の変化(神経性、ホルモン性)

 ・認知や感情に伴って非侵害性感覚を侵害性と誤解すること

 

こうしたメカニズムは少なくともある程度は上記の消化管侵害受容における分子やその調節的影響についてまだ議論の余地がある。

皮質の調節もまた重要である。ある研究では、胃腸炎のある患者94名において高い心気症スコアを示し、過敏性腸症候群がよりネガティブな感情や個人的な要因に影響される可能性を示している。似たように、ごく最近のfMRIをもちいた直腸の膨張研究では、過敏性腸症候群のなかでより痛みの報告の多い患者は中帯状回、後帯状回の活動が増大しており、痛みの抑制や覚醒に関わる領域の活動低下が示された。こうした研究では外的なストレス要因や認知や感情のバイアスが末梢の障害と同じくらい消化管の痛みに重要であることを強調している。心臓迷走神経緊張が低下しているような自律神経系の変化が、痛みに対して寛容となることも観察されている。

 

消化管神経筋疾患

応用病態生理学:神経障害性疼痛

 消化管神経筋疾患の痛みに伴うメカニズムには、機能性消化管障害のものとは大きく異なる。体性痛の研究による分類では、内臓感作は侵害受容の痛覚過敏を形成するとみなされる。食後疼痛の報告にも関わらず、内臓感作は消化管神経筋疾患の重要なメカニズムであるという生理学的なエビデンスはほとんどない。

 侵害受容器はもっぱら侵害刺激に対して応答するようデザインされている。細胞体や軸索から生じる活動電位は病理学的には異所的なものである。齧歯類の体性痛の神経損傷モデルでは、異所的な活動は障害された線維のイオンチャネルの変化に応答しているだけでなく、グリアやシュワン細胞といった他のタイプの細胞からもたらされるシグナルが持続的な発火を引き起こす。消化管神経筋疾患におけるひどい痛みの神経病理学的メカニズムは(1)痛みはひどく、標準的な鎮痛治療には応答しない(2)痛みは一部悪化するかもしれないが、腔内刺激には関連しない(3)これらの疾患における腸のニューロパチーには良いエビデンスがある(4)痛みは単なる膨張の結果ではない といった観察によって支持されている。

 ラットにおける腸骨の脱神経は大腸膨張への閾値低下だけでなく、持続的な活動を引き起こす。人においては子宮摘出後に起こる腹部や腸骨の痛みに対し外部除神経が脱感作の生理学的なエビデンスを示す。消化管神経筋疾患においては、末梢や中枢レベルでの持続的な求心性線維の発火が関わることが考えられている。

 

 

ここまで要約

 説明できない腹痛は健康管理に重大な負担となる。

 内臓感作は機能性消化管障害に特徴的な特性と考えられており、よく研究された、いくつかの末梢と中枢の協調したメカニズムをもつ。

 神経障害性疼痛は、特に消化管神経筋疾患において可能性はあるが未踏のメカニズムである。

 

 

以下、個人的な考察

 

結局説明できない痛みはいろいろ可能性があるけど説明できないってことですかね。

 

今回の内容はこちらの論文でうまいことまとめられていました。

http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/5-kai%20PDF/9-1_31-33.pdf

 

内臓由来の感作もあり、脳への影響があるってことは

やっぱり内臓の問題がある人は慢性疼痛へ何か影響がありそうです。

 

次回でこのシリーズは最後ですが、来週は研修会のため更新できるかどうか・・・

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その3

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q IF: 5.6

 

前回の続きです。今回は3)消化管侵害受容の調節についてです

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

消化管侵害受容器の調節的働き

 痛みは侵害受容神経および神経ではない影響によって調節され、こうした要因は内臓感覚にも影響をもたらす。このことが、よくある「虫のしらせがある」とか「胸がドキドキする」といった言葉の表現につながる。こうした表現にはエビデンスはないが、急性のストレスや心理学的要因にはエビデンスがあり、感情的な合併症は体性疼痛と同様に慢性的な内臓疼痛状態に重要な役割をもつ。ネガティブな感情と不快な内臓感覚とのリンクはヒトにおいてもよく研究されている。例えば、心配・不安が精神的ストレスにより引き起こされた時、腸のガスを増加させ、S状結腸が膨張している際の疼痛を増加させる。加えて、痛みの認識が増加していると、不安は痛み刺激の不快感をさらに増大させる。この後者の効果は、痛みを処理する感情の構成要素と関連した脳の領域の活動を増大させるという報告もある。食道においては、痛みではない感覚がネガティブな感情である際にはより不快に感じることが報告されており、fMRIではネガティブな感情と島や前帯状皮質の活動に高い相関性があることが示されている。他の研究では、不安は下前頭葉、側頭極領域の活動と関連することが報告されている。迷走神経の腸からの感覚フィードバックは辺縁系と傍辺縁系の統合と同様に疼痛の調節を含むホメオスタシスの調整に関連しているため、内臓感覚は深く感情とリンクすることに驚くことはない。辺縁系の活動における体性と内臓間の疼痛の違いは、内臓痛にはより不快な感覚を強く伴うことがfMRIを用いた研究で示されている。

 ストレスに対する器官の応答は、特に視床下部の小領域、扁桃体、中脳水道周囲灰白質の脳構造に組み込まれたネットワークによって生成される。すでに記載したように、これらの構造は内臓感覚と体性感覚や、内側前頭前皮質、前帯状皮質下部領域、島といった皮質構造からの情報を受け取る。このネットワークは脳下垂体や、青斑核、縫線核といった橋延髄の核へ出力し、一方でそれぞれは体への神経内分泌、自律的な出力を調整する。この中枢ストレス循環はこれら脳幹核のモノアミン投射を経由してコントロールされ、特にセロトニン(縫線核)、ノルアドレナリン(青斑核)や循環するグルココルチコイドが関係する。この複雑な脳構造のネットワークはストレス応答を調節し、この主なアウトプットの構造は自律神経系、視床下部―脳下垂体中枢といった下降性脊髄路である。

 

・下降性脊髄路

 上位脊髄中枢からの下降路は内臓刺激の性質によって抑制されたり促通されたりする。皮質レベルにおいては、前帯状回が下降路調節に最も重要な出所となり、扁桃体や中脳水道周辺灰白質へ投射する。中脳水道周辺灰白質は吻側延髄腹内側部や背外側橋被蓋のニューロンを通じて侵害受容伝達をコントロールする。これら2領域は脊髄の後側索を通じて投射し、侵害受容関連ニューロンが集合する脊髄後角ラミナを選択的にターゲットとする。脳幹下部では、ノルアドレナリン作動性青斑核、セロトニン作動性縫線核、吻側外側腹側延髄が扁桃体や中脳水道周辺灰白質からの情報を受け取り、脊髄の後角へと投射する。この情報のほとんどは体性痛から伝達され、これらのエリアの刺激は内臓入力を調節することで鎮痛性の効果をもたらす。

