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某理学療法士の英語論文考察ブログ

当ブログは、理学療法士である私上條が 様々な英語論文を翻訳して、日々の臨床との繋がり等含めて考察しているブログです。 当ブログの内容はご自由にお使いいただいて構いませんが 私の英語力は・・・あっ(察し)といったレベルなので、 元の論文を1度ご確認いただいてからの方が安心かと思います。 (基本的にpubMedでフリーになっている論文です)

国際筋膜学会のレビューについて

またしても長いです。

そして2013年の情報なのでもうよく知られている話が多いかと思います(´Д⊂

 

今回から、論文の記載雑誌のimpact factorも書いていこうと思います。

impact factor (IF) というのは雑誌の格みたいなもんで、

その雑誌にのった論文が平均して何回引用されるかといったことを数値化したものです。

だいたいの理解としては

IF1・・・微妙

IF2・・・まあまあ

IF3・・・なかなかいい論文

といった具合で数値が大きいほどいい論文なのだそうです。

IF6以上の雑誌に論文がのれば信州大学の医学科の大学院を飛び級で修了できるそうです。

かの有名なnatureはIF:38 (2017)だそうで。(年度によって違います)

IFが高い雑誌ほど審査が厳しく、結果として論文の科学的信頼性も高くなるそうですが

高ければ絶対に正しい論文とは限らないという点だけご注意下さい。

 

Fascia Research Congress evidence from the 100 year perspective of Andrew Taylor Still

2013  Findley TW, Shalwala M

 IF:1.55

 

概要

100年以上前、ATスティル医師はオステオパシー医学を設立し、筋膜が全身を覆い、個々の部分で名前は異なるものの筋膜システムの層は共通の起源をもつということを記載した。筋膜はすべりと液体の流れをアシストし、高く研究されている。筋膜は呼吸や細胞の栄養状態と深く関連し、また病気や癌とも関わる。本論文では、筋膜が器官の成長、支持の源で、病気の元でもあるというDr.スティルの見解から2007、2009、2012年の国際筋膜研究学会で表された情報をレビューする

 

 

 

ATスティル医師(1828-1917)はアメリカの生理学者でオステオパシー医学を設立した人物である。ATスティルは医学が不確実な時代に生き、多くの生理学者が使用されていた薬や技術に疑問を持ち、伝統的な医学に変化が必要であると考えていた。Dr.スティルは1892年にカークスビルにオステオパシー大学を開く前に何年も研究や実践をかさねていた。彼のオステオパシー哲学は病気よりも身体構造と健康の維持の概念に基づいていた。Dr.スティルは4つの原則があると信じていた(1)ヒトの体は全体的な生理学的ユニットとして機能する(2)身体は自己修復能力と調整能力をもつ(3)機能と構造は相関する(4)体の1箇所に与えられた正常ではない圧は他のパーツへの正常ではない圧とねじれを生じさせる。彼は特に、筋膜が覆い、筋膜の各パーツの起源ははっきりせず共通であることを描写している。筋膜はすべりと液体の流れをアシストし、高く研究されている。筋膜は呼吸や細胞の栄養状態と深く関連し、また病気や癌とも関わる。

 今、100年以上が経ち、3回の筋膜の学会の後で、研究方法や技術が進歩したことで、筋膜は器官の成長や支持に必須なもので、病気の元であるというDr.スティルの概念を検討することができる。最初の国際筋膜研究学会で、我々は筋膜はヒトの体に張り巡らされ、連続性があり構造をサポートする3次元構造で結合線維による軟らかい線維構造と定義した。筋膜はすべての器官、筋、骨、神経線維に入り込み、包み込んでいて、体のシステムが機能するための類のない環境を形成している。我々の定義や筋膜への興味は腱膜、靭帯、腱、皮膚支帯、関節包、器官、管被膜、神経上膜、髄膜、骨膜、そしてすべての筋内膜や筋肉内の線維といったすべての線維性の結合線維へと広がっていった。この定義は特定の構造や層を明示するため、2回目の学会で再発見された。

 幸運にも、私は1988年にDr. Ida Rolfが集めた100以上のジャーナルを所蔵した図書館を相続し、その中にはATスティルが筋膜について記載したものもあった。私は、そこに重要な情報があることを知っていたが、オステオパシーの学生が2012年に研究をしにやってくるまでそれらを深く調べなかった。こうして、3回の筋膜学会がDr.スティルの利益無しに2007〜2012年に行われたが、しかし彼が提唱したほとんどの概念をカバーしていた。筋膜の浸透、支持、介入はすべて1回、2回目の学会で示されたが、3回目の学会までは液体の流れは講演されなかった。呼吸と癌に関してはまだ、今後の学会で説明されることである。このことを背景として2007,2009,2012年の筋膜調査学会で示された情報を比較しながらDr.スティルの概念を1つ1つ検討しようと思う。全文の記事はDVDか、 www.fasciacongress.orgにのっている。特定の学会の各論文の重要性について簡術したものを紹介していく。

 

1)筋膜「すべての動物の体を部分部分に包み込み、浸透し、分けている:すべての筋とその線維を包み、浸透し―すべての関節、すべての線維も」Still 1899, page163

 

 筋膜はすべての筋や器官を包み、つなぐ結合線維で、体中をつなぐ連続性を形成している。ヒトの体には多くの密度の規則的ではない結合線維があり、腱膜や関節包や、筋を覆う筋内膜、周膜、上膜がある。筋内の細胞外マトリックスは筋内膜、筋周膜、筋上膜により構成される。筋上膜は各筋を包み、筋が骨へと接着する腱へと繋がる。筋周膜は筋を小束または筋線維束へと分ける。筋内膜は各筋線維を包む結合線維である(図1)。小さい筋膜線維は細胞膜自体へとのびて繋がる。(図2)

