某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

おしらせ

色々と調べてみたところ、論文の翻訳が著作権侵害にあたる可能性がありそうです。

少なくとも、自分の文章よりも長い引用はアウトなようで。

 

要約ならOKなようなのでしばらく要約で書いていきます。

これまで書いた文章もうまくまとめられたら順次再度記載していきます。

脳卒中後の上肢運動機能の回復におけるFESの効果(ケーススタディ)

Effect of intensive functional electrical stimulation therapy on upper-limb motor recovery after stroke: case study of a patient with chronic stroke

Kawashima N, Popovic MR, Zivanovic V  2013  IF 0.7

 

22歳女性 脳出血発症後2年経過

1日2回 1時間のFESを12週実施

(三角筋前部線維・後部線維、上腕二頭筋、三頭筋、橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、尺側手根屈筋に電極を貼り、動作における収縮をアシスト セラピストはその動作もアシスト)

 

結果 

最大随意収縮レベルは大きな改善は無し

筋収縮の開始、停止の随意性は改善がみられた筋もあり

痙性の減少もみられた

肩と肘の協調性の改善もみられた

 

 

以下、個人的な考察

電気刺激に対しては効果があるって論文とあんま無いって論文とありまして。

自分の上司はどうやら嫌いらしくて否定的なんですよね。

結構職場でもやってる人は多いんですけど、はたして本当に電気刺激でよくなっているのかはよくわからない。

 

海外の論文だと何の介入にしても、長い治療時間×長い期間やってるんですけど、なかなかそんな時間とれないので

日本の方の論文をみてみたのですけど、この論文も治療時間しっかりとってますね。

 

どちらにしても電気刺激しているだけでは厳しい気がします。

セラピストが正しい運動方向へ誘導しつつ、電気刺激も足して・・・ってのが多分重要なんでしょうね。

電気刺激だけで良くなるならセラピストは要らないってことでしょうし。

 

個人的には数値で表せないものは結構大事だと思ってるのですが

それを中心にしてしまうと論文にできないっていう難しさ。

ここをうまく超えるものがあると一気に進歩する気がします。

 

成人における総エネルギー消費の束縛と身体活動への代謝適応

Constrained total energy expenditure and metabolic adaptation to physical activity in adult humans

Pontzer H, Durazo-Arvizu R, Dugas L, Plange-Rhule J, Bovet P, Fprrester TE, Lambert EV, Cooper RS, Schoeller DA, Luke A   2016  IF 8.8

 

 

現在、肥満の対処方として、日々の身体活動を増加させてエネルギー消費を増大させて体重をコントロールすることが推奨されている。

運動をすればするほど総エネルギー消費量は増大する考えられているが、生態学的な研究において肉体的にきつい生活を送っている民族と現代的な生活をしている人々が実際に消費しているカロリーは同じであることが示されている。

この理由について、5種類の民族 計332人の成人について運動とカロリー消費について研究した

 

結果

活動量が増大すると消費カロリーも増大するが、ある点から総消費カロリー量はほぼ一定であった。

これは基礎代謝を低下させることで総消費カロリーをコントロールしていることが考えられる。

 

 

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以下、個人的な考察

疲れていると体調を崩しやすいっていうのはあると思うので、この論文には納得です。

運動をすればするほどいいってもんではなく、やっぱり無理は良くないんでしょうね。

もちろん個人差もあり、スポーツ選手とかは別格なんでしょうけど。

 

最近は筋トレができるデイサービスみたいなのが増えていたり、病院でも廃用予防だ!といってガンガン筋トレするケースもあるみたいですが

高齢者に対して筋トレするのは本当に良いのか考えさせられます。

自分は筋トレ滅多にしないんですが、よく体にいい運動・筋トレを教えてくれって言われるんですよね。

そんな都合のいいものがあるか!と思いつつ、のらりくらりとやってるんですけどね。

 

自分の好きな雑誌日経サイエンスって雑誌があり、その記事の元になった論文です。

最近の医学的な話とか結構のっててお薦めです。

慢性絞扼損傷後のラット下唇の非侵害感覚介入における自律神経線維の発芽と変化

Autonomic fibre sprouting and changes in nociceptive sensory innervation in the rat lower lip skin following chronic constriction injury

 

Grelik C, Bennett GJ, Riberio-da-Silva A   2005   IF 2.9

 

 

通常、交感神経と感覚神経の相互活動は少ないが、神経障害後、感覚求心性線維と交感神経の遠心性線維が相互活動する新たなネットワークが形成される。

過去の研究では、両側のオトガイ神経切除後、交感神経、副交感神経の両方の線維が除神経された上部真皮層へ発芽した。

 

