某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

おしらせ

色々と調べてみたところ、論文の翻訳が著作権侵害にあたる可能性がありそうです。

少なくとも、自分の文章よりも長い引用はアウトなようで。

 

要約ならOKなようなのでしばらく要約で書いていきます。

これまで書いた文章もうまくまとめられたら順次再度記載していきます。

TKAの結果と膝関節屈曲拘縮の役割

The role of flexion contracture on outcomes in primary total knee arthroplasty

Ritter MA, Lutgring JD, Davis KE, Berend ME, Pierson JL, Meneghini M 2007  IF 3.0

 

屈曲拘縮がTKAオペ後の結果にどう影響をもたらすかを検討する。

5622の膝について調査

 

オペ前に

A.膝を最大伸展した際の角度が5°屈曲位〜9°以上の過伸展の人 62.1%

B.膝を最大伸展した際の角度が6°以上屈曲位の人       35%

オペ後に10°以上の屈曲拘縮が残存した人Aは少なく、Bは多く、約6倍の差

 

男の方が拘縮が残りやすく、太った人はオペ後拘縮になりにくい。

オペ前に10°以上の反張膝がある人は、そうでない人に比べて2.5倍痛みが出やすい。

 

オペ後に屈曲拘縮がある場合、膝の伸展が正常であるよりも疼痛は少なく、機能的にも高いものとなりやすい。

オペ後に10°以上の過伸展がある場合は痛みが出やすく、機能的にも低いものとなりやすい。

 

 

以下、個人的な考察 

以前ブログで書いた屈曲拘縮には意味があるみたいな文章の元となってた論文です。

 

たしかに屈曲拘縮の方が疼痛でにくいってことで意味があるのかもしれませんが、

そのメカニズムとかはどうなんでしょう・・・

屈曲より過伸展の方がよくないみたいですね。これはなんとなくわかりますが。

 

昔勤めていたクリニックにもTKA後過伸展+膝の中に感染で疼痛強い人いたけど

当時の自分には何もできなかったなぁ・・・

今なら何かできるのかはわかりませんが。

 

大病院だと期限がくれば退院になりますが、クリニックとかだとそうはいかないし

個人的にはクリニックの方が大変なイメージです。

個人で開業してる人なんてさらに大変でしょうけど

 

来週も更新しないと思います。多分。

静脈洞交会について(英語翻訳ではありません)

ちょっと今回英語じゃないんですが、気になったので。

 

 

先週研修会に参加したのです。

そこで、小脳テントやその中を走る横静脈洞は左右対称じゃないって話を伺いまして

まぁ人の体なんてそこら中左右対称じゃないので気にしていなかったんですが

その日にもっていた解剖の本を読んで確認したところ

直静脈洞は左の横静脈洞に、上矢状静脈洞は右の横静脈洞になる(逆の人もいる)と書いてありました。(アトラスとテキスト 人体の解剖 第2版)

ご遺体の写真なので載せれませんが、写真付きで説明されていたのでわかりやすく、そりゃ左右対称にはならないだろうなぁと思いました。

 

しばらくしてふと、そういえば昔静脈洞交会って習った気がする・・・と思い

スマホで調べてみたらやっぱり出てくる。

その日もっていた解剖の本には静脈洞交会って言葉がのってない・・・

家に帰って別の解剖の本みてみるとやっぱり載ってる。

プロメテウス、ネッター、カラー人体解剖学、グラント解剖学、解剖実習の手引き、Duus神経局在診断

自分が持っているすべての教科書に載っておりました。

でもこれらの解剖の本はすべて写真じゃなくCGや絵・・・どうなんでしょう

 

他の教科書ではすべて直静脈洞と上矢状静脈洞が交じって静脈洞交会をつくっていましたが

写真付きで交じらずに走行している図を説明されちゃうと説得力半端ないですし

静脈洞交会はあるのか無いのか・・・ 

 

ふと、そういえば人体の不思議展で販売されていたという解剖の本を妻が持っていたので見てみたら

 

静脈洞交会載ってる・・・写真で。

これはやっぱりあるのか?

 

どうなんだろうなぁと思ってもう一つ、ヴォルフカラー人体解剖学をみたところ!

 

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静脈洞交会は作るけど、上矢状静脈洞からの血液の流れは右に流れていくみたい!

ちょうどいい折衷案?

 

静脈洞交会作る人もいるし作らない人もいて

作ったとしても上矢状静脈洞と直静脈洞の静脈の流れは違う!ってな感じかもしれません。

 

 

これで解決と思いましたが、なんかすっきりしないので論文を調べてみたところ・・・

 

ありました!

