某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

足底の個々の部位への皮膚刺激は歩行時の足の「感覚の操舵」として働く

Cutaneous stimulation of discrete regions of the sole during locomotion produces “sensory steering” of the foot

EP Zehr, T Nakajima, T Barss, T Klarner, S Miklosovic, RA Mezzarane, M Nurse, T Komiyama

2014

 

今回の論文はかなり勉強になりました。

図が重要なので、以下のURLをコピーして頭にhをたして

論文を見てみていただけたらと思います。

ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4158001/pdf/2052-1847-6-33.pdf

 

 

背景

 体性感覚フィードバックは環境と中枢神経システムの重大なコミュニケーション手段である。下肢には様々なタイプのレセプター(侵害受容、筋骨格機械受容器、皮膚および皮下機械受容器等)があり、動的な相互作用が存在する。これらすべてが歩行時には関連しあった役割を持ち、皮膚および皮下の足底反射経路の活動は、足部に加わる様々な圧を調整する皮膚の活動に特に重要である。

 感覚フィードバックの役割はヒトの歩行と複雑な機能的反射の調節を結びつける。反射は歩行時に機能的な役割を持ち、前後関係に依存した適切な振る舞いを行えるようにする。反射の振幅(感覚入力の役割)はタスク(立位か歩行か)、刺激強度(侵害受容かそうではないか)、運動のフェーズ(ヒールコンタクトか立位〜スウィングへの移行期か)といったことに依存している。歩行の精密な調節は足底の刺激された神経からの皮膚入力によって生じる。加えて、足底の皮膚からの”正常な”感覚の除去は金活動や歩行のメカニクスを変化させる。こうして、皮膚の求心性フィードバックはバランス調整をアシストし、スタンスフェーズでの足の位置を確実にさせる。

 皮膚の反射にははっきりとした神経や位置による特殊性がある。足背部、足部外側縁(腓腹神経)、足底部表面(脛骨神経)の活動は異なった反応性を示す。特に、足底のレセプターは私たちが歩行の際に地面を受容するための感覚器官である。マイスナー神経叢、メルケル盤、ルフィニ、パチニといったレセプターの高密度の集中によって、足底の皮膚はステップサイクル間の触覚の感覚が鋭い。

 触覚強度での脛骨神経の電気刺激により、スタンスからスウィングへの移行期に足部の背屈が強調される一方で、スウィングからスタンスへの移行期には足部の底屈が強調される。立位時の腓腹神経への非侵害刺激は足部の背屈と外反を増大させ、足外側部や踵付近ででこぼこな地形に立った際にバランスを崩すのを修正しようとする。

 非侵害性の皮膚反射が足背や足底を支配する3つの主な神経幹に関して研究されている一方で、近年ようやく足底の領域によって特別な効果があることが興味をもたれてきた。これらの研究は坐位または立位に限られており、また前足部内側、前足部外側、踵への刺激に限られていたが、足底の個々の領域によって起こる皮膚反射は明らかにヒトの足部筋反射の地図を生み出してきた。

 前足部への刺激はヒラメ筋と腓腹筋内側頭に抑制性の反応を発生し、前脛骨筋には興奮性の反応を示す。踵への刺激はこの反対の効果がみられる。第5趾のつま先から踵まで足底の外側縁への系統的な刺激は、このヒラメ筋と前脛骨筋反射の反転を足底の中足部周囲に発生し、以前明らかにされた腓腹筋や脛骨神経刺激よりも良い運動出力を提供する。

 前足部外側と踵への刺激は長腓骨筋への興奮性の反応を生じさせ、前足部内側への刺激は抑制性の反応を生じさせた。これらの結果は、触覚刺激は姿勢の不安定性を真似し、足関節の安定性を通して不安定な地面へ適応するために長腓骨筋の反応を調整することを示している。

 しかし、神経科学で中心となる原理では、神経機能は精巧にタスクに依存するものである。我々は立位や坐位で得られたデータから足部への刺激が歩行の際にどのようなパターンの反射を示すか保証することはできない。本論文の目的は、歩行時の足底領域への刺激が皮膚反射に及ぼす影響を調査することである。加えて、足底の特定の領域の神経機械的役割を決定し、歩行時に足部から入力される皮膚感覚の神経機械的な影響をより詳細にマップ化することである。

 本研究でテストされる仮説は2つある。1つめは歩行時に足底の個々の領域への皮膚刺激は、マップ化された個々の皮膚反射を生じさせることである。2つめは皮膚反射により形成される神経の応答と、足底の力や刺激された肢の運動学的な変化の機械的な相関があることである。

 

 

皮膚の刺激方法について  

 経皮的刺激は部分ごと足底の5箇所にランダムに行われた。踵(HL)、縦アーチ内側(M―M)、第5中足骨近位端(M―L)、第1中足骨頭(F―M)、第5中足骨遠位端(F―L)

 

 

結果

皮膚反射

すべての筋の反射のフェーズ依存性の平均化したデータは図4の通りである。データはすべての参加者の全ステップサイクルで刺激を加えた際の平均を表している。

 

 歩行の際の特定のフェーズに着目すると、惹起された皮膚反射の違いが、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に歩行サイクルの中で広範囲にわたって見出すことができる。他の筋では、刺激による違いは典型的には観察されなかった。三角筋後部、大腿二頭筋、外側広筋、中殿筋については歩行の2フェーズでのみ(外側広筋、三角筋後部は1のみ、48フェーズ中)刺激した側に主な効果がみられた。この結果から、前述の3つの筋が足首周囲では劇的に効果がある。

 図4では部分ごとの足底刺激によって長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋に現れた結果を示している。

 図5では歩行周期フェーズ1とフェーズ9での各足底部位に刺激を加えた際の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動を示している。例えば、フェーズ1での腓腹筋内側頭の反射はHLへの刺激で促通され、F-Lで抑制される(矢印)。似たように、フェーズ9での長腓骨筋の反射は、F-MとM-Mでは反対で、TAに対してのHLとF-Mも反対である。次に、刺激下の状態で筋を比較すると、反射の効果は指定された筋によるものである。例えば、F-M刺激への反応はフェーズ9で長腓骨筋(促通)、腓腹筋内側頭(効果なし)、前脛骨筋(促通)である。次に、フェーズ毎の筋と刺激部位の比較では、明らかにフェーズによって反応が異なることがわかる。例えば、F-M刺激をした長腓骨筋はフェーズ1では抑制、フェーズ9では促通である。

 図6では長腓骨筋のフェーズごとの各刺激部位による反応の違いを示している。図に示されているように、長腓骨筋は刺激部位とフェーズの相互作用によって反射が変化する。長腓骨筋はスタンスフェーズでF-MおよびF-L刺激によって(フェーズ1,3,4,5)お互い常に有意差がありM-MとM-Lは立脚中期(フェーズ3と4)でお互い有意差がある。スウィングの間(フェーズ9)では、遠位(M-L、F-M、F-L)と近位(HL、M-M)で有意差がある。