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 筋膜の連続性が結果として、筋筋膜にかかる力を近傍や場合によっては反対側の筋肉へと伝えていると、解剖および生理学的研究により示されている。浅筋膜は疎性結合線維や脂肪線維の層で、皮膚の直下に位置している。四肢筋膜の解剖は四肢と通した筋膜の高度なネットワークを示している。

 深筋膜はより硬く、また密度の濃い結合線維を含み、筋群をよく定義されるコンパートメントへと分類する。筋膜は外骨格のような役割を果たし、筋の機能的な組織を形成する。筋膜は各コンパートメントへ浸透しそれらをつなげている。筋標本の深筋膜は似たような構造を示し、筋が収縮する際の様々なボリュームの変化に適応する能力をもち、損傷しない程度の高い圧に対抗する。

 

2)すべての器官はこの基質によって覆われているが、その名前は器官や外観に合うよう変えられている。

 

筋をつつむ結合線維は分離し、独立して存在するわけではなく全身を連続した状態で存在する。広い定義での筋膜は、筋膜線維が局所のテンションの必要性に応じて線維配列、長さ、濃度を適応させることで相互作用するテンションのネットワークを形成しているように見える。筋膜は腱の起始や停止の他さまざまな部位で筋線維と筋ではない線維のつながりを形成する。例えば足部のアキレス腱の研究では腱は踵骨だけにつくのではなく、踵を越えて足底腱膜に続き、踵の脂肪の線維部に連続する。単に1つの筋を引っ張ったり押したりすることは近傍の筋の動きを引き出し、動かすことは疑いようのない事実である。

 筋膜はその解剖学的な個別の構造に従って伝統的に名前をつけられ、4つの異なった層を不明瞭にしている。さまざまな領域の筋膜はその領域にそった解剖学的な名前をつけられており、例えば大腿筋膜、腸脛靭帯、胸鎖、腋窩、上腕、胸腰筋膜といった具合である。これは器官や構造を部分として捉えており、全身をつなぐ結合線維としてではない。部分としての筋膜の名前や研究は、筋膜のより大きな機能を理解する上で障壁となりうる。

 解剖はしばしばこの結合線維のカバーを除去するところから始まる。VanDerWalは筋膜の解剖を控えた方法を用いて前肢の筋と他の構造の相互作用関係について研究を行なった。彼は筋と関節の結合線維の連続性を示し、分離したものではないことを示した。彼は筋と骨に起始と停止をもつ特別な結合線維構造があることを見出した。この結合はdynamentと呼ばれ、骨間の距離を、関節を開いたり閉じたりして変化させることで適応させることができる。(図3)全身にわたる筋膜の連続性は中胚葉に発生学的な起源をもつ。結合線維は成長するための構造的な骨組みを自身が発達することで提供し、この連続性が機械的または化学的なシグナルを様々な線維へと伝達する。

  

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  全身にわたり連続性をもつ筋膜は、全身に機械的な感覚シグナルを提供する。生きた線維内の細胞は細胞外マトリックスに結合する。接着面にはインテグリンとして知られる膜貫通型のレセプターが集合し、細胞外マトリックス分子と結合し細胞を接着している。これらインテグリンは細胞表面を横切って機械的なストレスを通し、細胞の成長、リモデリング、生存能力(アポトーシス)を調整する。細胞表面のレセプターに加わる機械的な力は細胞質や細胞核の分子の組織や構造を直ちに変化させることが研究により示されている。さらに、胚細胞内の機械的な環境はその特定の発達に決定的なものとなる。

 細胞外マトリックスの量や構造は線維や機械的な環境に依存してコンスタントに変化している。培養および生体内の線維芽細胞は機械的な負荷に対して、細胞外のカルシウムの流入(ストレッチによって活性化する膜チャネルを介して)、細胞内に蓄積されたカルシウムの放出、ATPの放出といった測定できる形の反応を示す。これらの研究は、線維の収縮や弛緩は動的な全身の細胞活動パターンの結果であることを示している。さらに、筋膜ネットワークの緊張具合は、埋め込まれた線維芽細胞の形態を層状から突起状へと変化させる。

 筋膜はまた電気的なシグナルを伝達する。筋膜の主な構造物の1つはコラーゲンである。コラーゲンは生体外の実験で半導電性で、圧伝導性で、光伝導性を示した。電流はイオンが伝達できるよりもはるかに遠くまで伝達することができる。結合線維内のこれらの電流は外的な影響によって変化し、さらに近傍の構造に生理学的な反応を引き起こす。しかしながら、ストレスに対する反応としての骨構造の変化(wolffの法則)の研究では、線維内の液体の流れが、圧伝導の効果よりも重要であると提唱している。

 

3)筋膜は「すべての筋を近傍の筋や靭帯の上を滑らせる手伝いをする Still 1899 page164

 

 すべての生きた細胞は、その内部の細胞骨格に発生するテンションによって固有の収縮性を示す。筋膜は機械的な張力を調整するために動的な役割を果たし、平滑筋様の収縮を行うことができる。ヒトの腰筋膜の生体外の研究では、筋膜は自動的に収縮できるが、これは筋膜内に収縮性の細胞が存在するためだと仮定された。筋膜は線維芽細胞を含み、これは筋線維芽細胞へと変化し、α平滑筋アクチンの遺伝子を発現し収縮性を示す。これらの細胞によって用いられた機械的な力はサイトカイン合成、細胞外マトリックスコンポーネントの生産の他、線維のリモデリングに必須のプロセスを調整する。

 骨格筋線維によって発生した力は結合線維を通して広がり、骨格筋や腱の外側まで広がる。これらは、epimuscular myofascial pathway(筋上筋筋膜経路?)として知られる。これらの経路の証拠は、筋の起始と停止で測定される力の測定によって示され、1つの筋の長さが変化する際に力が発生するが、近傍の筋は長さをキープしていることからも示されている。これらの発見は、形態学的な定義から筋とされている部分は機能的なユニットではなく、筋の長さ―力特性は他の存在の状態で変化し、筋に固定した特性ではないと提唱している。さらに、筋内のサルコメア長はその筋の全長にそって一様ではなく、筋線維レベル内での微小な滑りの必要性の結果である。