 

・自律神経系

 自律神経系は感情運動システムの核となり、階層的にコントロールされ、ホメオスタシスと感情を双方向的な体―脳インターフェースで体からの入力と運動出力を統合する。これは特に内臓にとってそうであり、加えて神経や内臓神経系は自律神経系にさらに影響をもたらすと考えられている。交感神経系調整メカニズムは様々な慢性疼痛症候群の原因となる。このように、自律神経系は内臓感覚知覚を調整する可能性がある。Iovinoらは、内臓刺激の知覚によって、交感神経活動の増加と副交感神経活動の低下がみられることを発見した。これらの自律神経系の調節は下部体幹の低緊張をもたらし、結果として下肢の静脈のうっ血をもたらす。腸への簡単な膨張刺激は、下部体幹の低緊張の効果から交感神経によって腸のリラクゼーションと、迷走神経によって胃のリラクゼーションがもたらされる。下部体幹の低緊張は腸の膨張の知覚をかなり高めることができる。また、十二指腸の膨張による反射は胃や腸の知覚をかなり高めることができる。これらの発見はこれまでに報告されている交感神経と副交感神経のそれぞれ侵害受容と非侵害受容の活動を支持するものである。

 交感神経と副交感神経システムがいかにして痛みを調節するのかはまだ明らかとなっていない。交感神経の侵害受容に特化した活動としては、カテコラミンやプロスタグランジンを交感神経終末から放出することと関連する。

 

視床下部―脳下垂体―副腎中枢

 アロディニアや痛覚過敏といった中枢神経の感作と考えられているものは、末梢の病理学的な存在なしに存在する。幼少期の出来事は中枢の副腎皮質刺激ホルモンシステムの発達に永久に影響し、一方で行動、感情の表現、自律神経、ストレスに対する内分泌を調節する。齧歯類やヒトではない動物においての実験では、幼少期に母から離すと、副腎皮質刺激ホルモン遺伝子の発現を増加させ、ストレス応答を増大させる。大人になっても、これらの動物は、視床下部―脳下垂体―副腎中枢や交感神経―副腎髄質システム、中枢モノアミンシステムの活動が増大しており、ストレスによって引き起こされる病気に対して非常に弱いことが示されている。これらの研究は消化管に限ったことではないが他の動物実験ではストレスが腸の運動性を低下させ、ヒトにおいても同様の結果がみられる。副腎皮質刺激ホルモンの脳室内または静脈注射によって同等の効果がみられ、副腎皮質刺激ホルモンのアンタゴニスト、αヘリカル副腎皮質刺激ホルモンによってブロックされる。Gueらはストレスと副腎皮質刺激ホルモンの注射どちらもが、直腸の膨張から腹部の痙攣を増大させることから、副腎皮質刺激ホルモンが内臓の知覚過敏をもたらすと報告している。これらの効果はαヘリカル副腎皮質刺激ホルモンによって抑制される。この研究ではまた、末梢へのドキサントラゾール(肥満細胞のスタビライザー)投与はストレスや、副腎皮質刺激ホルモンにより引き起こされた直腸の痛覚過敏から直腸の膨張を抑制することができることを示している。以前の研究ではまた、ストレスと、大腸の肥満細胞の脱顆粒の関連性や、これらの影響は副腎皮質刺激ホルモンの投与によって減少することに着目しているが、いかにして副腎皮質刺激ホルモンが肥満細胞を調節しているのかについてはまだ明らかとなっていない。

 

・ここまでの要約

 感情の状態が消化管の痛みに重大な影響をもたらす

 様々な皮質や皮質下領域が外的ストレスに応答する中枢となる

 内臓知覚と疼痛は3つの主なメカニズムによって影響される:下降性脊髄路、自律神経システム、視床下部―脳下垂体系 である。

 

肥満細胞について

肥満細胞 - Wikipedia

 

 

 

以下、個人的な考察

 

感情と痛みと内臓のリンクについて

昔から言われていますがちゃんとメカニズムがあるんですね。

 

母性と身体のストレスに対する病弱性は幼少期にある程度決まってしまうってことは

なかなか普段の治療で治りにくい人ってのも、幼少期に何かあるのかもしれません

遺伝子レベルでも変化が起こるとは・・・

 

とはいえ遺伝子レベルで変化があったとしても

タンパクの働きは1つがうまくいかなくても、他のタンパクが補ってくれることが多いので

そこをうまく使えるようにやっていければなぁと思います

(具体的にどうしたらいいのかは・・・いい刺激をいれ続けることですかね)

 

 

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その2

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q   IF: 5.6

 

前回の続きです。今回は2)消化管侵害受容の分子学的基礎についてです

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節的影響(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

(Naチャネルは1.1〜1.9まであり、それぞれ役目が違います。特に、テトロドトキシン抵抗性NaチャネルはC線維に分布し、疼痛を伝達すると考えられています。テトロドトキシン抵抗性Naチャネルの中で、Na1.5は心筋に、1.8と1.9は末梢神経に分布すると言われています。Nav=Naチャネル)

 

消化管の痛みの分子学的基礎

 特に腸間膜からのぼる脊髄内臓求心性感覚は、消化管侵害受容感覚の主なものとなる。これらの神経は体性の対象物と個体発生や基本的な形態は似ていると考えることに特別な理由はない。痛みの伝達のメカニズムにおいても同様であろう。

 

末梢内臓感覚シグナルと感作

 侵害受容器の終末周辺は、その特性はほとんど同じで、他の一般的な求心性線維では、脱分極刺激に反応したNaチャネルによって発生した活動電位は時間の経過とともに消失し、これらのチャネルの電位型不活性と電位感受性カリウムチャネル伝導が始まる。体性求心性線維では、Nav1.7はテトロドトキシン感受性電流のほとんどを伝達し機械的侵害刺激を変換する決定的なものである。テトロドトキシン抵抗性Naチャネルは優先的に小さくミエリンのない侵害受容性線維に局在しNav1.8およびNav1.9と名付けられている。どちらも特別な生理物理学的な特性をもち、お互いがその機能を補完し、Nav1.9はすべての層の膜の興奮性と、小さな刺激の振幅の増幅に影響をもたらす。Nav1.8の電流はほとんど内臓に分布しているDRGに存在し、一方でNav1.9は内臓のDRGにはほとんど存在しないが、固有ニューロンに存在しその侵害受容における役割はまだ検討の余地がある。