 

腓腹筋内側頭の線維はアキレス腱内でParsonsによって1894年に描写されたように、踵骨外側を走行する。図7に示したように、腓腹筋内側頭の反射はフェーズと刺激部位が重要であるが、相互作用は重度ではない。フェーズ1では神経刺激部位によって大きな差がみられた。腓腹筋内側頭ではHLでの刺激は特にスタンス時、他の刺激部位とはことなることが分かった。

 

前脛骨筋については(図8)フェーズと部位の重大な相互作用がみられた。ステップサイクルのフェーズの5つで神経刺激部位による大きな違いがみられた。3つ(8,9,11)はスウィング中で2つは移行期(フェーズ12)とスタンス(フェーズ1)であった。スウィングフェーズ8,9,11ではF-Mへの刺激はM-M以外のどの部位への刺激とも異なる結果であった。M-MやF-Mといった内側への刺激は移行期(フェーズ12)の前脛骨筋を促通させた。

 

力検出について

踵部の力検出は図9、内側部は図10、外側部は図11.

 

 

足部の内外反

 足部の内外反についてはフェーズや刺激部位に重要な効果がみられ、またその相互作用についても影響される。刺激が足部の内外反におよぼす変化については図12にまとめてある。足部内外反の重大な変化としてはスタンス時(フェーズ2)とスウィング時(フェーズ9-11)にみられた。

 スタンスの間、M-Mへの刺激は外反を減少させ、HLやM-Lとは異なった結果となった。スウィングの間はF-Mのみ他のものと異なった結果となった。外側への刺激(M-L、F-L)は内反を減少させ、内側への刺激(M-M、F-M)とは反対の結果となった。

 

足部の底背屈

 底背屈については図13にまとめた。部位による違いはスウィングの際に顕著で、フェーズ9-11の間足部の内外反の効果も大きかった。スウィングの際の底背屈はF-Mへの刺激が他のものとは異なっていた。HLへの刺激はスウィングの際の背屈を減少させ、フェーズ9-11での底背屈も減少させた。

 

 

考察

本論文では、足底表面の5つの部位について非侵害性の皮膚刺激を加え、その反応について部位およびフェーズ依存性に歩行の適応が変化するかどうかを検討した。その結果足部の各部位への皮膚入力が、歩行の際には足底の求心情報と神経機械的な機能の結合により足部の安定性と強調をもたらすことが示唆された。運動学的な機械的変化はほとんどがスウィングで、力の面での運動学的変化はスタンスの際に見出された。

 

 

歩行周期による神経機械的表現

 統合された神経機械的な応答の機能的解説は下記の通りで、歩行を4つの機能的なフェーズにわけると(スタンス移行期、スタンス、スウィング移行期、スウィング)はっきりした反応が見られる。

 

 

スタンス移行期

 スウィングからスタンスへの移行期において、刺激部位依存性の特徴としては、前脛骨筋の活動と、踵への力に大きな影響がみられた。スタンスへの移行期では踵への刺激は踵への負荷軽減へと働く。機能的には、踵への非侵害性皮膚入力は前脛骨筋の活動を増加させ外返し(?)を促通し引きずったり躓いたりするのを防ぎ、立脚肢のすみやかな荷重応答を可能とさせる。スウィングからスタンスへの移行は地面への接触が予期され、踵刺激からの触覚入力は、踵接地の開始を強調すると解釈される。これらの観察はスウィング後期での脛骨神経刺激の研究結果によっても支持され、底屈によって特徴づけられる位置応答の形成を行う。

 踵よりも遠位の刺激の効果としては、でこぼこした地面へ荷重が増加する際の立脚肢を調整すると予測され、以前の研究では、歩行の立脚時の腓腹神経刺激が背屈と外返しを誘発し足部外側縁や踵付近にそってでこぼこした地面に適応できるように調整すると報告されている。M-MとF-Mへの影響を考えると、以前の論文では脛骨神経刺激で底屈が報告されており、腓腹筋と前脛骨筋活動の反射逆転がおこる境界が中足部の近位側に存在することが示されている。この境界は足底の外側縁にそって存在するが、内側縁を反映するものでもあるようだ。座位や立位でのアイソメトリックな収縮時の踵への刺激は、それぞれヒラメ筋への興奮性の反応や前脛骨筋への抑制性の反応をおこし、前足部内側や外側への刺激はその逆の反応を示す。これらのことは、F-MやF-L刺激の後前脛骨筋の促通が起こることを支持しているだけでなく、M-M刺激は反射逆転境界線が中足部周辺にあることを支持している。M-MやF-Mの効果はこうして単に脛骨神経の内側足底枝の活性からおこる反射を反映したものである。

 ヒールコンタクトでは、F-Lへの刺激は、M-Mへの刺激時の力の減少に比較して内側への力の重大な増加を示した。これらの効果は足底の縁に反対する触覚入力の増大に応答したバランスの回復や足部の安定化の結果かもしれない。NakajimaらはF-L刺激後の内側への荷重の減少は、外側の足底縁に沿った刺激が足部の外返しを促通するというエビデンスを提供している。この解釈は、このフェーズにおける長腓骨筋が広範囲にわたって促通される機能的感覚を作り出している。

 

 

スタンス

 スタンス初期に加えられた刺激の劇的な効果としては、長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋の活動や内側および外側の力、足部の内外反に変化をもたらした。踵への刺激を考えると、踵や脛骨神経への刺激は底屈をもたらし、外側への荷重の増加は、単にでこぼこな床面を受容する反応のための前足部の荷重の増加を反映している。加えて、内返しは最も内側の中足部を除いたすべての刺激で惹起された。ヒールコンタクトや立脚初期の間、踵への皮膚刺激から起こる反応は踵への圧の不均衡を是正するための反応で、運動出力の変化は前足部への圧を増加させることで立位肢のバランスをとろうとしているものと考えられる。これは内側への刺激で前脛骨筋(背屈・内返し)が促通されることや、外側への刺激で長腓骨筋(背屈・外返し)が促通されることにも反映されている。

 長腓骨筋や腓腹筋内側頭はスタンスの間、内側の足底圧に変化が起こることに強い影響があることが示された。M-LおよびF-L刺激の両方とも足底の内側への荷重を増大させることから、安定した荷重から不安定な面に応答し、バランスを改善させることを示している。これらの効果はNakajimaらにも支持されている。F-L刺激と比較して、M-L刺激後により大きな出力が起こるのは、身体質量中心が前足部よりも前にでる立脚後期に、中足部よりも前足部により大きな安定性をもたらすことを示している。

 

 