 筋膜は筋の収縮を様々なメカニズムで手助けする。筋膜は、上記の筋筋膜経路を介して、または直接筋に付着することで、筋と関節周囲の結合線維構造をつないでいる。例えば、回外筋の筋線維は1本たりとも直接上腕骨上顆へ停止せず、結合線維組織を介している。

 200以上の生体の手の解剖では複雑な結合線維のネットワークが、滑りや身体内の構造の運動性を示している。腱と腱鞘間の直接かつ機械的な多数の微小血管や線維性線維のつながりは、腱に血管の接合を提供している。この線維は、周囲の線維に動的な影響なしに構造を滑らせることができ、腱鞘だけでなく全身のどこでも見出すことができる。(図4)

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 さらに、単一の筋内でさえ、筋が長さを変化させるのと同様に形態を変化させる際、個々の線維はお互いにスライドする必要がある。しかし、筋内膜の非常に小さな距離を横切ってせん断力を伝達する際に筋線維は調和して動くことができる。

 疎性結合線維が深筋膜と筋の間に存在し、筋の滑りを可能としている。これはまた、胸腰筋膜の層の超音波の動的なイメージングにより示されている。さらに、筋膜と筋の間には潤滑油として約100μmの厚さのヒアルロン酸の層があり、これは筋骨格の超音波による分析の境界線である(図5)。結合線維の層を形成するコラーゲンシートは皮膚の滑りや伸張を生み出し、皮膚の形状を維持するのに役立つ。筋膜は筋をグループからコンパートメントに分割し組織する重要な役割をもつ。筋の同調するグループは筋の収縮力を増大させ、各コンパートメントでの圧の上昇はグループ内のすべてのメンバーに収縮の効果を増大させることができる。

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4)筋膜は「生命維持に不可欠で破壊的な流体を分泌して、排出すること」によって機能する。この働きによって我々は生き、その機能が低下することで我々は縮んだり膨らんだりしてやがて死ぬ。この連続した基質はすべての部位でフリーで、すべての流動体を受け取り、放出しているに違いない、もし動物の生命を支える際に使用されるなら、そしてすべての不純物が取り除かれるのであれば、死や毒の液体によって健康が害されることはないだろう。 Still 1899 page164

 

疎性結合線維は間質液15Lのほとんど大半をかくまっている。これは線維芽細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、脂肪細胞を含む細胞外マトリックスの間を流れている。間質液は線維の形態、機能、細胞の移動、分化、リモデリングに重要な影響をもち、そして細胞外マトリックスに存在する線維芽細胞は液体の流れに対して垂直方向に整列する。含まれている水、イオン、またその他の基質のバリエーションは疎性結合線維の機械的な特性を変化させることができる。液体の流れのわずかな変化でさえも細胞表面の剪断応力を変化させ、細胞の生化学的な環境を変化させうる。間質液は新陳代謝に働く細胞への栄養輸送を調整し、健康的な線維を維持するのに決定的な働きをする。さらにリンパ球や癌細胞をリンパ節やリンパ管方向へと導くことで方向の手掛かりを得る。

 骨格筋への血流はその代謝要求に厳しく調整される。筋が収縮した際、筋や自律神経システムではなく、直接的な機械的つながりによるメカニズムによって末梢血管は素早く広がる。収縮する骨格筋による張力は、筋肉から近くの細動脈までいろいろあるフィブロネクチン線維の形態を変化させる。

 弾力性の無い筋膜はリンパ液を産生する。筋が厚く、抵抗する筋膜層に対して収縮した際、コンパートメント内の圧は増大し、その結果血液やリンパ液は重力に逆らって心臓方向へと流れることができる。

 液体の量は間質のヒアルロン酸と、毛細管濾過の変化に常に適応するコロイド浸透圧とリンパによって調整される。結合線維は真皮線維の細胞のテンションを変化させることで濾過液の流れを変化させるが、その線維は親水性の基質を囲み、濾過で流出するその浸透圧を阻害する。これらの線維がリラックスしている時、グリコサミノグルカンのある基質は広がり、液体を取り入れ、結果として浮腫が形成する。(図6)外傷後、液体の流れは数分で約100倍増加し、これは細胞外マトリックスの活動によるもので、毛細管漏出はたった2倍程度増える程度である。

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 コンパートメント症候群は痛みを伴い、四肢を脅かす可能性があるが、これにより深層筋膜のコンパートメントの圧の増加から血流を阻害する。

 

5)筋膜「それはほぼ神経のネットワークで、細胞や管はそこから始まりそこへつながり、疑いようもなく100万の神経中枢と神経線維が横断し満たされている。その神経はあまりに豊富で、生物のすべての原子は神経や液性の供給をそこから得ることに失敗することはない。すべての器官とパーツが運動の要素を提供される何百万もの神経を、線維は投げ出して、供給する。すべてはその偉大なシステム筋膜に始まり、筋膜に終わる。」Still 1899 page164-5

 

筋膜は豊富に調査されている。神経は筋膜の3層構造をもつ。神経内膜は各軸索を包み、神経周膜は軸索束を包み、神経外膜はより厚い層で神経周膜をつつむ。すべての神経の層は調査されており、侵害受容器の網目構造をもつ。筋膜は豊富な自由神経終末を含み、これは胸腰筋膜、上腕二頭筋筋膜、様々な支帯で描写されている。神経線維は深筋膜でみつかっている。胸腰筋膜は様々な筋膜の層に様々な神経終末が分布することが深く調査されている。(図7)自由感覚神経終末は侵害受容感覚を供給する。胸腰筋膜線維は腰部背側神経に感覚入力し、おそらく腰痛の原因にもなっている。