本研究では、両側オトガイ神経絞扼損傷群(CCI群)、皮膚を開くだけで神経に介入はしない群(sham群) 、正常飼育のコントロール群(con群)で比較した。

 

sham群とcon群の神経の分布や濃度に違いはなく、CCI群にみられた変化は外科的な介入によるものではない。

 

sham群、con群では交感神経線維、副交感神経線維は真皮下層や皮下組織にはみられなかった。この部分は脈管構造の複雑なネットワークが形成されている部分である。

 

CCI群では、ope2週間後にはほとんど消失していた自律神経線維は4週間後にsham群をはるかに上回るレベルで観察された。

これらの線維は真皮を放射状というよりも斜めに横切り、太く、より多く分岐していた。

CCI群2週間後には、正常であれば交感神経、副交感神経線維が存在しない真皮上部にみられた。

そこから4週間後には最も高いレベルでみられ、6週間後から徐々に減少していくものの16週後であってもsham群よりも高いレベルであった。

 

 

以下、個人的な考察

先週書こうと思った足底への刺激→姿勢への影響についての文献は難しすぎてあきらめました・・・ 独特な表現が多くてどちらにでもとれる言い回しだらけで・・・

また余裕できたら挑戦してみます

 

 

今回の論文の、2週間後に一度線維が減少し、真皮上部にみられるようになったというのは

皮膚の代謝が真皮の深い層→浅い層へとむかっていく中で、

おそらく正常であれば神経線維が消えていく信号がでるのに、CCI群ではその信号が伝わらず、また新しい線維が一時的に生産されず

結果2週間後には真皮上部にのみみられ

そこから再度交感神経線維が増えて4週後には増大してみられたのかな

 

脳卒中の患者さんでも、麻痺肢が冷たくなっている方が多いのですが

中枢側の問題だけでなく、末梢側の問題もあるってことですね。

 

後輩が担当していたとある患者さんは、重度な麻痺なんですが手足が温かい!

最近回復してきたとはいえ感覚ほとんどないのですが、手は本当にあったかくてびっくりします

入院中、感覚入力を時間かけてやっていたことがよかったのかな・・・

 

神経障害後に感覚の線維と交感神経線維がつながるってことは、感覚障害強い人ほどその後の回復過程で変なつながり方してしまうのかもしれませんね。

 

 感覚入力ってのはやっぱり大事だと思います。

 

アルコール摂取下では、機械受容器の感覚はヒトの姿勢制御における重要性を増す

Mechanoreceptive sensation is of increased importance for human postual control under alcohol intoxication

 

Modig F, Patel M, Magnusson M, Fransson PA  2012  IF 2.3

 

ヒトの立位姿勢の安定性は、視覚、前庭、固有受容、機械受容感覚を中枢神経系が統合することで成り立つが、もし感覚の減少や欠落がおきると中枢神経系は他の信頼できる感覚情報に重きをおくことで代償する。これを感覚の再荷重という。

 

アルコール摂取により頭位アルコール眼振が起きたり、眼球運動の異常が起きたり、脊髄小脳や前庭小脳由来の失調が起きたりする。

 

その際の姿勢制御には、足底から中枢神経系に送られる皮膚感覚がバランス調整に特に重要である。

足底から詳細な時間的、空間的情報が入力され、体順応が変化する(!)

 

この研究の目的は、足部からの低閾値の機械受容感覚が、アルコール摂取後の開眼時、閉眼時の姿勢制御にどう貢献するかを検討することである。 

 

 結果、酔うほど足部感覚の重要性は大きくなった。

 

特に振動刺激に対する反応が弱い人(閾値が高い人)は酔った際にひどい不安定性を示した。

 中枢神経内のアルコールの存在は、細胞膜へのナトリウムイオンの流れを阻害し、結果神経がうまく発火できなくなったり伝導速度が遅くなったりする。

前庭感覚情報の阻害は酔いのレベルに関連するため、酔うほど姿勢制御における足部感覚の重要性は増大する。

 

 

 以下、個人的な考察

以前書いた足底感覚受容器の順応が遅い受容器と速い受容器は

遅いのが触覚受容、速いのが振動受容に関連するという研究もあるようです。

特に動的な安定性には速い受容器が関わるみたいですね。

 

酔いによって足底感覚も低下する可能性もあるとは記載されていますが、特に阻害のレベルが強いのは前庭感覚のようです。

 

もともと振動刺激に対する閾値が高い人もいるようなので、誰もが同じ反応するわけではないってのが大事ですね。

今回の研究では、振動は120Hzを用いたようですが、

以前の記事に書いた各受容器が最も反応する振動数(FA1・・・60Hz FA2・・・250Hz)とは異なるんですよね。

複合的にみてるってことですかね。

 

 

 今回の件は上記の通りですが、途中の

「 足底から詳細な時間的、空間的情報が入力され、体順応が変化する」

 の部分には驚きです。

まさか足部への感覚入力が姿勢に影響をもたらす件が論文になっているとは!