スウィング移行期

 スウィング移行期(フェーズ7)とスウィング初期(フェーズ8)では、部位依存性の効果は最も控えめであった。外側・遠位への刺激は長腓骨筋の活動を反映している。前脛骨筋は部位依存性の重大な影響を示し、底背屈や内外反はステップサイクルのこのパートをコントロールする主要な変数である。これは踵部分や外側、内側に加わる力を反映している。全体的な印象として、スウィング移行期では、足底部位の刺激はあまり特別な役割をもたないようである。

 

スウィング

 スウィングの間(フェーズ9-11)長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋は部位特異的な効果をみせた。前足部への刺激はすべての3筋を促通し、内側および近位側では外返しを、その他部位では内返しを発生させる。興味深いことに、踵部への刺激は底屈を起こす。

 

足底の個々の活動は、歩行の際の足の動きの「感覚の操舵」を行う

 Nakajimaらの研究では本研究を支持するものであり、足底からの反射により姿勢に影響すると報告している。足底への刺激によって惹起される神経的、機械的な機能的機構は、電気刺激によって混乱する足の動きをチューニングする役割をもつ(これを我々は感覚の操舵と呼ぶ)。

 図14に示したイラストでは、足底の活動が「感覚の操舵」反応を示し、足首の軌道や足底の圧を変化させることで機械的に現れている様子を示している。感覚の操舵の機能的な結果は、足の位置が障害物をかわす際の足の軌道をガイドしている。

 我々の触覚刺激強度であればどのケースであっても、神経機械的な結果が動きとして見られ内外方向(図14A)、近遠位方向(図14B)、足の斜軸(図なし)は刺激の位置に依存している。

 

 

足の刺激領域に対する方法論について

 今回行なった研究と、これまでに行われた研究で使用された全神経刺激の、歩行の際の足の領域の刺激の方法については大きな違いがある。スタンスの間、足の刺激電極に対して全体重がかかることで、スウィングの際よりも大きな圧がかかるが、神経刺激の際にはこのようなことはおこらない。これを相殺するために、我々は薄型電極を用いて、足底板の形状で2つの接着面で足底からずれないようにした。インソールがスウェイの間にずれてしまうことを心配したが、この接着を使用することが非常に効果的だった。我々は刺激閾値を5つの刺激点で3つのコンディション:立位(スタンスを真似)、坐位で足面は床についている(部分荷重を真似)、非荷重(スウィングを真似)で刺激出力を決定した。スウィングの際の反応(非荷重の状態を表す)はスタンスの際(荷重状態)の活動をこえる。(図4の長腓骨筋、腓腹筋内側頭、前脛骨筋参照)

 

 

結論

 我々の研究では、足底の皮膚神経は高く組織化されており、ヒトの下肢には地形学的な反射効果があるということを支持するものであった。部位とフェーズ両方の依存性が運動学的な反応が足底に発生する力の変化としてみられ、足底に加わる非侵害性皮膚刺激は、バランスと歩行の維持のための重要な触覚を提供する。歩行を修正する皮膚反射の効果は、足背部と脛骨、腓腹神経幹の直接刺激によって決定され、足底の特別な部位による皮膚反射のみをみた研究はほとんどない。

 本研究では、各足底の部位への非侵害性皮膚刺激の反応として部位およびフェーズ依存性の歩行修正がみられ、これはより深い運動との関連性の理解に役立ち、リハビリテーションに有用であろう。

 

 

 

以下、個人的な考察

長くなってしまいましたが、比較的読みやすい論文でした。

(ところどころとばしてますが)

 

歩行の際の下肢の調整に関しては色々と報告がありますが

脳まで感覚情報がいって、また下まで運動信号がおりてくるという形では反応間に合わず、反射レベルである程度なんとかしているということの証明にもなりそうで。

 

基本的には刺激部位から逃げるように足が動くようですが、そんなに単純な話なのかな・・・

電極があたってる時点で、何もない時の歩行とは反応が異なるような気もしますが

 

臨床で各歩行フェーズでうまくいかない部分がある時に、そのタイミングでうまく足底を刺激できるような装置があればより歩行の改善にもつながるかもしれません。

 

もうちょっと臨床で応用できるよう今週いろいろとやってみます。

 

スクレロトームについて 追記

先日記載したスクレロトームについてですが、

日本の論文がありました。

 

f:id:kami_12483:20170720180726j:plain

総合リハ 2016.6

 

他にも、膝OAの方の内側の痛みに対して

スクレロトームではL3,4の領域なので

デルマトームでL3,4の領域に電気刺激したら疼痛が軽減したという症例報告がありました。

 

 

このスクレロトームの骨における分布の図は

自分が検索した限りでは1944年 Inmanという方の研究が元になっておりました。

しかし、その論文がpubMedで検索してもでてこない・・・

一応日本の論文ではすべてこの論文を元にしてるみたいですが

どうなんでしょうね。

 

スクレロトームの発達と形態形成

Sclerotome development and morphogenesis: when experimental embryology meets genetics

2005 A Helene, M Burq   IF 2.4

 

友人に聞かれてスクレロトームについて調べてみましたが、

最近の研究は、どんな遺伝子がスクレロトーム発達のどこに関わるかという研究が主で

そもそもスクレロトームが何かよく分からない自分としては敷居が高かったので

 

詳しく書いてありそうな少し古い文献を翻訳してみました。

ですが途中からはやはり遺伝子の話に・・・

 

 

概要

脊椎は体節の腹側部分 sclerotomeから発達する。Sclerotomeの祖先は、彼らの運命をコントロールする近傍の線維に隠された多数のシグナル分子に従属する。本論文の目的はsclerotomeの導入、軟骨形成と形態形成のメカニズムを考察することである。伝統的な研究と近年の分子学の進歩の統合の結果、実験的発生学と遺伝学的アプローチの強力な融合が、椎体形成の多数のステップを明らかにしつつある。

 

 

脊柱は脊椎動物の体の支持と運動性の本質的な構成要素である。それは成体で明らかに最も分割された構造体で、肋骨や脊髄神経が連帯している。脊椎の発生(体節)が初めて記載、解析されたのは鶏のひなの胚で17〜18世紀のことでMalpighi, von Baer, Hisらによってである。それから、鶏の胚は体節形成と軟骨形成の研究の選択肢の一つとして残り、マウスやゼブラフィッシュといった他のモデルも近年用いられるようになってきた。こうして、鶏のモデルはNogent学会(フランスの有名な生物研究所?)で主な実験動物として用いられてきた。体節形成や分節過程の初期についてはPourquieによって解析された。このレポートはsclerotomeの初期を詳述し、形態形成に必要な軟骨形成と分子的なメカニズムについて着目した。私たちは多くがNogent学会で行われた伝統的な研究を解析し、近年注目されている脊椎動物の軟骨形成に関わる分子学的なメカニズムを解読する。

 

 

 