 筋膜は固有受容にも重要な役割を果たしている。筋束は筋内に一様に分布しているのではなく、筋周囲の筋膜に力を伝達するエリアに集中している。固有受容活性の特定のパターンは筋膜にテンションがかかった時に起こり、深筋膜の筋との関係性に直接関連する。(図8)

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 筋膜は様々な侵害受容終末を含み、筋の痛みに応答する。侵害受容器は、機械的な過負荷やトラウマといった線維のダメージが許容できる刺激や、ブラジキニンセロトニン、プロスタグランジンE2といった炎症応答刺激を検出する。光学顕微鏡や電子顕微鏡によって描出された筋の侵害受容器は筋内のすべてのタイプの線維(結合線維、錘外筋、錘内筋線維、動静脈の外膜、脂肪細胞、腱)に存在する。これらの神経終末は直接機械的な侵害刺激を変換する。各機械侵害受容器の生体内での反応は、それらの細胞外マトリックスへの生理学的な繋がりに依存する。

 

6)もし病気をほとんど減らし、軽度にし、質を看破でき、原子的に多様であるならば、 そして、2クォート以上の伝染病をもつ空気で完全に肺が満たされたら、数千もの呼吸細胞が1回の呼吸で満たされるだろうか?ヒトの筋膜で見出される生命力からの栄養は、肺の表面のどのシステムの部分よりも近くなる。Still, 1899 page168-9  (すみません。ここは本当に何言ってるのか不明です)

 

ATスティルは体に対する呼吸という栄養の重要性について記載している。このエリアに関する更なる知見が、将来の筋膜学会で描写される。理論的な基礎、機械的な研究、結果判定が必要である。2015.10.15-17にフロリダで行われるであろう第4回国際筋膜学会では呼吸と筋膜の研究が強く促進される。このトピックに関しては、わずかな調査しかなされてこなかったが、呼吸と筋膜のつながりのメカニズムから筋膜の収縮に自動的な影響をもたらす(Brisら2012)という研究もある。

 ATスティルは健康における筋膜の重要性を理解しており、近年の研究は彼の筋膜に対する考えが信頼できるものであることを示している。筋膜は生理学者、徒手治療家からの興味を年々増している。マニュアルセラピーテクニックでは筋膜の層を扱い、密度、トーン、粘性を変化させ筋膜を整列させる。感覚神経終末への徒手的刺激は筋トーヌスを変化させる。筋膜のシステムは今、痛みや自己受容の原因となると認識されている。筋筋膜のトリガーポイントは局所の筋線維の厚くなった部分で、小グループのさる米あの収縮によって引き起こされる。筋膜研究はトリガーポイント、腰痛、線維筋痛症といった筋骨格系の問題を理解する助けとなる。結合線維はまた他の線維や器官と関連し、広く様々な器官のシステムで正常または病的な影響をもたらすだろう。

 

 

以下、個人的考察

筋膜は全身をつなぎ、色々な働きがありますってのは有名ですよね。

局所ー全身 両方を考えて

体中にある結合線維も全身状態の改善に役立つなら考慮して

とにかく患者さんの状態が良くなるようにですかね。

 

 

 

pubmedでフリーではないのでブログでは載せないつもりですが

職業の異なる双子の椎間板の変性具合をみたところ

重労働、デスクワーク等にかかわらず双子ごとで椎間板の変性具合は類似しており

椎間板の変性は機械的負荷ではなく遺伝によるものが大きいだろうっていう論文がありまして

さらにその変性をもたらす遺伝子が2015年(確か)に見つかったんだそうで。

 

どんな病気であっても、アプローチで変化をもたらすことができる部分と、遺伝的に厳しいであろう部分と考えつつ

でもできるだけ広く深くアプローチできたらなぁと思う今日このごろです。

 

 

筋膜の能動的な収縮性について

Active fascial contractility:Facia is able to contract in a smooth muscle-like manner and thereby influence musculoskeletal mechanics

2005  R.Scheip   W.Klingler  F.Lehmann-Horn

 

 

筋膜は平滑筋のように収縮することができ、それによって筋骨格系のメカニズムに影響を及ぼす。

 

要約

免疫組織学的な解析により、我々は正常な人間の筋膜内(特に大腿筋膜、足底腱膜、腰筋膜)に筋線維芽細胞が存在することを示した。その密度は腰筋膜で最も高く、身体の活動性に正の相関があるようだ。人体外でのテストにおいて、我々はラットの腰部の筋膜の一片をつるし、収縮作用の反応性を測定した。抗H1(←ヒスタミン?)薬であるメピラミンを用いると、筋膜には明らかな収縮性の反応がみられた。一方で窒素酸素付与体であるトリニトリグリセリンはリラクゼーションを起こした。仮に生体において似たような収縮が起きた際には筋骨格系のメカニズムに大きな影響を及ぼすくらいに計測された力は強かった。

 

序論

筋膜は大抵筋骨格系の動きに対し、力を受動的に伝達していると考えられている。しかしながら、文献によっては能動的な筋膜の収縮は、筋膜内の収縮性の細胞の存在による効果だと言及している。本研究ではまずヒトの筋膜が能動的な収縮性をもち、それがおそらくバイオメカニカルな振舞いに影響を及ぼすという明らかなエビデンスを紹介する。

 

対象と方法

げっ歯類、ブタ、ヒトの様々な筋膜の線維が収集され、Ulm大学(ドイツ)の倫理委員会のガイドラインに基づいて実験が行われた。32人のヒトの体から筋膜のサンプルが集められ(17歳~91歳、男25人、女7人)平滑筋アクチンにより免疫染色された筋線維芽細胞の存在をデジタルで数値化し解析した。ラットやマウスから採取した腰部筋膜のサンプルは比較、対照に用いられた。加えて、筋膜の新鮮なサンプルは生体外で等尺性の伸張をうけ、機械によって描写される力が書き留められた。これらは薬槽で処理され具体的には電解槽で修正された。線維は機械的、電気、薬物により刺激され、線維の張力の変化は電子工学的に記録された。使用できない筋膜は細胞質の貢献をはっきりさせるために調査された。