 消化管においては3つのグループがよく特徴づけられている。(1)短潜時レセプターチャネルは最も大きなグループで、聴力や痛みと同様に多様な感覚機能を補助している。消化管に特徴的なものとしては、これらのチャネルの多くは有害な可能性のある食料(辛いもの、メンソール、ガーリック、マスタード、西洋わさび、様々なハーブといった)の多様な味に貢献する。(2)酸感受性イオンチャネル(ASIC 1-3)は電圧に無感覚で、アミロイド感受性の上皮Naチャネルで、pH6-7の範囲で感受性が高まる陽イオンのファミリーに含まれ、まだ議論の余地があるが、管腔酸からの化学的侵害受容と同様に消化管機械受容器の「複雑な形質導入」に直接的な役割を持つ。(3)P2xプリン受容体(P2x1-9)はリガンド開口型の膜陽イオンチャネルで、ATP結合後に開く。これらは機械的感覚と同様に細胞外のpHが低下した際に増加する化学的な刺激の伝達に役立つ。

 

 

末梢感作

 末梢感作は、外傷や炎症といった長期化する刺激によって化学環境内が変化し侵害受容器が低閾値で発火するようになり、刺激反応性侵害受容器の可塑性を形成し痛みの閾値を低下させる。消化管においても同様の機序が発生し、テトロドトキシン抵抗性および感受性の電流の増加と、回復に関わるカリウムチャネルの減少が起こることが報告されている。いくつかの侵害受容感作は、レセプターの繋がりや陽イオンチャネルを変化させることでその効果を修正し、効果の大部分は侵害受容膜上のG-プロテインレセプターとの結合によって引き起こされる。こうしたシグナルのメカニズムはそれから2次的な影響をもたらし、陽イオンチャネルの伝達閾値を低下させる。

 感作はさらに上皮細胞を含む近傍の細胞と炎症細胞の相互作用を増加させうる。肥満細胞やリンパ球との多数の直接的な相互作用は神経炎の基盤となりうる。

 

 

消化管に特徴的な感作のメカニズム

 腸に特別なものとして、さらなる固有消化管関連ニューロンの存在がある。意識にのぼる痛みを直接的に伝達できる訳ではないが、有害な刺激に応答して様々なニューロペプチドを放出し神経性の炎症を発生させることができる。脂肪細胞から放出される生体内アミンに加え、腸内分泌細胞もまた上皮自体に分布し管を直接的に「味わう」ことができる。これらの細胞は粘膜固有層に供給する神経に非常に近く並置しており、底側と外側へ基質を放出することができる。

 

中枢の感覚シグナルと感作

 侵害受容器の中枢の終末はシナプス入力を二次ニューロンへ送り、侵害刺激の持続時間や強さといった情報を送る。体性神経システムでは、グルタミン酸を唯一の送信器として用いた低閾値線維とは異なり、侵害受容器は様々な神経ペプチドを用いて情報伝達やシナプス変換を行なっている。消化管侵害受容器は似たような分子の同一性を持ち、後シナプス膜は内臓痛伝達の役割がある。入ってくる活動電位への応答として前シナプスの変換の観点から、電位作動型のカルシウムチャネルがキーとなる役割をもつ。

 

 

中枢感作

 末梢から繰り返される活動電位の発火は、有害な刺激と無害な刺激(アロディニア)両方に過度な反応を示すようになる。こうした促通は上記の変換要素の前シナプスの放出の増大によってもたらされ、細胞内のカルシウムやカルシウム依存型プロテインキナーゼの活性を増大させる。これは一方でNMDAレセプターのリン酸化をもたらし、続いて起こるグルタミン酸への反応性を増大させる。中枢感作はまた近傍の脊髄神経に対して前述の「サイレント侵害受容器」の漸増と末梢感作の起きた部位の感覚過敏をもたらす。このプロセスにおいて、NMDAレセプターの役割は体性疼痛の伝達と同様であると考えられている。

 似たように、二次的な痛覚過敏は急性および慢性の腹痛によって示されている。加えて内臓内臓(食道の軸方向)と内臓体性(胸壁痛覚過敏)が遠位食道の酸性化モデルによって証明されている。こうした二次的な感作はプロスタグランジンPGE2とNMDAレセプター阻害薬によって防がれたり回復がみられたりすることから、中枢感作は体性神経システムと似たようなメカニズムで起こると考えられる。

 

 

ここまで要約

・消化管侵害受容は体性侵害受容と同様に様々な末梢および中枢の分子メカニズムによってもたらされる。

・末梢感作と中枢感作は両方とも内臓痛のメカニズムとして示されてきた。

・様々な陽イオンチャネル変換器の役割は、化学薬品によって活動が証明され、特に注目を浴びている。

 

 

 

以下、個人的な考察

 

内臓痛においても感作がおこり、内臓痛は体性痛に関連するってことは

慢性的な過敏性腸炎の方とかは、内臓だけでなく何か体性の痛みも出やすくなるってことですかね。

 

痛みの訴えが多い方の中には

よくわからないままメンタルの問題だって言われてきたって方もおりますが

内臓由来の感作が原因だったりもするのかもしれません。

 

内臓系へのアプローチをもっと勉強したいと思う今日この頃です。

 

 

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その1

なんか毎度毎度長くなってしまうので、何回かに分けてみようかと思います。

あと、周囲の方が興味を持つ部分と、自分が興味持つ部分があまりかぶらないのでとりあえず全部訳してましたが、

自分が興味ある部分だけ訳してみればいいかなと思い、結構省略してこうかと思います。

 

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q   IF: 5.6

 

概要

 消化管は多細胞生物の器官のシステムで、食物の摂取、消化、吸収し、その後無駄なものを排泄する。複雑な神経の配列や補助細胞が、消化管の上端や下端を例外に通常潜在意識に登る感覚運動装置として貢献する。しかしながら、傷に対する意識的な感覚を提供している可能性もある。この機能は保護のためのものであるが、特に慢性的な機能不全にある際にはこのシステムは重度な(精神の)病的状態へと導きうる。胃腸の侵害受容、不明な慢性の内臓痛のコンディションの解剖学的、分子学的基礎や治療の発達について本レビューで紹介する。

  

 

本レビューは、基本的な科学か臨床的な視点から特に、科学が臨床に知らせる所、そして、体性痛覚との重要な違いがある所といった点にほとんどの興味を置いている。タイトルにあるように、本レビューは可能な限りヒトでの研究に着目しているが、必要に応じて実験動物を用いた結果からも引用している。

このレビューは基礎から臨床への課程の基礎として以下の構造を整理する。

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節的影響(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