体節からのスクレロトームの形成

 原腸形成に続いて、中胚葉はHensenのnodeのレベルに集まり、中線に脊索を形成する。神経管の底面である脊索と、背側内胚葉の間の関係はM Catalaらによって記載された。原始線条の後ろ側に沿って、進入細胞が集まり沿軸、中軸、側板中胚葉が形成される。こうして、沿軸中胚葉は脊索の側面に位置し、神経板が形成されるとその底に位置する。神経管形成の間、神経管は集合し閉じ、沿軸中胚葉は成熟し上皮体節は神経管の両側に局在する。体節は前方から後方へと発達し、最も前方の体節はより成熟している。体節はその分節化していない沿軸中胚葉の位置に沿ってステージ分類され、体節Ⅰは分節化した最初の体節である。フェイトマッピング研究では、体節の様々なパートが様々な発達ステージでどの部分になるかを明らかとしてきた。鶏の胚では多くの詳細な研究が行われ、異所特殊性、同所性の体節部位の置換が、N Le Douarinによって作成された核小体マーカーを用いて明らかとなった。体節はその成熟過程順次形成される様々な領域に分けることができる。まず2つのメインとなるコンパートメントが形成される。背外側半分から発生する皮筋板は体幹筋と背部真皮の前駆体を含む。スクレロトームは腹側部分から形成され、脊椎と肋骨をつくる前駆細胞になる。胸椎の皮筋板細胞は肩甲骨の形成にも貢献する。各コンパートメントはより特別なエリアに分けられる。スクレロトームはさらに頭蓋側と尾骨側にvon Ebnerの裂け目によって分けられる。この2つは異なった分子マーカーを示し、様々な要素を生じる。体節の前側半分のさらに内側四半部は椎体を形成し、内側と後方四半部椎間板になり、後方と外側四半部は神経弓、椎体の椎弓根と肋骨を形成する。

 スクレロトームと椎体形成の理解は、血統特有の目印の入手可能性に依存してきた。先駆者の研究では細胞の形態学、軟骨性マトリックス形成、形態形成に着目してきた。(この後様々な遺伝子がどうか関わるかを記載)

 

 

 

スクレロトーム決定のタイミング

 沿軸中胚葉の全体の前後パターンは体軸に沿った分割の前に決定される。背―腹軸に沿った上皮の体節ⅠⅡの回転は、結果として正常な皮筋板やスクレロトームのポジションにする。対照的に、背―腹の回転の後、体節Ⅲは外胚葉と皮筋板の間に位置する間葉細胞の元になる。

 

周囲の組織によるスクレロトームのパターン

 卵割の後、体節ⅠⅡのスクレロトーム誘導は軸器官内側、体壁葉外側、外胚葉背側から放出されるシグナルによって起こる。脊索、神経管、可溶性抽出物がステージⅠ―ⅩⅣ体節に加えられると、軟骨と筋が形成される。

 

スクレロトームはさらに細かくいくつかのドメインに分けられる

 上皮ドメインの腹側部分に引き出されたすぐ後、スクレロトーム細胞は上皮体節の腹側部分から上皮から間葉への移行を受け、神経管や脊索周囲およびより外側へと移行し、肋骨の近位部分を形成する。

 

スクレロトームはさらにシグナルが加わることで軟骨組織へと分化する

 

 

以下、個人的な考察

 

途中で言葉を調べていたら

体節 (脊椎動物) - Wikipedia

中胚葉 - Wikipedia

 

こちらを見ていただいた方がわかりやすいと思ったのでやめました

(論文はどんな遺伝子が発達にどう関わるかの話がメインだったので)

 

デルマトームだけでなく、ミオトーム、スクレロトームが

原因部位とは離れた痛みの要因になりますよっていうのが

ここ数年治療家の間で言われ始めてるみたいですね

 

こちらのブログにスクレロトームの画像が少しのってました

(全く知らない方のブログなのでリンクさせておりません)

ttp://kogumaya.hatenablog.com/entry/2015/05/20/174251

 

発達も含めてその人の体を形成しているので

デルマトームや神経支配だけじゃないぞっていうのは常に考えつつ、

でもあまりに医学からぶっとんだものに傾倒しすぎないよう気を付けます

 

 

もっと勉強しなきゃなんですが・・・

なんとなんと

今週末発売のnintendo swich スプラトゥーン2セットが当たってしまいました。金曜日に届くそうで。

ここ数年ゲームなどやっておりませんでしたがめっちゃ面白いと評判なので

金曜日から廃人生活になってしまうかもしれません。

 

週一更新がピンチです。

腰痛に対するスタビリティエクササイズ 最新版(2014)

An update of stabilization exercises for low back pain: a systematic review with meta-analysis

BE Smith, C Littlewood, S May 2014   IF 1.7

 

概要

 非特異的腰痛は原因や病気のはっきりしない腰痛であり、その生涯有病率は80%といわれる。時点有病率は12-30%でそのうち急性の90%は6週以内に改善する。しかしながら腰痛を初めて経験した人々の62%は1年以上も症状が続く慢性腰痛へと発展し、16%は6ヶ月病人リストにのせられる。イギリスでは、病院や理学療法治療等に10億ポンドものコストを強いられ、これは他の先進国でも同等に高いコストがかかっている。腰痛は労働人口の中で長期にわたる病気の原因となり、イギリス労働者では計年間6億2400万ポンドかかり、各年1億1900万もの労働日が失われている。

 イギリスにおいて、腰痛患者は日常的に理学療法を受ける。治療方法は様々で、脊椎のマニピュレーション、モビライゼーション、エクササイズ等が行われる。脊椎のローカル筋の活動やタイミングの障害と腰痛の関連性が報告されてきた。これらの筋の運動機能や不活動に対して再教育する治療的体操が開発されてきた。腰痛とこれらの筋活動、こうしたエクササイズ(コアエクササイズ)の効果のつながりには疑いが持ち上がってきたにもかかわらず、イギリスにおいては腰痛に対する一般的な理学療法学的治療として成長し流行した。

 MayとJohnsonによる2008年のシステマティックレビューによれば、スタビリティエクササイズは全く何をしないよりも効果があるが、他の運動よりも効果があるとは言えないとレポートされている。その後も様々なトライアルが実行され、報告された。Macedoらは2008年6月までに出版された論文を含めて報告しているが、スタビリティエクササイズは一般的なエクササイズよりも良いものではない。2012年、Wangらはシステマティックレビューを発表し、コアスタビリティと一般的なエクササイズには有意差はないと報告している。しかしながら、Wangらはコアスタビリティエクササイズを「不安定な面で行うエクササイズ」と定義しているため、より広く知られている筋活動とは異なっている。Bystromらは、スタビリティエクササイズは一般的なエクササイズよりもより効果的と報告しているが、彼らは腰痛を非特異的腰痛に限らずに行なっている。本論文では、様々な文献を比較し、コアスタビリティエクササイズが非特異的腰痛患者への他の代替治療と比較して本当に効果的であるかを決定することにある。

 

 