 

 

結果

先行研究では、筋線維芽細胞は正常な筋膜に存在することが示された。人間の腰部の筋膜では、人間やラットで行われた他の筋膜のものと比較して、筋膜の格子様の線維の方向に筋線維芽細胞がより高い密度で存在した。一般的に筋線維芽細胞の密度には個人間で大きなばらつきがあった。筋線維芽細胞の密度と身体活動には正の相関があることがデータから示された。生体外のストレッチの繰り返しに反応する初期剛性の増加は(文献内でもいわれているように)細胞間質の水和性の変化によることが示された。電気刺激からは何の変化も発見されなかった。しかしながら、平滑筋様の収縮は薬物によって引き起こされる可能性があった。抗ヒスタミン剤であるメピラミンの大量投与では最も信頼できる持続的な効果があった(n=29、p<0.05)ヒスタミンオキシトシンは特定の筋膜にのみ短い収縮性の反応をひきおこすだけであったが、いくつかのサンプルではNO供与体の追加は短時間の弛緩性の反応を示した。エピネフリンアセチルコリン、アデノシンでは何の変化も引き起こされなかった。メピラミンは線維の収縮を起こすがとてもゆっくりかつ持続的な効果を示すカーブを描き、2時間も持続した。先行研究では筋線維芽細胞の密度の増加を筋内膜、筋周囲膜にて明らかにしたが、似たような収縮反応のカーブが純粋に筋膜のみでもみられ、明らかに筋性の収縮を伴っていなかった。

生体内での極限の収縮の力が仮説により計算され人間の腰部に適用された。その力は機械的な関節の安定化やγ運動調整系のような通常の筋骨格系の振る舞いを変えるに十分な強さがあった。

 

結論

これらのことから、筋膜は筋線維芽細胞によって収縮性のある器官であることがいえる。この能力は一方で線維の再構築を含めた、慢性的な線維の収縮を現すし、もう一方では平滑筋様の細胞の収縮の繰り返しが分単位や時間単位で起こることで腰背部の安定性や、ヒトのバイオメカニクスに他の見解を及ぼす十分強い力になりうる。このことは、筋膜の硬さの増加や減少に付随した病理的な理解と臨床の将来的に係わり合うことを提案する(腰背部痛、緊張性頭痛、脊柱の不安定性、また線維筋痛症のような)。このことはまた、オステオパシーロルフィングの筋膜リリースやはり治療のような筋膜に影響を与える手法に新しい見解を提案する。筋膜の収縮性に対し、さらなる調査が行われることを期待する。

 

 

以下、個人的な考察

 

とはいっても上記の通りで、筋膜線維内には平滑筋様の細胞があって

収縮できちゃうよって話ですね。

 

この論文は実はSJFの会長 U先生に6年位前に戴いたもので、pubmedでフリーのものではないのです・・・

今となっては筋膜の収縮性はかなり有名になりましたよね。

 

今回は別の論文を翻訳予定でしたが、諸事情により時間がなくて・・・

過去に翻訳したものです(´Д⊂

 

 

私のまわりでちょっと大きな変化があるかもしれません。

色々と頑張ります(フラグが立って何も変化ないかもしれません)

 

次回は筋膜に関するもっと新しい論文か、内部臓器からの刺激情報は脊髄網様体路を通ってどうのこうのって論文を翻訳すると思います。

Fascia and Primo Vascular System

予告通りです。長いです。

正直同じ事を繰り返しているだけで、最後の「経絡と筋膜の関連性」の段落だけで十分意味が通じるかと思います。

PVS・・・primo vascular systemの略

TCM・・・伝統的な中国の医療

PN・・・primo node PVSの中の膨らんだ部分

PV・・・primo vessel PVSの管の部分

 

Fascia and Primo Vascular System

2014 Tang C, Du Y, Wu J, Wang J, Luan P, Yang Q, Yuan L

                       

概要

 伝統的な中国の医療(TCM)における、鍼治療の経絡の概念の解剖的な基本は依然としてはっきりしていない。本論文では、筋膜に関する研究の進歩と、鍼治療における点や経絡、Primo-Vascular system(PVS)と筋膜との関連について考察する。筋膜は各部分における名前の多様性に関わらず、筋膜システムとして共通の層を被っている。筋膜は滑りや液の流れをアシストし、記憶を保持する等高く調査されている。筋膜は体中の細胞の栄養に深く巻き込まれ、これらの細胞の病気やがん化にも関わる。ヒトの体における筋膜のネットワークはTCMの経絡を表す生理学的な基礎であるかもしれない。PVSは新しく見つかった循環のシステムで、近年調査が進んでおおりPVSの解剖学的かつ基礎的な視点から新たな発見がなされている。Fasciology(筋膜学?)理論は、結合線維の機械的な伝達や再生を含めた基本的な細胞のメカニズムに対する鍼治療の生理学的効果に新しい視点を提供する。本論文では、理論的な基礎と、TCMの原理と治療の調査の生理学的手段を示し、診断や介入に対して身体全体にアプローチすることに賛成する。

 

 