(以上の5項目を分けて記載していきます)

 

1)消化管侵害受容の解剖学的基礎について

 内臓感覚は迷走神経由来と脊髄神経由来のものがあり、詳細を複雑にしている。特に後者は重要視されており、奬膜の侵害受容の認識を複雑にし、痛みの伝達に貢献しているからである。内臓の感覚を伝える神経は迷走神経と脊髄の内臓神経にわけられ、脊髄の内臓神経はさらに内臓と骨盤の求心性線維にわけられ、それぞれ交感神経と副交感神経に分けられる。これら神経は消化管壁のすべての層に停止し、大部分はミエリンのないC線維でわずかにミエリンのあるAδ線維である。一般的に迷走神経は侵害受容の役割に関しては脊髄由来のものよりも少ない。

 脊髄の内臓神経は内臓の神経線維の10-20%で、奬膜、腸間膜接合部をふくむすべての消化管壁に剥き出しの神経終末として投射する。脊髄由来の機械感覚求心線維は3つのグループに分類される。

A)基本的なもの

 休息時にも基本的なレベルで活動し、低い閾値で消化管壁のテンションを向上させる

B)高い閾値のもの

 休息時の活動レベルは低く、有害な拡張テンションが働いた時に活動する。

C)サイレント受容器

 炎症反応が起きた時のみに活動する。

 

内臓求心線維は脊髄に入る求心性情報の7-10%を構成するだけだが、レクセドの層Ⅰ,Ⅱ,Ⅴ,X層の広い範囲に分布する。交感神経の遠心性線維はT1〜L2の間がよく関わっている一方で、このレベルの求心性線維は様々な器官の広い範囲のDRGを横切って広がっている。結果として内臓に繋がる脊髄の求心性線維の細胞体はC1(食道)〜S4(直腸と膀胱)間に存在する。この内臓に配置された細胞体は相対的に小さく、内臓痛の局在性があいまいである原因かもしれない。

脳へと投射する2次ニューロンは脊髄網様体路、脊髄中脳路、脊髄視床下部路、脊髄視床路を通る。このうち前者3つは無意識下での情報を送り、内臓感覚入力や感情やふるまいの変化に自動的に反応する。後者は意識下で視床の核を介して体性感覚をS1,2皮質(外側疼痛システム)、前帯状回(内側疼痛システム)、島へと送る。外側疼痛システムの主な働きは刺激の強さと位置を知ることで、内側疼痛システムは疼痛に対する感情を調整し、刺激に対する自律的な抑制下降路となる。島や前頭前部皮質といった領域は感覚の統合に重要な役割をもち、自動的な内臓の働きや行動反応を高度にコントロールする。

 脊髄の後角にあるいくつかのニューロンは体のどの部分に加えられた侵害刺激であっても、活動を強く抑制されてしまう。この神経生理学的現象は旧来からの臨床的な症状である、急性の嫌悪刺激が慢性的で再発する痛みを一時的に和らげる「誘導刺激」の基盤となっている。慢性の腹痛患者は、このシステムを活性化させることで知られる「足を氷水に浸す刺激」に付随して直腸の痛みに異常な知覚反応と脳の活動パターンを示すことがあることが報告されている。ネコを用いた内臓痛モデルの研究では、こういったニューロンが痛みの局在をアシストする求心性情報を精錬させていることが明らかとなっている。

 

骨盤神経について

上部消化管は迷走神経と脊髄神経の2重支配を受けるが、下部大腸と直腸は内臓ニューロンからは解剖学的に独立し、仙髄の投射と似た神経支配をうける。約1/3の骨盤神経は求心性線維で、主にAδとC線維である。

 

侵害受容における迷走神経の役割

約5万の迷走神経求心路(うち98%はミエリンなし)が消化管に供給されている。脊髄の求心路とは異なり、迷走神経はほとんどが低域値線維からなり、一般的な常識としては迷走神経は生理学的に害のない刺激(満腹、吐き気など)のセンサーと考えられている。広範囲の化学と浸透刺激に対する化学的受容器としての働きがメインの役割だが吐き気や嘔吐といった不快感覚の調整や、病気の際のサイレント受容器による炎症調整にも関わる。

 迷走神経求心路はその細胞体を下迷走神経節にもち、そこから脳幹へ投射し孤束核に終末をもつ。これらのニューロンは一方で(ほとんどが橋結合腕傍核を経由して)視床へと投射し、それから「内臓感覚神経マトリックス」として描出される特定の皮質エリアへと投射する。加えて、迷走神経求心路は直接視床下部扁桃体、中脳水道周囲灰白質、青斑核といった部位へも繋がり、感情、自律神経や行動反応を調整する。

 

 

腸神経システムの侵害受容における役割

 5億の神経細胞の約20%が化学的、機械的刺激に対する蠕動運動のような局所反射の求心性神経枝に関わる。混乱を避けるため、これらのものは固有感覚ニューロンというよりも固有一次求心性ニューロン(IPANs)として記載する。形態学的にはIPANsはDogiel type2の姿をしている(Dogiel細胞については http://www.nanbyo-study.jp/?page_id=2079 こちらのページがわかりやすかったです)。IPANsはダメージを感じ、消化管から生体/毒性化学物質を追い出す局所的な強い反射を調整することで有害な管の状態に応答する。

 

ここまでの要約

・消化管侵害受容はほとんど全てが脊髄内臓求心路によって調整される

・特に腸間膜や奬膜への脊髄の神経終末といった化学的―機械的受容器のコンビネーションは、重大な弛緩や虚血によって起こる急性の疼痛を調整する。粘膜への終末はおそらく炎症状態に起こる感作の後に重要な働きを持つ。

・迷走神経と固有求心路の役割は、独立して、または組み合わさって痛みの伝達に関わることが注目を浴びている。

 

 

 

以下、個人的な考察

 

 

皮質に入る感覚は皮質の活動に影響し

網様体に入る感覚は網様体の活動に影響し

中脳に入る感覚は中脳の活動に影響する

 

 

という考えからすると

脊髄網様体路、脊髄中脳路、脊髄視床下部路を通るということは

内臓の状態が網様体、中脳、視床下部へ影響をもたらすということで

 

姿勢制御や反射にも関わってくるってことですかね。

 

 

サイレント受容器はもともとが関節でみつかった受容器で

炎症状態にある関節は正常とは感覚受容が異なることになるんでしょうね。

 

Dogiel細胞についても知らないことばかりだったので新しく勉強していきます。

 

これくらいの長さだと読み直すのも楽でいい!これくらいでいきます。

国際筋膜学会のレビューについて

またしても長いです。

そして2013年の情報なのでもうよく知られている話が多いかと思います(´Д⊂

 