 

この部分は他の論文の引用のようのですが、この論文をダウンロードできたら近々訳してみたいと思います。

 

皮膚神経刺激と運動ニューロンの興奮性

Cutaneous nerve stimulation and motoneuronal excitability 2

 

Delwaide PJ, Crenna P   1984

 

感覚神経の刺激後、遠位の運動核でさえ回復曲線によって示される興奮性の変化の影響をうける。

すべてにおいて、等しくない2つの促通のピークが見出される。

これは、様々な感覚神経の刺激後の運動神経核や、腓腹神経への刺激と同様の刺激が運動神経核に行われた際に見られる。

 

腓腹神経へ様々な強度での刺激後、ヒラメ筋と前脛骨筋運動ニューロンの興奮性の変化をこれまでに報告してきた。

 

同側および対側へ刺激した際には似たような結果が得られ、脊髄の分節構造を基本とした解釈では説明が難しく、何か他の要因があるのでは?と考え

伏在神経、外側大腿皮神経、腸骨下腹神経、正中神経、三叉神経への刺激がヒラメ筋運動核へ及ぼす影響を調査する。

また、腓腹神経への刺激がヒラメ筋、大腿四頭筋大腿二頭筋短頭、上腕二頭筋、咬筋の運動核へ及ぼす影響を調査する。

 

結果、これらすべての神経への刺激はヒラメ筋運動核を促通した。

また、腓腹神経への刺激が様々な筋の運動核を促通した。

 

これは脊髄の分節的なメカニズムのみ、及び頸髄と腰髄ー仙骨間の相互作用のみの説明では不十分である。

頭尾に連続するすべての運動核を促通する上位脊髄中枢の存在を仮定すると興味深い。

 

 

以下、個人的な考察

とある先生が書いてた論文の参考論文にされていたので元の論文をもってきてみました。

古い論文ですが、なかなか面白い。

 

解剖の教科書的にはあまり関係性がなさそうな部位であっても

ヒトの体はやっぱりつながっているので影響があるんですね。

 

 頸膨大と腰膨大をつなぐ線維もあるみたいで 

(頸膨大は咀嚼リズム、腰膨大は歩行リズムという話を聞いたことありますがどうなんでしょう) 

うまいこと全身のリズムがとれるように身体も神経もできているんですね。

不思議なもんです人体。

静的および動的紡錘ニューロンの赤核脊髄路のコントロール

Rubrospinal control of static and dynamic fusimotor neurons

Appelberg B, Jeneskog T, Johansson H   1975

 

ネコを用いて赤核脊髄路がγ運動ニューロンにおよぼす影響を研究

約40%の細胞が動的なものと考えられた。

動的な紡錘運動ニューロンは、屈筋細胞の興奮と伸展細胞の抑制が厳密に相互作用する方法で影響される。

 

赤核脊髄路はαーγ連関に遠心性の働きをもつ。

赤核の背側が動的γ運動ニューロンをコントロールする。

 

 

 

以下、個人的な考察

赤核脊髄路について結構いろいろと報告がありまして。

ウェルニッケ=マン肢位の原因も赤核脊髄路であるという論文もあります。

網様体脊髄路って論文もありますが)

特に動的γニューロンとの関連が今回の論文では報告されており

運動時に緊張が異常に上がってしまう原因であると自分は考えています。

 

数年前まではヒトにおける赤核脊髄路は無いのではないかって意見もありましたが

2014年にはヒトにおける赤核脊髄路も同定されましたし、

色々と動物実験からの考えも応用できそうに思います。(やっぱりヒトには無かったよってなるかもしれませんが)

 

年々医学が進歩していくと

これまで正しいと思われていたことが間違っていたりその逆のことが起こったり。

 

はっきりとこれだ!って答えがわかっちゃえばラクなんですけど

一応今はこれだけど数年後には逆になってるかも・・・ってはっきりしない部分はどうしてもあると思います。

 

答えがでないのは気持ち悪くもあるのですが

結局悩んだところで答えはでないので、

このはっきりしない感じを楽しむというところに意識をもっていければいいんでしょううね。