筋膜は、すべての筋や器官をつつみ、つなぎ、体全体の連続性を形成する結合線維である。伝統的に、筋膜は受動的な構造体であると考えられてきた。しかし今では、筋膜は複雑な脈管構造と神経刺激の動的な線維であるというエビデンスがある。特に必須の線維としての筋膜の定義としてここで言及するのは、表層の筋膜の主な特徴についてである。解剖学的に広く分布し、部位によって筋膜構造に特徴的な相違があることが我々の高度な筋膜の解剖の調査と共に描出されている。virtual Chinese Human(VCH)の調査と生体イメージング研究によって証明されたヒトの体における筋膜ネットワークの解剖は鍼灸師の伝統的な見解と一致し、鍼灸の効力は筋膜との相互作用によって示されてきた。さらに、筋膜は筋や骨の間の動的なつながりを提供することで、動的な機械的移転の役割を示すようである。さらに、筋膜線維内の侵害受容器の刺激が神経性の炎症を引き起こすことから、筋膜の生理学の欠落は、ヒトの健康に著明な因果関係があるだろう。我々の見解では、筋膜内の神経性の炎症はTCMで言うところの経絡のエネルギーの流れの欠落を形成する。1962年、PVSがDr.Bong-Han Kimによって初めて報告されてから、この分野の研究には重要な進歩がみられてきた。PVSは新しく見つかった循環システムと考えられ、血液やリンパシステムからは独立したシステムである。PVSの同定や採取や特徴づけは、PVSが非常に小さくまた視覚的に透明であることから、非常に困難であった。ここ10年以上にわたり、PVSは研究者の興味を解剖学的に、組織学的に惹きつけてきた。しかし、その線維が何をしているのかは依然として明らかとなっていない。

 

筋膜について

 筋膜は連続した粘弾性の線維で、機能的な3次元的なコラーゲン基盤を形成し、すべての筋および骨を包み、繋げ、全身の連続性を形成している。筋膜は頭からつま先まで全身のすべての構造体を包み、入り込み、部位によって学名を分けたり発展させたりすることを困難にしている。筋膜はヒトの体を形成する腱膜、関節包、筋内膜、筋周膜、筋外膜といった筋を包む膜といった様々な密度の結合線維シートを形成していると考えられている。筋周膜は筋を小束および筋線維束に分けている。筋内膜は各筋線維を包む。小さな筋膜線維は細胞膜自身とも繋がっている。

 すべての生きた細胞は細胞内に存在する細胞骨格へのテンションを生成することで先天的な収縮性を示す。筋膜もまた機械的なテンションを伝達する動的な役割を果たし、平滑筋様に収縮することができる。ヒトの腰筋膜は自律的に収縮でき、これは筋膜内に収縮性の細胞が存在すると仮定されている。筋膜に含まれている線維芽細胞は筋芽細胞に変体でき、α平滑筋アクチンの遺伝子を表現し、収縮するようなふるまいをしている。これらの細胞に機械的な力が加わると、サイトカイン合成や、細胞外マトリックス構造体の生成、線維のリモデリングに必要な様々なプロセスがコントロールされる。

 筋膜はからだ全体の連続的な基盤を形成し、すべての器官、筋、骨そして神経線維に侵入し、それぞれをつつんでいる。これは単一の器官であり、全体をつなぎ、ヒトの生理学的視点のすべてをつないでいる。

 

Primo-Vascular System

 PVSは1960年代にBong-Han Kimによって初めて報告され、血液、リンパに続く第3の管であると言われている。PVSは光学的に透明で、Bonghan corpuscle(膨らんだ部分)とBonghan duct(導管部分)といったいくつかの部分に分けることができる。(Bonghan corpuscle(膨らんだ部分)とBonghan duct(導管部分)については 

http://www.jams-kpi.com/article/S2005-2901(09)60020-0/fulltext こちらの論文のfigure2参照(青く染色されている)。)この構造はFujiwaraらによって追研究され、再度確認されている。不幸なことに、1960年代のKimの報告のすぐあとに、PVSの研究はその方法が明らかにならなかったことや再現することが困難であったことから、突如として行われなくなった。2000年代に入り、この研究は再度注目を浴びている。PVSはprimo node(PN: おそらくBonghan corpuscleと同じ)とprimo vessels(PV: おそらくBonghan ductと同じ)によって構成されると多くの描写がなされてきた。

 マウス、ラット、うさぎ、犬、豚、牛といった様々な動物の内臓の表面にPrimoの線維は見出されており、腸、心臓血管、脳、脂肪線維、血管やリンパ管の内側、神経上膜、坐骨神経に沿っての走行、皮下での報告がこれまでにみられている。LeeはヒトのPVSを上皮筋膜(?)と、臍帯の血管内側において観察したと報告している。PVSは免疫染色を行うことで、他の似たように見える血管やリンパとは異なることが証明されている。このことが、PVSは他の循環システムとは異なるものであると考えられる理由である。さらに、Sohはprimo nodeやprimo vesselは鍼の経点と関連し、PVSは経絡の延長であると述べている。PVSはほぼすべての哺乳類の器官に存在し、全身を通して高度なネットワークを形成している。これが伝統的な鍼の経絡の解剖学的な基礎と考えられている。

 PVSの構造を確かめるため、韓国、中国、アメリカの多くの研究室がSohによって考案されは方法でPVSを見出そうとした。腸瘤内のPVSは0.2%トリパンブルー染色で明らかにできる。しかし、この方法で全身すべてのPVSを明らかに出来るわけではない。腹腔のPVSの描出率は年齢や麻酔の方法等、様々な要因の影響を受ける。このことは、PVSは病理学的な過程に影響を受けることを示している。結論としては、PVSの描出は年齢やウレタン注入法に影響をうけるかもしれないため、PVSは身体に本来備わっている構造ではなく、炎症の過程と相関する病理的な生産物である可能性もある。