今回から、論文の記載雑誌のimpact factorも書いていこうと思います。

impact factor (IF) というのは雑誌の格みたいなもんで、

その雑誌にのった論文が平均して何回引用されるかといったことを数値化したものです。

だいたいの理解としては

IF1・・・微妙

IF2・・・まあまあ

IF3・・・なかなかいい論文

といった具合で数値が大きいほどいい論文なのだそうです。

IF6以上の雑誌に論文がのれば信州大学の医学科の大学院を飛び級で修了できるそうです。

かの有名なnatureはIF:38 (2017)だそうで。(年度によって違います)

IFが高い雑誌ほど審査が厳しく、結果として論文の科学的信頼性も高くなるそうですが

高ければ絶対に正しい論文とは限らないという点だけご注意下さい。

 

Fascia Research Congress evidence from the 100 year perspective of Andrew Taylor Still

2013  Findley TW, Shalwala M

 IF:1.55

 

概要

100年以上前、ATスティル医師はオステオパシー医学を設立し、筋膜が全身を覆い、個々の部分で名前は異なるものの筋膜システムの層は共通の起源をもつということを記載した。筋膜はすべりと液体の流れをアシストし、高く研究されている。筋膜は呼吸や細胞の栄養状態と深く関連し、また病気や癌とも関わる。本論文では、筋膜が器官の成長、支持の源で、病気の元でもあるというDr.スティルの見解から2007、2009、2012年の国際筋膜研究学会で表された情報をレビューする

 

 

 

ATスティル医師(1828-1917)はアメリカの生理学者でオステオパシー医学を設立した人物である。ATスティルは医学が不確実な時代に生き、多くの生理学者が使用されていた薬や技術に疑問を持ち、伝統的な医学に変化が必要であると考えていた。Dr.スティルは1892年にカークスビルにオステオパシー大学を開く前に何年も研究や実践をかさねていた。彼のオステオパシー哲学は病気よりも身体構造と健康の維持の概念に基づいていた。Dr.スティルは4つの原則があると信じていた(1)ヒトの体は全体的な生理学的ユニットとして機能する(2)身体は自己修復能力と調整能力をもつ(3)機能と構造は相関する(4)体の1箇所に与えられた正常ではない圧は他のパーツへの正常ではない圧とねじれを生じさせる。彼は特に、筋膜が覆い、筋膜の各パーツの起源ははっきりせず共通であることを描写している。筋膜はすべりと液体の流れをアシストし、高く研究されている。筋膜は呼吸や細胞の栄養状態と深く関連し、また病気や癌とも関わる。

 今、100年以上が経ち、3回の筋膜の学会の後で、研究方法や技術が進歩したことで、筋膜は器官の成長や支持に必須なもので、病気の元であるというDr.スティルの概念を検討することができる。最初の国際筋膜研究学会で、我々は筋膜はヒトの体に張り巡らされ、連続性があり構造をサポートする3次元構造で結合線維による軟らかい線維構造と定義した。筋膜はすべての器官、筋、骨、神経線維に入り込み、包み込んでいて、体のシステムが機能するための類のない環境を形成している。我々の定義や筋膜への興味は腱膜、靭帯、腱、皮膚支帯、関節包、器官、管被膜、神経上膜、髄膜、骨膜、そしてすべての筋内膜や筋肉内の線維といったすべての線維性の結合線維へと広がっていった。この定義は特定の構造や層を明示するため、2回目の学会で再発見された。

 幸運にも、私は1988年にDr. Ida Rolfが集めた100以上のジャーナルを所蔵した図書館を相続し、その中にはATスティルが筋膜について記載したものもあった。私は、そこに重要な情報があることを知っていたが、オステオパシーの学生が2012年に研究をしにやってくるまでそれらを深く調べなかった。こうして、3回の筋膜学会がDr.スティルの利益無しに2007〜2012年に行われたが、しかし彼が提唱したほとんどの概念をカバーしていた。筋膜の浸透、支持、介入はすべて1回、2回目の学会で示されたが、3回目の学会までは液体の流れは講演されなかった。呼吸と癌に関してはまだ、今後の学会で説明されることである。このことを背景として2007,2009,2012年の筋膜調査学会で示された情報を比較しながらDr.スティルの概念を1つ1つ検討しようと思う。全文の記事はDVDか、 www.fasciacongress.orgにのっている。特定の学会の各論文の重要性について簡術したものを紹介していく。

 

1)筋膜「すべての動物の体を部分部分に包み込み、浸透し、分けている:すべての筋とその線維を包み、浸透し―すべての関節、すべての線維も」Still 1899, page163

 

 筋膜はすべての筋や器官を包み、つなぐ結合線維で、体中をつなぐ連続性を形成している。ヒトの体には多くの密度の規則的ではない結合線維があり、腱膜や関節包や、筋を覆う筋内膜、周膜、上膜がある。筋内の細胞外マトリックスは筋内膜、筋周膜、筋上膜により構成される。筋上膜は各筋を包み、筋が骨へと接着する腱へと繋がる。筋周膜は筋を小束または筋線維束へと分ける。筋内膜は各筋線維を包む結合線維である(図1)。小さい筋膜線維は細胞膜自体へとのびて繋がる。(図2)

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 筋膜の連続性が結果として、筋筋膜にかかる力を近傍や場合によっては反対側の筋肉へと伝えていると、解剖および生理学的研究により示されている。浅筋膜は疎性結合線維や脂肪線維の層で、皮膚の直下に位置している。四肢筋膜の解剖は四肢と通した筋膜の高度なネットワークを示している。

 深筋膜はより硬く、また密度の濃い結合線維を含み、筋群をよく定義されるコンパートメントへと分類する。筋膜は外骨格のような役割を果たし、筋の機能的な組織を形成する。筋膜は各コンパートメントへ浸透しそれらをつなげている。筋標本の深筋膜は似たような構造を示し、筋が収縮する際の様々なボリュームの変化に適応する能力をもち、損傷しない程度の高い圧に対抗する。

 

2)すべての器官はこの基質によって覆われているが、その名前は器官や外観に合うよう変えられている。

 

筋をつつむ結合線維は分離し、独立して存在するわけではなく全身を連続した状態で存在する。広い定義での筋膜は、筋膜線維が局所のテンションの必要性に応じて線維配列、長さ、濃度を適応させることで相互作用するテンションのネットワークを形成しているように見える。筋膜は腱の起始や停止の他さまざまな部位で筋線維と筋ではない線維のつながりを形成する。例えば足部のアキレス腱の研究では腱は踵骨だけにつくのではなく、踵を越えて足底腱膜に続き、踵の脂肪の線維部に連続する。単に1つの筋を引っ張ったり押したりすることは近傍の筋の動きを引き出し、動かすことは疑いようのない事実である。