静脈洞交会の解剖学的研究 石坂博昭(1985)

静脈洞交会は胎生8週までに前・中・後大脳静脈間の静脈叢が互いに接合と退縮を繰り返すことで形成されるため 様々な分岐様式が存在するとのこと。

遺体52例を解剖し、下の図の()内の数字は症例数。

 

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SlRr、SrRlというそれぞれ交わらないパターンを合わせると

52例中10例。約1/5の人は交わらないみたいです。

 

自分の中ではこれで解決しました。

絵がちょっと・・・いや、ありがたい論文です。

 

昔から気になったことを調べだすと結局答えがわからずうやむやになって終わることが多かったのですが

今回はすっきり解決できてよかったです。

 

変形性膝関節症患者の膝屈曲拘縮:後部関節包の臨床的特徴と組織学的特性

Knee flexion contractures in patients with osteoarthritis: clinical features and histlogic characterization of the posterior capsule

TM Campbell, G Trudel, O Laneuville  2015

 

21人のOA患者(13人膝の屈曲拘縮あり、8人膝の屈曲拘縮なし)のTKAオペ前の膝屈曲拘縮に関連する臨床的な特徴を明らかにする。

また屈曲拘縮あり9人、なし6人の膝後方関節包を採取し組織学的な特徴を明らかにする。

 

結果

より長い期間膝OAを罹患していると膝屈曲拘縮になりやすい。

オペする側は屈曲制限、反対側は伸展制限になりやすい。

(オペする側は下肢が短縮していることが多く、それに合わせて対側下肢を屈曲位で行動するためと考えられる)

 

組織学的な関節包の特徴として

拘縮群ではより線維化し、脂肪が多く滑膜線維が少なかった。

 

拘縮が一箇所あると、他の関節の摩耗も早めてしまうため、早めの介入が必要である。

 

  

 

以下、個人的な考察

拘縮した関節で線維が増加しているというのは動物実験でも同様の結果で

ヒトでも似た結果になるというのは、これまでの動物実験での結果が参考にできるといったところで嬉しいです。

ただし、確か動物実験では滑膜の増生と脂肪細胞の減少がみられたのですがヒトでは滑膜は減少し脂肪が増加していたとのこと。

条件が違うとはいえそれぞれ異なるので動物実験の結果がすべてそのままヒトにあてはまるとはいえないのがもどかしい。

 

まぁヒトでは上肢と下肢ですが、動物実験では全ての肢が荷重下にあるのでそれだけで条件が違いますし、

これはOA患者さんのデータで、実験動物はOAではないのでこれまた条件は異なりますし同じようには比べられないですが。

 

この論文中に、ROMを改善させるためにストレッチすると疼痛の原因となることがあると書いてあって、 

その元になった論文が「屈曲拘縮の役割」みたいなタイトルで、拘縮自体にも意味があるんだよってなニュアンスでした。

ちょっと面白そうなので近いうちにこれを読んでみようかと思います。

 

 

来週は連休ですが研修会のため更新しないと思います。

脳卒中患者 上肢運動機能におけるミラーセラピーの効果

Effect of mirror therapy on upper extremity motor function in stroke patients: a randomized controlled trial

Gurbuz N, Afsar SI, Ayas S, Cosar SNS  2016

 

脳卒中患者31名(発症後平均45日)を対象にミラーセラピー群(16名)、通常リハ群(15名)に分けて検討。

どちらのグループも60-120分の通常リハを週5回 4週間実施。

同期間にミラーセラピー群は20分ミラーセラピーを実施。

(非麻痺側の手指と手首の屈曲伸展を患者のできるスピードで繰り返してもらう)

通常リハ群も同様の運動を実施するが、鏡を使用しないため麻痺側が動いているようには見えないようにする。

 

Fugl-Meyerを使用して運動機能を評価すると

ミラーセラピー群 介入前 12.8±7.8 から 27.1±14.5 へ改善

通常リハ群    介入前 12.4±8.9 から 17.3±11.7 へ改善

改善度には統計学的な有意差あり、ミラーセラピーは有用である。

 

 

以下、個人的な考察

ミラーセラピーは慢性期の患者さんに対しても効果があるって論文が結構あって、

簡単にできるし好きなんです。

慢性期だけじゃなくても急性期、回復期でも効果はありそうです。

 

自分がやった患者さんでも改善がみられて(Fugl-Meyerの得点では変化ありませんでしたが・・・)

日常生活で麻痺側を使用できる機会が増えたって言ってたので嬉しい限りで。

 

いろんな患者さんに試して統計とってみたいんですが、あまり対象になる患者さんがいなかったり、「私それ他の病院で試したけど効かないし時間使いたくないんだよねー」って言われちゃったりで

まったく症例数が増えません。

 

修士の際に大学院でお世話になった先生に

東京なら症例数を集めやすいけど田舎だと人を対象とした研究は時間かかるんだよなーって言われたのですが

今になってみると納得です。

 

とはいえ田舎でも臨床研究をやっている方はいるので環境を言い訳にしてちゃダメなんでしょうけど

基礎研究から得られた結果を臨床での疑問につなげていくのが結構好きなので

基礎研究の方向ばっかりに進んでしまうんですなぁ・・・

諸事情により臨床研究もやっていきたいんですけどね。

肺線維症の発現プロファイリングの比較により、Hypoxia-inducible Factor-1αの病気における役割が示唆される

Comparative Expression Profiling in Pulmonary Fibrosis Suggests a Role of Hypoxia-inducible Factor-1α in Disease Pathogenesis