 PVSはまた癌と関連するとの報告もある。がん化しやすい環境は、癌のPVS形成のトリガーとなる。それは癌発生後や周囲だけでなく、同時にも存在する。Islamは癌を異種移植した筋膜周囲に、癌由来のPVSが存在する強いエビデンスを示した。そのPVSは関連する神経血管束に対応して出現する。癌関連PVSは、幹細胞に特徴的な、転写因子が高いレベルで表現される癌細胞由来の珍しい特徴を含む。PVSは幹細胞の憩室として重要な働きを果たしているかもしれない。加えて、PVSは原発性および転移性の癌と繋がり、癌細胞はPVSを通して転移することが示されている。PVSは癌の成長や転移にも貢献してしまうのかもしれない。PVSは、あた。癌の幹細胞の憩室ともなりうる。液体に浮いているPVSの位置は固定されておらず、器官内の固定されているPVSはまだ観察されていない。異種移植された癌と関連するprimo vesselやprimo nodeの起源は宿主となった動物由来だが、primo node内の組織球のような細胞は癌由来のものである。2000年代にはParkはprimo node内の休息と自発的な活動の可能性について初めて測定し始めた。この研究の後さらに多くの研究者がPVSの電気生理学的な特性について学び、primo vesselsとリンパ管から放たれている電気信号は異なっていることを明らかとした。小腸やリンパ管は物質を輸送するための活動を起こす。ニューロンは電気信号を変換する際にニューロンスパイクを発生する。PVSは平滑筋内と神経において異なった働きを示す。研究者達は、PVSははっきりとした方法で神経へとシグナルを伝達するが、小腸やリンパのように直接物質を輸送するのではないだろうと考えている。PVSは鍼のポイントや経絡の本体であると考えられている。

 依然として、生理学的な過程からPVSの特別な機能は明らかではない。報告があるように、PVSの構造は神経、血管といったよくしられたものとは異なっており、鍼のポイントや経絡と関連するだろう。内部臓器の表面にあるPVは、CV12への鍼に引き起こされる胃の運動性には影響せず、またST36への鍼引き起こされる胃の運動性の即通にも影響しない。この結果は内部臓器の表面にあるPVSの細分類に確かな根拠を示す。PVSの5つの細分類には複雑なネットワークがあり、最も重要なものは腸の運動性に関連し血管や神経に沿っている。内部臓器表面のPVSは幹細胞様の機能や免疫機能と深く関連する。PVSの機能的な側面は西洋・東洋両方の医学で研究されている。

 

Fasciology(筋膜学?)

 LinYuan教授によれば、経絡や鍼の経点には結合線維と非常に近い関連がある。VCHプロジェクトにおいて、我々は3DCTによる全身の筋膜の骨組みを再構築し、結合線維に富んだ領域をマークしデジタルモデルを確立したところ、経絡や経点の分布と大体マッチした。経点はほとんどが四肢の筋間中隔、神経終末が豊富な構造体や感覚神経の分布が豊富な内部臓器、内臓腸間膜といったある種の結合線維が豊富な部位に位置していた。身体の中でマークされた筋膜は、完全な体を形成する骨組みを構成し、それゆえに我々は筋膜のネットワークは経絡の解剖学的な基礎であると仮定した。

 私たちの仮説を理論的に説明するため、LinYuan教授は各胚の発生仮定や筋膜の発生といった発生生物学について検査した。筋膜のネットワークは、様々な器官やシステムに分化した後の残りの間充織由来であった。単胚葉生物の細胞外マトリックス、2胚葉生物の間充ゲル(海綿動物腔腸動物外皮内皮の間に存在するゲル状物質)、3胚葉生物の間葉、ヒトの体の特別でもない結合線維、これらすべては異種同源の構造である。(各胚葉生物についてはこちらhttps://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024004940.jpg)ヒトの体において、結合線維は細胞の隙間を補完し、細胞の増殖、分化、修復、再生によって内在環境の安定性を維持している。我々は動的な視点から解剖学的なアプローチを設立し2システム理論を提供する。この理論では、ヒトの体は2つのシステムに分割することができる。1つは支持性の格納システムで、分化していない結合線維により構成される。もう一つは機能的なシステムで、様々な分化した機能的な細胞により構成される。この理論に基づいて、我々は新しい研究エリアfasciologyをさらに探索できる。このfasciologyの用語はTCM理論の生物医学的起源を示している。Fasciologyに従えば、ダーウィンの理論の生物学的な欠損の軸から黄帝紀元の生命軸の理解までといった、現在の生物医学的研究を2次元のものからより複雑な3次元的理解へと進めることができる。

 

2システム理論

 2システム理論は、結合線維内の未分化細胞と一致する保存された支持システムと、様々に分化し支持システムに囲まれた機能的システムからなる。支持システムの未分化幹細胞はコンスタントに機能的細胞へと分化する。体中の支持システムは分化した細胞の機能性や生命活動を制御し、生きるための安定した環境を提供する。この視点において、我々は規律的な解剖の分解に対して新しいアプローチを進められる。2システム理論に基づいた規律的な解剖は、筋膜の解剖で、ヒトの体を長いライフサイクルの中でどのように器官が生きているかといった視点から勉強するため、これまでの解剖学的な構造や機能を学ぶ領域的な解剖とは異なるものである。

 

 

筋膜の解剖

 筋膜の解剖は解剖学の新しい考え方である。この解剖では、身体の構造を支持システムと、伝統的な機能的システムに分類する。この視点はまた、単細胞生物から高度な哺乳類まで、すべての生きた器官に適応できる。これは単純なものから複雑なものまで、進化の過程の形態学的変化の研究である。これはまた、支持システムの進化を通じて、どのように器官は長い生命スパンの中で維持されるのかを調査するものである。

 筋膜の解剖の研究は2システム理論に基づいた器官の構造の研究である。筋膜の解剖は、伝統的な領域の解剖やシステマティックな解剖とは異なるものである。領域的な解剖ではヒトの局所的な構造のみを、システマティックな解剖では形態学および機能的な基礎のもとにヒトの体を研究している。筋膜の解剖は3つめのパラメーターとして時間を組み入れ、身体の機能や構造だけでなく、進化や胚の発達過程の形態学的な変化も研究する。ここでは、例えば霊長類の器官が、どのように中胚葉からの支持システムの進化を通じて長い生命スパンを維持しているかを調査する。そのため筋膜の解剖は科学者に、すべての細胞と器官が支持システムと機能的システムの相互作用を通じてその正常な構造を維持するという動的な視点から解剖を研究することで、ある器官の生物学的なエッセンスをより深く理解させる。