疼痛について

 22の研究、2258人の患者が痛みに対する治療をうけた。質の高い研究において、腰痛に対するスタビリティエクササイズは短期、中期、長期にわたって統計学的には他の代替治療や何もしないよりも非常に高い効果を示した。しかしながら、各グループ間においては臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)においては優位な差はなかった。(MCIDについてはこちら臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)とは?: EBPT雑記帳

スタビリティエクササイズと他のエクササイズにおいては短期、中期的に統計学的に優位な差が見られた。各グループ間の差は臨床的に優位な差ではなく、また長期的な効果については臨床的に重要な差はみられなかった。

 

機能障害について

 24の研究、2359人の患者が機能障害に対する治療を受けた。質の高い研究において、腰痛に対するスタビリティエクササイズは他の代替治療や何もしない群と比較して短期、長期的に効果があった。しかしながら、各グループ間の違いは臨床的に重大ではなく、中期的な効果には違いがなかった。

 スタビリティエクササイズと他のエクササイズには短期、中期的に統計学上重大な差があったが、臨床上は差がみられなかった。長期的には重要な差はみられなかった。

 

考察

 本論文の目的は腰痛に対するスタビリティエクササイズの効果の現在のエビデンスを評価することにある。結果、コアスタビリティエクササイズは他の代替治療や何もしなかった群と比較して臨床的に重要であるとは言えないものであった。

 腰痛に対するコアスタビリティエクササイズは、他の代替治療と比較して短期、中期的に非常に小さな効果しか認められず、臨床的に重要なレベルとはいえないレベルでしか変化がみられなかった。長期的には、他のエクササイズと比較して痛みや機能障害に対してまったく利点がなかった。スタビリティにトレンドは向かっているものの、結果として臨床的には重要ではなかった。

 特に心因性の腰痛に対しては、スタビリティエクササイズはエアロバイク、スリングエクササイズ、一般的なエクササイズと比較してより悪い結果となった。

 本レビューではスタビリティエクササイズは腰痛を改善するものの、他のエクササイズよりも優位ではないことが明らかとなった。また、心因性のものについてはより悪い結果となった。スタビリティエクササイズと他のエクササイズを組み合わせたものが、より良い結果をもたらすかもしれないが、本レビューにおいては、スタビリティエクササイズを推奨しないものとなった。

 

 

以下、個人的な考察

スタビリティエクササイズはあまり効果がない!

まぁ本来無意識下で働いて欲しいものを、意識的に練習したところで・・・ってところでしょうか。

特に心因性のものに関してはより悪いってのは、やってる感があまり無いからでしょうかね・・・

 

統計学的に優位な差はあったけど、臨床的には差がなかったってのはどういうことやら。

肘の屈筋の緊張が異常に高くて、肘の伸展ROMを改善したいと思った時に

肘の屈筋群を切断してしまえばROMは統計学的にはかなり改善するでしょうが

臨床的には意味がないという話をたまにするのですが

そんな感じですかね

 

 

はてなブログは簡単なアクセス解析がついてて、フェイスブックのリンク以外から来た方がどんな言葉を検索してここにたどり着いたのかでてきます。

検索してこられた方のほとんどは、

「足底 感覚」とか「足底 受容器」とか足のことを検索されているようです。

 足底の受容器について興味がある方が多いんですかね。

 

立位と足底の受容器に関する論文は昔翻訳したので

歩行時の足部の受容器の働きについての論文を近いうちに翻訳してみようかと思います。

 

  

 

運動における半球の非対称性

Hemispheric asymmetry of movement

KY Haaland, DLHarrington   IF 6.1

 

  

我々が日々行なっている複雑で卓越した動きは、強さやスピードといった運動の基本となる要素に依存するが、それだけでなく、計画、自己モニター、運動の修正に必要なより高いレベルでの認知機能にも依存する。神経解剖学、神経生理学、神経行動学、神経イメージング研究により、これらのスキルが大脳皮質や皮質下構造を含む神経システムの相互作用のよるものであると示されている。

 

複雑な動きをコントロールする際の大脳半球間の違いの研究は、基本的に1側の半球が障害された脳卒中患者を用いて行われる。ほとんどの研究において、同側の運動では複雑な運動スキル実行の際に左半球が優位であることを示した。これらの発見は、タスクにおける認知―運動の必要性や左半球がこれらの運動をコントロールする際に関連する皮質エリアの主要な役割にあるものである。

 

さらに最近では、ファンクショナルイメージング研究では、神経学的に無傷な人々を集める方法を用いることで、脳卒中患者から正常な脳機能を推察するという方法で生じうる問題を避けることでこれらの問題に対応しつつある。これらのアプローチは、認知―運動の必要条件は行動測定により定量化され、全脳イメージングと一緒になることで我々の半球の運動の非対称への理解を改善するかなりの見込みがある。

 

ここでは、左半球によって差次的にコントロールされる動きを観察してみると、運動に関連した半球は非対称のパターンを示すことをレビューする。同側運動コントロールを説明する最も信頼できる2つ―運動の認識や同側の皮質脊髄路の活性化に関連する左右半球の関連するエリアの様々な活性化―についても説明されるだろう。ファンクショナルイメージング研究は運動コントロールの半球非対称についてもまた説明するだろう。 

  

右半球、左半球からの同側運動コントロール

 それぞれの手の半球のコントロールは対側の一次運動システムに強く影響され、特に遠位の筋で強い。半球のダメージにより、同側領域よりも反対側領域の障害が強いことに疑いの余地はないが、右利きの患者を用いた多くの研究では、一側の半球のダメージが同側の四肢においても同様に障害されることを報告している。その同側運動障害のパターンの違いは、運動の認識の必要性にあるようである。

 

 

ほとんどの研究において、同側ではなく対側が認知―運動の必要性が最小な単純作業において欠損することを示してきた。右または左半球の障害後、認知、感覚―運動の統合が必要なより複雑なタスクにおいて同側でも同様に障害されることが報告されているため、暗に両側の半球が関わっていると考えられる。左ではなく右半球のより大きな障害後、一般的ではないものの同側の障害があり、タッピング速度の低下や目的とした動作の開始が遅くなることが報告されている。しかしながら、左半球障害後、同側の運動障害(例:外的なペースでの速いタッピング、四肢の失行、バリズム様運動、運動順序障害)がより高い頻度で見られ、このことから左半球は少なくとも右利きにとってほとんどの運動面の認識のコントロールに優位であることが示されている。

 

左半球は認知―運動プロセスの計算に関連し、そこには運動プログラムの構築や保管、感覚フィードバックを利用し運動を観察・修正、運動プログラムを連続した動きにするための選択や修正といったことを含む。一方で、全てではないものいくつかの研究においては右の半球は閉ループコントロールに特別な役割を果たし、目的とする運動の正確さや軌道の修正を実行すると報告している。

 