Tzouvelekis A, Harokopos V, Paparountas T, Oikonomou N, Chatziioannou A, Vilaras G, Tsiambas E, Karameris A, Bouros D, Aidinis V   2007  IF 13

 

発現プロファイリング・・・さまざまな細胞の異なる遺伝子から作られるメッセンジャーRNAを測定する研究方法。腫瘍の種類のサブグループを特定したり、どの患者が治療に反応し、どの患者でがんの再発リスクが高いのかを予測したりする上で役立つ診断検査として用いられる。(weblio辞書より)

 

特発性肺線維症の原因や疫学はまだほとんどわかっていない。

Hypoxia-inducible Factor-1α (HIF-1α)の病気における役割検討した。

統計学的に肺線維症と関連する様々な遺伝子を比較し、線維症の肺の過形成の上皮においてHIF-1αの過剰発現がみられた。

肺上皮細胞のホメオスタシスと病気の発症におけるHIF-1αの主要な役割を明らかにし、様々な間質性肺炎における病態生理学的な知見をもたらしHIF-1αの抑制の重要性を示した。

 

wikipediaより

低酸素誘導因子(ていさんそゆうどういんし、英:Hypoxia Inducible Factor、HIF)とは細胞に対する酸素供給が不足状態に陥った際に誘導されてくるタンパク質であり、転写因子として機能する。病巣においては栄養不足や細胞外pHの低下、血流不足による酸素供給不足(低酸素)状態が認められるが、癌細胞が生き延びるためには新たに血管網を形成することにより病巣への血流を増加し、低酸素状態を脱する必要がある(血流の増加は転移経路の確保にもつながっている)。そのための機能を担うべく低酸素条件下おいて誘導される転写因子がHIFであり、種々の遺伝子転写を亢進させる。HIF-αにはHIF-1α、HIF-2α、HIF-3αが存在するが、これらはいずれも細胞内に構成的に発現しているHIF-1βとヘテロ二量体と結合する能力を持つ。HIF-1αは正常酸素圧下でも産生はされるがタンパク質分解酵素複合体である26Sプロテアソームにより分解されてしまうため機能しない。

 

 

以下、個人的な考察

低酸素状態だとHIFが出る

→血管新生と線維増生が促される

結果疼痛が出やすくなるのと拘縮もできやすくなる、肺だと肺線維症の原因になるってことですかね。

ってことは肺の線維症は一度なると低酸素状態→線維症がどんどん進行してしまうのでしょうか・・・

確かに間質性肺炎の患者さんてなかなか呼吸状態が改善してこない。

 

 

拘縮についてまとめていたら、色々と孫引きででてきた論文があったので

調べてみたら非常にありがたい知見を得られました。

 

やはり拘縮には血流(O2の供給)が関わるんですなぁ。

 

ここさえわかれば自分の中でいろんなことの説明がつく!って部分に関する論文が見つけられたときの喜びは

なんとも言い難いもんです。

 

IFも高いし素晴らしい。

こんな論文をガンガンみつけて色々なこととつなげていけたら無敵なんですけど

なかなかそうもいかないんですよねぇ・・・

読んでみたら思ったものとちょっと違うってのもよくありますし。

まぁ数読んで勉強していくしかないんでしょうね。

 

来週は研修会のため更新できるか不明です。

脳卒中後の脳活動は上肢の運動のスムーズさに関連する

Brain activation is related to smoothness of upper limb movements after stroke

Buma FE, van Kordelaar J, Raemaekers M, van Wegen EE, Ramsey NF, Kwakkel G  2016   IF 1.9

 

脳卒中後、同側および対側の感覚運動野の動員が増大するのか、小脳が失われた機能を代償するのか今だ明らかになっていない。

本研究の目的は二次運動野・感覚野の動員増加が運動コントロールの質に関連するかを調べることである。

 

脳卒中発症6週後、同側の運動前野、島、小脳が対側の補足運動野、島、小脳と同様に握り動作の滑らかさと重要な相関がみられた。(29週においてもみられた)

 

脳卒中後の感覚野・運動野の動員は運動機能の回復とは相関せず、運動ストラテジーの獲得が運動障害を代償することができる。

 

 

以下、個人的な考察

昔は脳卒中の際にCT画像をみて予後を予測するってやってたのですが、

最近はCTのみでは予後はわからないもんだと思えるくらいまで回復する人が多くて

介入によって予後が全然違ってきてしまうことに恐怖を覚えております。

 

今正しいと思っててもそのうちに足りないと思うようになるんだろうなあ・・・

 

単一の運動を練習するのではなく、運動のバリエーションを増やすことが大事だと思っていますが

それを後押ししてくれるような論文があったので嬉しいです。

 

やっぱり記事を保存しておけると、あれどの論文だったかな・・・って思ったときに

すぐに見直せるので便利です。

最近はタンパク質関連の論文もよみつつなので中々忙しいのですが

なんとか1年間は続けられたらなぁと思います。