 筋膜はその解剖学的な個別の構造に従って伝統的に名前をつけられ、4つの異なった層を不明瞭にしている。さまざまな領域の筋膜はその領域にそった解剖学的な名前をつけられており、例えば大腿筋膜、腸脛靭帯、胸鎖、腋窩、上腕、胸腰筋膜といった具合である。これは器官や構造を部分として捉えており、全身をつなぐ結合線維としてではない。部分としての筋膜の名前や研究は、筋膜のより大きな機能を理解する上で障壁となりうる。

 解剖はしばしばこの結合線維のカバーを除去するところから始まる。VanDerWalは筋膜の解剖を控えた方法を用いて前肢の筋と他の構造の相互作用関係について研究を行なった。彼は筋と関節の結合線維の連続性を示し、分離したものではないことを示した。彼は筋と骨に起始と停止をもつ特別な結合線維構造があることを見出した。この結合はdynamentと呼ばれ、骨間の距離を、関節を開いたり閉じたりして変化させることで適応させることができる。(図3)全身にわたる筋膜の連続性は中胚葉に発生学的な起源をもつ。結合線維は成長するための構造的な骨組みを自身が発達することで提供し、この連続性が機械的または化学的なシグナルを様々な線維へと伝達する。

  

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  全身にわたり連続性をもつ筋膜は、全身に機械的な感覚シグナルを提供する。生きた線維内の細胞は細胞外マトリックスに結合する。接着面にはインテグリンとして知られる膜貫通型のレセプターが集合し、細胞外マトリックス分子と結合し細胞を接着している。これらインテグリンは細胞表面を横切って機械的なストレスを通し、細胞の成長、リモデリング、生存能力(アポトーシス)を調整する。細胞表面のレセプターに加わる機械的な力は細胞質や細胞核の分子の組織や構造を直ちに変化させることが研究により示されている。さらに、胚細胞内の機械的な環境はその特定の発達に決定的なものとなる。

 細胞外マトリックスの量や構造は線維や機械的な環境に依存してコンスタントに変化している。培養および生体内の線維芽細胞は機械的な負荷に対して、細胞外のカルシウムの流入(ストレッチによって活性化する膜チャネルを介して)、細胞内に蓄積されたカルシウムの放出、ATPの放出といった測定できる形の反応を示す。これらの研究は、線維の収縮や弛緩は動的な全身の細胞活動パターンの結果であることを示している。さらに、筋膜ネットワークの緊張具合は、埋め込まれた線維芽細胞の形態を層状から突起状へと変化させる。

 筋膜はまた電気的なシグナルを伝達する。筋膜の主な構造物の1つはコラーゲンである。コラーゲンは生体外の実験で半導電性で、圧伝導性で、光伝導性を示した。電流はイオンが伝達できるよりもはるかに遠くまで伝達することができる。結合線維内のこれらの電流は外的な影響によって変化し、さらに近傍の構造に生理学的な反応を引き起こす。しかしながら、ストレスに対する反応としての骨構造の変化(wolffの法則)の研究では、線維内の液体の流れが、圧伝導の効果よりも重要であると提唱している。

 

3)筋膜は「すべての筋を近傍の筋や靭帯の上を滑らせる手伝いをする Still 1899 page164

 

 すべての生きた細胞は、その内部の細胞骨格に発生するテンションによって固有の収縮性を示す。筋膜は機械的な張力を調整するために動的な役割を果たし、平滑筋様の収縮を行うことができる。ヒトの腰筋膜の生体外の研究では、筋膜は自動的に収縮できるが、これは筋膜内に収縮性の細胞が存在するためだと仮定された。筋膜は線維芽細胞を含み、これは筋線維芽細胞へと変化し、α平滑筋アクチンの遺伝子を発現し収縮性を示す。これらの細胞によって用いられた機械的な力はサイトカイン合成、細胞外マトリックスコンポーネントの生産の他、線維のリモデリングに必須のプロセスを調整する。

 骨格筋線維によって発生した力は結合線維を通して広がり、骨格筋や腱の外側まで広がる。これらは、epimuscular myofascial pathway(筋上筋筋膜経路?)として知られる。これらの経路の証拠は、筋の起始と停止で測定される力の測定によって示され、1つの筋の長さが変化する際に力が発生するが、近傍の筋は長さをキープしていることからも示されている。これらの発見は、形態学的な定義から筋とされている部分は機能的なユニットではなく、筋の長さ―力特性は他の存在の状態で変化し、筋に固定した特性ではないと提唱している。さらに、筋内のサルコメア長はその筋の全長にそって一様ではなく、筋線維レベル内での微小な滑りの必要性の結果である。

 筋膜は筋の収縮を様々なメカニズムで手助けする。筋膜は、上記の筋筋膜経路を介して、または直接筋に付着することで、筋と関節周囲の結合線維構造をつないでいる。例えば、回外筋の筋線維は1本たりとも直接上腕骨上顆へ停止せず、結合線維組織を介している。

 200以上の生体の手の解剖では複雑な結合線維のネットワークが、滑りや身体内の構造の運動性を示している。腱と腱鞘間の直接かつ機械的な多数の微小血管や線維性線維のつながりは、腱に血管の接合を提供している。この線維は、周囲の線維に動的な影響なしに構造を滑らせることができ、腱鞘だけでなく全身のどこでも見出すことができる。(図4)

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 さらに、単一の筋内でさえ、筋が長さを変化させるのと同様に形態を変化させる際、個々の線維はお互いにスライドする必要がある。しかし、筋内膜の非常に小さな距離を横切ってせん断力を伝達する際に筋線維は調和して動くことができる。

 疎性結合線維が深筋膜と筋の間に存在し、筋の滑りを可能としている。これはまた、胸腰筋膜の層の超音波の動的なイメージングにより示されている。さらに、筋膜と筋の間には潤滑油として約100μmの厚さのヒアルロン酸の層があり、これは筋骨格の超音波による分析の境界線である(図5)。結合線維の層を形成するコラーゲンシートは皮膚の滑りや伸張を生み出し、皮膚の形状を維持するのに役立つ。筋膜は筋をグループからコンパートメントに分割し組織する重要な役割をもつ。筋の同調するグループは筋の収縮力を増大させ、各コンパートメントでの圧の上昇はグループ内のすべてのメンバーに収縮の効果を増大させることができる。