運動における同側障害は、ダメージを負った同側の皮質脊髄路の問題というより、タスクにおける関連する皮質エリアを動員した認知―運動における必要性に関連するものである。この説明は好ましいものであるが、それは同側の障害は左半球で右半球よりも頻度が高く、運動タスクの増加に伴う認知の増加を必要とするためである。しかしながら、領域研究では半球内の領域と認知―運動パフォーマンスの関連性を系統的に説明できていないのが現状である。

 

アームリーチにおける半球の運動コントロール

 左半球は右半球よりも腕のリーチング動作において特殊であるが、この不一致のメカニズムを説明するには意見の相違がある。ある研究者達は、左半球のダメージは開ループプロセスを障害するため、運動のプログラムやフィードバックメカニズムの修正なしに実行されると提唱している。閉ループプロセスは感覚フィードバックに依存し、左半球障害後には問題ないようである。しかし、別の研究者達はこれと論争をおこしている。これらの不一致はタスクにおける認知―運動の必要性が異なる、題目の特性が異なる、開ループと閉ループの定義が異なるといった多くの要因に起因しているようである。

 

近年の研究においては、開ループコンセプトは左半球の優位性を考慮するにはあまり有益でないようである。運動学的な解析では、左半球のダメージは、運動の振幅が増加した際に最適な運動速度を選択し、実行する際の問題に関連する。この発見は、開ループの説明とは矛盾する視覚的なフィードバックの利用には影響されない。より大きな振幅の運動の実行は、より大きな力が正確性を維持するのに必要で、認知―運動の複雑さを増加させるため不安定となるかもしれない。

 

観念運動性失行症の半球コントロール

観念運動性失行は、親しんだジェスチャーの実行が時空間的に傷害される特徴があり、筋力低下、失調、感覚低下、失語、その他認知障害はみられない。臨床的には、ジェスチャーの実行(例:歯を磨く動作)によって評価され、右半球よりも左半球障害の方がより高い頻度でみられる。最近では、これらの障害は頭頂葉が障害された四肢の失行患者の、スライスするジェスチャーを実行する上品な運動学的研究によって記載された。コントロール群の人々と比較すると、失行症患者の「パンをスライスする」能力は運動の平面において正常ではなく、スライスするジェスチャーはチョップする動きに変わってしまった。加えて、速度と軌道の形状と複数の関節に及ぶ運動の協調の関連性は歪んでいた。運動の時間空間的障害は運動プランと、様々なプランを繕い、組織する必要性があるプロセスの分解に原因があった。

 

これらの障害が失行に特徴的であることを確実にするため、運動学的な解析が失行のない左半球障害の患者で行われる必要がある。この対照群の重要性は、手の肢位の連続性の研究により協調される。左半球損傷で失行のない患者が連続した動きをコントロールする際に、失行と同様の障害を示す。

 

 

半球の連続性のコントロール

一側の脳損傷

運動の連続性の障害は左よりも右半球損傷でより報告が多いが、多数のメカニズムがおそらくそこには存在する。ある研究では、これまでの報告のように左半球が連続性の障害を示し右半球では示さないとしたら、左半球損傷で失行のあるおよび失行のない患者のある種の手の形を連続させる能力を研究し、障害は四肢失行に特徴的なものあるか、左半球の役割として一般的なものであるかどうかを調査した。失行のあるまたは失行のない患者は繰り返し手の形を調整する検査で正常な反応であった。失行の患者のみで、様々な手の形を含む連続した動きの非正常なパターンを示した。反応時間のパターンから、失行群はより高いレベルの反応へと運動を解剖し、組立てる連続の特性を利用する能力を示さないことを明らかにした。重要なのは、より進歩したプランニングにおけるこれらの障害は運動の実行に影響をもたらすことである。

 

この連続性のタスクにおいて空間的な能力が必要なのにもかかわらず、神経生理学的テスト上、視空間障害を示した右半球損傷のパフォーマンスは正常であった。これは、連続した運動の準備は運動システムの表現と、左半球に大きく依存しているということが示された。また、全てではないもののこれらのプロセスは観念運動失行の患者ではっきりと障害された。

 

ファンクショナルイメージング

いくつかのファンクショナルイメージング研究において、2つの半球間の同側運動中の活動について研究・比較されている。あるひとつの研究以外は左半球が右半球よりも同側運動の際の活動が大きかったと報告している。これらの研究の2つにおいて、母指とその他の指の連続した対立運動時の半球の非対称性を調査し、左半球が右半球よりもはるかに大きな同側性の活動を示したが、これは右利きのみ対象としたものである。1つの研究が運動皮質のみを研究し、他は全脳を研究したが、両方の研究において左の運動皮質の活動は右の運動皮質よりも活動が大きく、全脳を研究したものにおいては、運動皮質以外の他のエリアにおいては非対称性は示されなかった。

 

これらの結果は脳損傷の患者によって得られたものではあるが、左半球の優位性は皮質の関連エリアにおいて運動皮質よりも非対称性は大きかった。母指と他指の対立タスクでみられた非対称性は運動皮質でみられ、他の運動関連エリアではみられなかったという事実から、左の運動皮質は単純なタスクにおいてより重要な働きをもつことが考えられる。これは2つの筋の同時収縮や共同筋の収縮といった運動のパラメータを調整する役割がある。これらの連続した運動タイプは補足運動野を両側性に活性化させるが、母指と他の手指の対立運動においては活性化させない。

 

同側の活性における半球の違いは、右(利き手)か左(非利き手)の運動タスク実行の違いにも関わる。電気筋電計をもちいたある研究では、左手の運動をする際に右手に隠されたミラー運動の発生が見出され、両側の運動皮質の活性がみられた。それゆえ、左半球でのより強い同側の活性は、半球の優位性というよりも右手のミラー運動を反映しているのかもしれない。これは半球の非対称性を解析するのに混乱させる要因となりうる。

 

運動皮質からの同側の出力は同側のコントロールにかかわるだろうか?

 皮質脊髄路を通じた同側の運動投射の影響はよく考えられなくてはならず、特に似たような同側の障害は右または左半球の障害後にみられ、またファンクショナルイメージ研究による非対称な活性化は運動皮質に局在した。しかしながら、この説明は半球の非対称にはありそうもなく、なぜならば複雑な同側運動の障害された患者は、単純なタスクにおいては同側の障害がみられなかったためである。加えて、ヒト脊髄の病理組織学的な解析では皮質脊髄路の非対称が見出されており(同側の投射は大多数の患者で左半球よりも右半球からの投射の方が大きい)、これは上記の動作のデータとは反するものである。

 

同側の脊髄路投射は皮質脊髄路の10〜15%程度にもかかわらず、これらの投射は遠位よりも近位の筋群に影響する一方で、ある1つの神経解剖学的研究では同側の皮質脊髄路はほとんど遠位の筋群に投射すると強調している。それでもなお、動作の研究においては遠位のコントロールは近位のコントロールよりもはるかに重要性は低いことが示されている。これらの発見は同側近位の動きより遠位の動きに半球の非対称性が大きく関わることを予言している。しかしながら、ヒトの障害研究においては同側への影響は、近位と同等に遠位の動きに必要であると示している。ファンクショナルイメージング研究では、片麻痺からの回復の際に、回復した肢を動かす際に障害されていない半球の大きな活動が見られることを示している。

 

これらの結果は、同側の大脳皮質と遠心性運動経路は回復をサポートするのに十分であることを示している。不幸にも、この研究ではその回復に左右の違いは示されていない。これらの経路がどのように正常な運動機能に役立つのかははっきりしていないが、近年のfMRI研究では、運動皮質からの同側投射は相対的には小さな働きしか果たしていないとされている。前運動皮質からの同側投射の役割はまだ明らかとされていない。

 

結論

近年のファンクショナルイメージング研究では同側の運動の際に右よりも左半球の大きな活動を示している。将来の研究ではこの半球の非対称性が、動作の認識の必要性に関連するのかどうかを検討しなくてはならない。各半球のどのエリアがこの非対称性の原因になっているのか、またタスクにおける認知―運動の関連性を明らかにしていくことが重要である。

 

 

 

以下、個人的な考察

 

同側の運動経路は左半球が優位で近位の筋群で優位

 

でも遠位が優位っていってる論文もあって

病理組織学的には右半球からの投射経路の方が大きい

 

うーん。いろいろとわかってくると逆にわからないことがでてくるいい典型ですかね。

 

病理組織学的に右からの投射が大きいけど、実際のヒトを用いた研究では左からの投射が重要

 

投射経路が大きいからといって運動の複雑性にはかかわらないということなのか?

 

左の半側空間無視は右より重度になりやすいというのは

右脳は左右両方の空間を認識しているためという論文が昔あったのですが

そのことも何か影響しているのか

 

なにかこれまで常識として考えられていたことが実は間違っていた!というのがでてくれば解決するのかもしれません

 

とりあえずはよくわからんです。

 

 

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その5

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q IF: 5.6

 

今回で最後です。5)消化管の慢性痛の治療

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

 

慢性消化管痛の治療

解剖学をベースとした治療

 消化管痛の解剖学的な基礎はまだ議論されている。消化管由来の治りにくい痛みのアプローチの1つとして、これらの疼痛経路を遮断することである。神経ブロックは、体性痛、特に脊椎の神経根由来の疼痛に用いられてきた。慢性の消化管痛では、その役割は実施不可能な後腹膜(多くはすい臓)、骨盤の悪性腫瘍由来の疼痛緩和のための免疫抑制治療の1つとして限られてきた。こうした痛みは(1)直接腫瘍が神経を巻き込んで起こるものや内臓が虚血に陥って発生するもの(2)治療に関連するもの(放射線後の神経炎、薬によって引き起こされるニューロパチー、外科的な脱神経)の結果として出現する。観血的治療は一般的に薬理学的治療や他の観血的治療や神経ブロックには効果がみられなかった患者に用いられる。ごく最近のエビデンスでは内視鏡超音波ガイド下腹腔軸ブロックも用いられる。神経根破壊のためのクモ膜下腔内へのフェノールやアルコール注射もまた約50-80%骨盤内腫瘍の痛みに効果がある。骨盤内の交感神経遮断は交感神経支配をうける脊髄の求心路を遮断する必要がある。仙髄の神経切断術は時々効果があるものの、膀胱や大腸機能障害がみられるため、疼痛に対しては行われなくなった。しかし本研究に、より関連しているのは仙骨神経刺激の急速な開発途上エリアである。仙骨神経刺激は便失禁や便秘に対する第一選択の観血的治療になりつつある。後者に関しては、痛みに対しては大抵効果がない他の外科的な治療とは異なり、仙骨神経刺激はひどい便秘のある患者の痛みに対して非常に効果があり、骨盤痛に対する治療として今後でてくるであろう。

 

消化管痛の薬理学的な調整

 内臓感作に対して、機能性消化管障害や特に過敏性腸症候群に対する薬理学治療に様々なレビューがある。現在の機能性消化管障害の痛みに対する治療は、麻酔薬、鎮痙薬と抗うつ薬を用いるが、時々便秘や鼻づまりといった副作用が出現する。製薬会社はここ20年、機能性消化管障害に対する「魔法の弾丸」を開発するために研究を重ねてきた。しかしながら、その努力は成功にはいたっておらず、金銭的にも回収できていない。臨床においても、ほとんどの薬がほとんど効果がないことが示されている。この原因の一つとして、機能性消化管障害は症状に基づいて診断され、病気を確定するマーカーが存在せず、大規模臨床試験が実施される前に薬のメカニズムを証明する病気の良いモデルが不足していることがある。

 

 

薬は末梢シグナルと末梢感作に劇的に働く

 末梢侵害受容伝達や特に末梢感作にある分子の複雑な調節は様々な可能性が議論されてきた。これらのプロセスには3つのグループのレセプター:電位作動性イオンチャネル、リガンド作動性陽イオンチャネル、Gプロテイン結合レセプターが関与しており、またこれらの分子と局所炎症前細胞、免疫細胞との双方向性の相互作用が影響する。電位作動性イオンチャネルは疼痛伝達の基本を示す可能性がある。陽イオンチャネルはその反応性を調整することでおこる変化について、体性痛については研究されてきたが内臓痛についてはそうではない。Gプロテイン結合レセプターについては、上記2つのグループに比べて消化管痛の新たな末梢治療を最大限保証する。

 

薬は中枢シグナルと中枢感作にも劇的に働く

 中枢にのみ働く訳ではないが、いくつかの薬は活動電位の伝達をブロックしたり、抑制する。

 

薬は経路の調整にも劇的に働く

 腹痛や内臓感作によって特徴づけられる機能性消化管疾患においてストレスや認知や感情機能を調整する可能性がある。

 

結論

 消化管は痛みの面からも重要で、不幸にも慢性的で説明できないものにもなりうる。消化管痛症候群の病理学的な詳細の理解は新たな薬の開発に役立ち、将来の臨床にも役立つであろう。

 

 

以下、個人的な考察

最後治療は外科的治療と薬についてのみでした。

 

機能性消化管障害の痛みに対する治療・・・効果的な薬がまだできていない

と言いながら、

薬は末梢シグナルと末梢感作に劇的に働く

薬は中枢シグナルと中枢感作にも劇的に働く

薬は経路の調整にも劇的に働く

 

ってのはどういうことなのやら。

 

うーん。最後いまいちでしたね。

 

来週は

運動時、同側性の脳活動は左脳が優位であるという論文について書こうかと思っています。

多分。

 

消化管の痛みに対する基礎と臨床的視点 その4

Basic and clinical aspects of gastrointestinal pain

2009 Knowles CH, Aziz Q IF: 5.6

 