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4)筋膜は「生命維持に不可欠で破壊的な流体を分泌して、排出すること」によって機能する。この働きによって我々は生き、その機能が低下することで我々は縮んだり膨らんだりしてやがて死ぬ。この連続した基質はすべての部位でフリーで、すべての流動体を受け取り、放出しているに違いない、もし動物の生命を支える際に使用されるなら、そしてすべての不純物が取り除かれるのであれば、死や毒の液体によって健康が害されることはないだろう。 Still 1899 page164

 

疎性結合線維は間質液15Lのほとんど大半をかくまっている。これは線維芽細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、脂肪細胞を含む細胞外マトリックスの間を流れている。間質液は線維の形態、機能、細胞の移動、分化、リモデリングに重要な影響をもち、そして細胞外マトリックスに存在する線維芽細胞は液体の流れに対して垂直方向に整列する。含まれている水、イオン、またその他の基質のバリエーションは疎性結合線維の機械的な特性を変化させることができる。液体の流れのわずかな変化でさえも細胞表面の剪断応力を変化させ、細胞の生化学的な環境を変化させうる。間質液は新陳代謝に働く細胞への栄養輸送を調整し、健康的な線維を維持するのに決定的な働きをする。さらにリンパ球や癌細胞をリンパ節やリンパ管方向へと導くことで方向の手掛かりを得る。

 骨格筋への血流はその代謝要求に厳しく調整される。筋が収縮した際、筋や自律神経システムではなく、直接的な機械的つながりによるメカニズムによって末梢血管は素早く広がる。収縮する骨格筋による張力は、筋肉から近くの細動脈までいろいろあるフィブロネクチン線維の形態を変化させる。

 弾力性の無い筋膜はリンパ液を産生する。筋が厚く、抵抗する筋膜層に対して収縮した際、コンパートメント内の圧は増大し、その結果血液やリンパ液は重力に逆らって心臓方向へと流れることができる。

 液体の量は間質のヒアルロン酸と、毛細管濾過の変化に常に適応するコロイド浸透圧とリンパによって調整される。結合線維は真皮線維の細胞のテンションを変化させることで濾過液の流れを変化させるが、その線維は親水性の基質を囲み、濾過で流出するその浸透圧を阻害する。これらの線維がリラックスしている時、グリコサミノグルカンのある基質は広がり、液体を取り入れ、結果として浮腫が形成する。(図6)外傷後、液体の流れは数分で約100倍増加し、これは細胞外マトリックスの活動によるもので、毛細管漏出はたった2倍程度増える程度である。

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 コンパートメント症候群は痛みを伴い、四肢を脅かす可能性があるが、これにより深層筋膜のコンパートメントの圧の増加から血流を阻害する。

 

5)筋膜「それはほぼ神経のネットワークで、細胞や管はそこから始まりそこへつながり、疑いようもなく100万の神経中枢と神経線維が横断し満たされている。その神経はあまりに豊富で、生物のすべての原子は神経や液性の供給をそこから得ることに失敗することはない。すべての器官とパーツが運動の要素を提供される何百万もの神経を、線維は投げ出して、供給する。すべてはその偉大なシステム筋膜に始まり、筋膜に終わる。」Still 1899 page164-5

 

筋膜は豊富に調査されている。神経は筋膜の3層構造をもつ。神経内膜は各軸索を包み、神経周膜は軸索束を包み、神経外膜はより厚い層で神経周膜をつつむ。すべての神経の層は調査されており、侵害受容器の網目構造をもつ。筋膜は豊富な自由神経終末を含み、これは胸腰筋膜、上腕二頭筋筋膜、様々な支帯で描写されている。神経線維は深筋膜でみつかっている。胸腰筋膜は様々な筋膜の層に様々な神経終末が分布することが深く調査されている。(図7)自由感覚神経終末は侵害受容感覚を供給する。胸腰筋膜線維は腰部背側神経に感覚入力し、おそらく腰痛の原因にもなっている。

 筋膜は固有受容にも重要な役割を果たしている。筋束は筋内に一様に分布しているのではなく、筋周囲の筋膜に力を伝達するエリアに集中している。固有受容活性の特定のパターンは筋膜にテンションがかかった時に起こり、深筋膜の筋との関係性に直接関連する。(図8)

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 筋膜は様々な侵害受容終末を含み、筋の痛みに応答する。侵害受容器は、機械的な過負荷やトラウマといった線維のダメージが許容できる刺激や、ブラジキニンセロトニン、プロスタグランジンE2といった炎症応答刺激を検出する。光学顕微鏡や電子顕微鏡によって描出された筋の侵害受容器は筋内のすべてのタイプの線維(結合線維、錘外筋、錘内筋線維、動静脈の外膜、脂肪細胞、腱)に存在する。これらの神経終末は直接機械的な侵害刺激を変換する。各機械侵害受容器の生体内での反応は、それらの細胞外マトリックスへの生理学的な繋がりに依存する。

 

6)もし病気をほとんど減らし、軽度にし、質を看破でき、原子的に多様であるならば、 そして、2クォート以上の伝染病をもつ空気で完全に肺が満たされたら、数千もの呼吸細胞が1回の呼吸で満たされるだろうか?ヒトの筋膜で見出される生命力からの栄養は、肺の表面のどのシステムの部分よりも近くなる。Still, 1899 page168-9  (すみません。ここは本当に何言ってるのか不明です)

 

ATスティルは体に対する呼吸という栄養の重要性について記載している。このエリアに関する更なる知見が、将来の筋膜学会で描写される。理論的な基礎、機械的な研究、結果判定が必要である。2015.10.15-17にフロリダで行われるであろう第4回国際筋膜学会では呼吸と筋膜の研究が強く促進される。このトピックに関しては、わずかな調査しかなされてこなかったが、呼吸と筋膜のつながりのメカニズムから筋膜の収縮に自動的な影響をもたらす(Brisら2012)という研究もある。

 ATスティルは健康における筋膜の重要性を理解しており、近年の研究は彼の筋膜に対する考えが信頼できるものであることを示している。筋膜は生理学者、徒手治療家からの興味を年々増している。マニュアルセラピーテクニックでは筋膜の層を扱い、密度、トーン、粘性を変化させ筋膜を整列させる。感覚神経終末への徒手的刺激は筋トーヌスを変化させる。筋膜のシステムは今、痛みや自己受容の原因となると認識されている。筋筋膜のトリガーポイントは局所の筋線維の厚くなった部分で、小グループのさる米あの収縮によって引き起こされる。筋膜研究はトリガーポイント、腰痛、線維筋痛症といった筋骨格系の問題を理解する助けとなる。結合線維はまた他の線維や器官と関連し、広く様々な器官のシステムで正常または病的な影響をもたらすだろう。