今回は4)説明できない消化管の痛みについてです

 

 1)消化管侵害受容の解剖学的基礎(脊髄、迷走神経、腸神経システム) 

 2)消化管侵害受容の分子学的基礎(末梢および中枢のシグナルと感作)

 3)消化管侵害受容の調節(遠心性の神経、自律神経や視床下部―脳下垂体中枢) 

 4)慢性的な説明できない消化器の痛みによって特徴づけられる臨床症状 

   臨床の概要と重要性 

   病理生理学的応用

 5)消化管の慢性痛の治療

 

 

 

説明できない慢性的な消化管の痛みについて

 腹痛は外科や胃腸科医へ紹介されるもっとも頻度の高い原因で、腹部または骨盤内臓が大抵関係している。急性の腹痛は様々なメカニズムによって発生し、臨床においては根底に病理学が存在するという考えを反映している。広く考えると、痛みは内臓のストレッチを原因として発生し、それは炎症や、癌などの神経に対する浸潤や圧迫といった何らかの障害によっておこる。ある意味では、急性の痛みは精神的外傷やオペ、または炎症によって起こるが、これらは特に説明できないような痛みに対しては慢性疼痛よりも問題となることは少ない。慢性疼痛は、慢性状態をひきおこす痛みを含め、慢性の消化管症状のはっきりせず、重なり合う状態と高い関連性を持つ。

 

機能性消化管障害

臨床での概要と重要性

 「過敏性腸症候群」という言葉は、一般人にもよく知られており、40歳以上の大人や小児科まで幅広く、口から肛門まで分類される。器質的な疾患の様々なケースを説明する臨床観察を集めた基礎を用いると、大抵はこのシステム(RomeⅢ:http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/5-kai%20PDF/hongo%20lunchon%20semi%200902_25-29low.pdf)を用いて過敏性腸症候群、消化不良、胸焼け、機能的腹痛症候群といった診断がくだされている。痛みがこの過敏性腸症候群の極めて重要な症候である。この消化管疾患の多様性が二次的なコストを生じており、例えば1998年には機能的消化管障害による経済的損失は410億ドルにも登るとされている。機能性消化管障害の痛みに対して、効果的な治療が不足しており、このエリアにおいて臨床的に今だ対処がなされていない。

 

 

応用病態生理学:内臓感作

 これは通常のコンディションでのエビデンスで、消化管は、生理学的感覚を超えた感覚を知覚する源ではない。不快な感覚は、生理学的範囲を超える刺激が加わった際に大抵鋭く、または痛みとして感じられる。この点において、腹痛は内臓の生理学的範囲を超えた膨張により脊髄の腸間膜からの求心性刺激で発生し、一方で虚血性の痛みは腸間膜への血流が受容範囲を下回った際に発生する。潜在的な線維のダメージを認識しうるこうした刺激は、悪性腫瘍や進行性の腸間膜動脈疾患といったいくつかのケースを除き、慢性的であることはまれである。こうした痛みは体性神経生理学的状態とともに自動的に登るため、通常有害ではない刺激(アロディニアと類似)を痛みと知覚したり、痛覚刺激に対する求心性の発火が増大したり(痛覚過敏と類似)といったことが起こりうる。こうした侵害刺激の痛覚過敏は内臓感作といったタイトルでグループ化される。

 

内臓感作には、4つの共通したメカニズムが存在する。

 ・求心性神経感作(末梢感作)

 ・脊髄後角ニューロンの感作(中枢感作)

 ・下降性促通や抑制の変化(神経性、ホルモン性)

 ・認知や感情に伴って非侵害性感覚を侵害性と誤解すること

 

こうしたメカニズムは少なくともある程度は上記の消化管侵害受容における分子やその調節的影響についてまだ議論の余地がある。

皮質の調節もまた重要である。ある研究では、胃腸炎のある患者94名において高い心気症スコアを示し、過敏性腸症候群がよりネガティブな感情や個人的な要因に影響される可能性を示している。似たように、ごく最近のfMRIをもちいた直腸の膨張研究では、過敏性腸症候群のなかでより痛みの報告の多い患者は中帯状回、後帯状回の活動が増大しており、痛みの抑制や覚醒に関わる領域の活動低下が示された。こうした研究では外的なストレス要因や認知や感情のバイアスが末梢の障害と同じくらい消化管の痛みに重要であることを強調している。心臓迷走神経緊張が低下しているような自律神経系の変化が、痛みに対して寛容となることも観察されている。

 

消化管神経筋疾患

応用病態生理学:神経障害性疼痛

 消化管神経筋疾患の痛みに伴うメカニズムには、機能性消化管障害のものとは大きく異なる。体性痛の研究による分類では、内臓感作は侵害受容の痛覚過敏を形成するとみなされる。食後疼痛の報告にも関わらず、内臓感作は消化管神経筋疾患の重要なメカニズムであるという生理学的なエビデンスはほとんどない。

 侵害受容器はもっぱら侵害刺激に対して応答するようデザインされている。細胞体や軸索から生じる活動電位は病理学的には異所的なものである。齧歯類の体性痛の神経損傷モデルでは、異所的な活動は障害された線維のイオンチャネルの変化に応答しているだけでなく、グリアやシュワン細胞といった他のタイプの細胞からもたらされるシグナルが持続的な発火を引き起こす。消化管神経筋疾患におけるひどい痛みの神経病理学的メカニズムは(1)痛みはひどく、標準的な鎮痛治療には応答しない(2)痛みは一部悪化するかもしれないが、腔内刺激には関連しない(3)これらの疾患における腸のニューロパチーには良いエビデンスがある(4)痛みは単なる膨張の結果ではない といった観察によって支持されている。

 ラットにおける腸骨の脱神経は大腸膨張への閾値低下だけでなく、持続的な活動を引き起こす。人においては子宮摘出後に起こる腹部や腸骨の痛みに対し外部除神経が脱感作の生理学的なエビデンスを示す。消化管神経筋疾患においては、末梢や中枢レベルでの持続的な求心性線維の発火が関わることが考えられている。

 

 

ここまで要約

 説明できない腹痛は健康管理に重大な負担となる。

 内臓感作は機能性消化管障害に特徴的な特性と考えられており、よく研究された、いくつかの末梢と中枢の協調したメカニズムをもつ。

 神経障害性疼痛は、特に消化管神経筋疾患において可能性はあるが未踏のメカニズムである。

 

 

以下、個人的な考察

 

結局説明できない痛みはいろいろ可能性があるけど説明できないってことですかね。

 

今回の内容はこちらの論文でうまいことまとめられていました。

http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/5-kai%20PDF/9-1_31-33.pdf

 

内臓由来の感作もあり、脳への影響があるってことは

やっぱり内臓の問題がある人は慢性疼痛へ何か影響がありそうです。

 

次回でこのシリーズは最後ですが、来週は研修会のため更新できるかどうか・・・