 

 

以下、個人的考察

筋膜は全身をつなぎ、色々な働きがありますってのは有名ですよね。

局所ー全身 両方を考えて

体中にある結合線維も全身状態の改善に役立つなら考慮して

とにかく患者さんの状態が良くなるようにですかね。

 

 

 

pubmedでフリーではないのでブログでは載せないつもりですが

職業の異なる双子の椎間板の変性具合をみたところ

重労働、デスクワーク等にかかわらず双子ごとで椎間板の変性具合は類似しており

椎間板の変性は機械的負荷ではなく遺伝によるものが大きいだろうっていう論文がありまして

さらにその変性をもたらす遺伝子が2015年(確か)に見つかったんだそうで。

 

どんな病気であっても、アプローチで変化をもたらすことができる部分と、遺伝的に厳しいであろう部分と考えつつ

でもできるだけ広く深くアプローチできたらなぁと思う今日このごろです。

 

 

筋膜の能動的な収縮性について

Active fascial contractility:Facia is able to contract in a smooth muscle-like manner and thereby influence musculoskeletal mechanics

2005  R.Scheip   W.Klingler  F.Lehmann-Horn

 

 

筋膜は平滑筋のように収縮することができ、それによって筋骨格系のメカニズムに影響を及ぼす。

 

要約

免疫組織学的な解析により、我々は正常な人間の筋膜内(特に大腿筋膜、足底腱膜、腰筋膜)に筋線維芽細胞が存在することを示した。その密度は腰筋膜で最も高く、身体の活動性に正の相関があるようだ。人体外でのテストにおいて、我々はラットの腰部の筋膜の一片をつるし、収縮作用の反応性を測定した。抗H1(←ヒスタミン?)薬であるメピラミンを用いると、筋膜には明らかな収縮性の反応がみられた。一方で窒素酸素付与体であるトリニトリグリセリンはリラクゼーションを起こした。仮に生体において似たような収縮が起きた際には筋骨格系のメカニズムに大きな影響を及ぼすくらいに計測された力は強かった。

 

序論

筋膜は大抵筋骨格系の動きに対し、力を受動的に伝達していると考えられている。しかしながら、文献によっては能動的な筋膜の収縮は、筋膜内の収縮性の細胞の存在による効果だと言及している。本研究ではまずヒトの筋膜が能動的な収縮性をもち、それがおそらくバイオメカニカルな振舞いに影響を及ぼすという明らかなエビデンスを紹介する。

 

対象と方法

げっ歯類、ブタ、ヒトの様々な筋膜の線維が収集され、Ulm大学(ドイツ)の倫理委員会のガイドラインに基づいて実験が行われた。32人のヒトの体から筋膜のサンプルが集められ(17歳~91歳、男25人、女7人)平滑筋アクチンにより免疫染色された筋線維芽細胞の存在をデジタルで数値化し解析した。ラットやマウスから採取した腰部筋膜のサンプルは比較、対照に用いられた。加えて、筋膜の新鮮なサンプルは生体外で等尺性の伸張をうけ、機械によって描写される力が書き留められた。これらは薬槽で処理され具体的には電解槽で修正された。線維は機械的、電気、薬物により刺激され、線維の張力の変化は電子工学的に記録された。使用できない筋膜は細胞質の貢献をはっきりさせるために調査された。

 

 

結果

先行研究では、筋線維芽細胞は正常な筋膜に存在することが示された。人間の腰部の筋膜では、人間やラットで行われた他の筋膜のものと比較して、筋膜の格子様の線維の方向に筋線維芽細胞がより高い密度で存在した。一般的に筋線維芽細胞の密度には個人間で大きなばらつきがあった。筋線維芽細胞の密度と身体活動には正の相関があることがデータから示された。生体外のストレッチの繰り返しに反応する初期剛性の増加は(文献内でもいわれているように)細胞間質の水和性の変化によることが示された。電気刺激からは何の変化も発見されなかった。しかしながら、平滑筋様の収縮は薬物によって引き起こされる可能性があった。抗ヒスタミン剤であるメピラミンの大量投与では最も信頼できる持続的な効果があった(n=29、p<0.05)ヒスタミンオキシトシンは特定の筋膜にのみ短い収縮性の反応をひきおこすだけであったが、いくつかのサンプルではNO供与体の追加は短時間の弛緩性の反応を示した。エピネフリンアセチルコリン、アデノシンでは何の変化も引き起こされなかった。メピラミンは線維の収縮を起こすがとてもゆっくりかつ持続的な効果を示すカーブを描き、2時間も持続した。先行研究では筋線維芽細胞の密度の増加を筋内膜、筋周囲膜にて明らかにしたが、似たような収縮反応のカーブが純粋に筋膜のみでもみられ、明らかに筋性の収縮を伴っていなかった。

生体内での極限の収縮の力が仮説により計算され人間の腰部に適用された。その力は機械的な関節の安定化やγ運動調整系のような通常の筋骨格系の振る舞いを変えるに十分な強さがあった。

 

結論

これらのことから、筋膜は筋線維芽細胞によって収縮性のある器官であることがいえる。この能力は一方で線維の再構築を含めた、慢性的な線維の収縮を現すし、もう一方では平滑筋様の細胞の収縮の繰り返しが分単位や時間単位で起こることで腰背部の安定性や、ヒトのバイオメカニクスに他の見解を及ぼす十分強い力になりうる。このことは、筋膜の硬さの増加や減少に付随した病理的な理解と臨床の将来的に係わり合うことを提案する(腰背部痛、緊張性頭痛、脊柱の不安定性、また線維筋痛症のような)。このことはまた、オステオパシーロルフィングの筋膜リリースやはり治療のような筋膜に影響を与える手法に新しい見解を提案する。筋膜の収縮性に対し、さらなる調査が行われることを期待する。

 

 

以下、個人的な考察

 

とはいっても上記の通りで、筋膜線維内には平滑筋様の細胞があって

収縮できちゃうよって話ですね。

 

この論文は実はSJFの会長 U先生に6年位前に戴いたもので、pubmedでフリーのものではないのです・・・

今となっては筋膜の収縮性はかなり有名になりましたよね。

 

今回は別の論文を翻訳予定でしたが、諸事情により時間がなくて・・・

過去に翻訳したものです(´Д⊂

 

 

私のまわりでちょっと大きな変化があるかもしれません。

色々と頑張ります(フラグが立って何も変化ないかもしれません)

 

次回は筋膜に関するもっと新しい論文か、内部臓器からの刺激情報は脊髄網様体路を通ってどうのこうのって論文を翻訳すると思います。