 言い換えると、筋膜の解剖は死の解剖から生きた解剖へと解剖の研究を変化させる。支持システムがひどくすり減らされると、体は死んでしまうだろう。ろうが少なくなると火が消えてしまうのと同じように、ヒトの体もそうである。

 

経絡と筋膜の関連性

 経絡とそれに付属した理論はTCM(特に鍼灸、マッサージや太極拳のような伝統的な格闘技)の基本的な柱である。経絡は経点の糸で、体中のエネルギーの流れの通路として視覚化できる。鍼刺激の解剖学的な基礎は筋膜(筋間中隔)で鍼の回転に対して強い生物学的な情報を発生する。そこで発生する生物学的な情報が、経点か経点ではないかの違いは量的なもので、質的なものではない。似たように、中国の薬草は筋膜の上皮基底膜の微小循環や浸透性を改善することによって機能的細胞の再生と活動を制御する。

 筋膜は結合線維の特性を形成する特殊な細胞、基底質、線維タイプをもつ。細胞レベルでの筋膜のより深い理解は、その機能的な特性に見識を与える。筋膜内の細胞には、線維細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞)、脂肪細胞、様々な白血球が含まれる。コラーゲンや基底質の筋膜のネットワークは線維細胞によって維持される。線維細胞は間質の液性のボリュームや圧、細胞外分子の構造を調整する。これは機械的シグナル伝達を通して機械的なストレッチに応答する。Langevinは生体内での機械的シグナル伝達のメカニズムを明らかにし、機械的なストレスが細胞に形態学的な変化をもたらすことを明らかにした。Barnsは、筋膜リリースを行なった際にその反応は90-120秒以内に感じられるため、観察された機械的な治療の即時効果を説明するには、機械的ストレスの変化によるマトリックスの適応というのはどうやら発生するには長すぎると報告した。線維細胞は傷の治癒の際に観察されるように機械的なテンションを通して筋線維芽細胞へと形態を変化させる。しかしながら、筋線維芽細胞は筋膜の通常の構造で、筋上膜や筋周膜内にも観察される。これらの細胞の収縮する性質は、治療の際の短い時間で収縮したり弛緩したりすることで、線維のテンションを変化させる能力をもつ。

 Steven Finandoは鍼を再考し、筋膜の鍼治療の活動の際のメカニズムを仮定している。筋膜はまた複雑なコミュニケーションネットワークとして考えられており、すべての筋、器官、血管、神経によって影響をうける。Langevinは筋膜はメタシステムで、他のすべてのシステムをつなぎ、影響を与えると述べている。この視点を盛り込むことで、我々のヒトの生理学に対する理解の核心部分を変えることができる。持続的なテンション下にある筋膜細胞の細胞骨格は、筋膜システムを通して機械的な力を伝達することができる。細胞骨格に加わる力は機械科学的な伝達によって細胞レベルで生化学的な変化をもたらす。Guimberteauは線維の複雑なフラクタル構造を示し、どのように動き、適応し、なめらかにし、治癒するのかを示した。フラクタルについてはこちら(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB)筋膜は、私たちの中で最も豊かな感覚器官で、4つのタイプの感覚受容器をもつ。血管、神経、リンパシステムはすべて基底質に終末し、末梢からの情報も基底質に栄養を送る。鍼はヒトの生理学のすべての視点とつながり、影響するメタシステムの概念に基づいていることは興味深く、非常に重要である。筋膜システムはメタシステムの解剖学的な基礎を提供する。

 鍼治療の針は結合線維の形の崩れを引き起こし、結果として線維芽細胞の機械的な刺激から細胞の形の動的な変化とプリン作動性自己分泌シグナルを出す。結合線維のストレッチに対する応答という生体機械的なふるまいは、一般的に分子の構成と細胞外マトリックスの組織の特性である。また、線維芽細胞は結合線維のテンションを調整する活動的なふるまいをすることも明らかとなっている。線維の静的なストレッチに対する応答として、細胞骨格を再構築することで数分以内に線維芽細胞は膨らむ。この線維芽細胞の形態の動的な変化は線維のテンションの低下に貢献し、粘弾性の低下をもたらす。

 PVSは新しい循環のシステムで動物全身に張り巡らされたネットワークを形成する。Bong-Kimはこの新しい解剖学的な管を、経絡のprimo vesselとして見出し、その分布は経絡を反映していると提唱した。Dr.Sohの観察によれば、PVSとPNの組織学的構造はコラーゲン線維や弾性線維に富んでいる。これらの線維要素はコラーゲンや弾性線維を連想させる糸のような構造によって構成される。豊富な結合線維があるため、生体内では管やnodeは非常に弾性に富んでおり、自発的にぐるぐる巻き付く傾向がある。結合線維は鍼刺激によって引き起こされる機械的な刺激の運び屋となる。Kim教授の概念によれば線維の細胞のすべての核は、各器官のprimo vesselと繋がりを持っている細い末端下位導管と繋がりをもつ。鍼治療は外の線維細胞を通して、外のPVSやPNを刺激することによって器官の機能を調整する。報告されているように、線維芽細胞と白血球はラットのPVSの中では2つの細胞タイプになる。PVSの機能として一般的に提唱されているのは神経伝達物質のホルモンの通り道であったり、液性を含んだ微小細胞のような幹細胞や幹細胞の分化に関連した蛋白循環の通り道であったりする。Primo-vesselを通して癌が転移するというエビデンスも存在する。さらに、PNやPNSは鍼の経点と関連し、PVSは経絡の延長にある。鍼刺激と器官の反応の間のPVSの機能的な繋がりを説明するだけで、PVSが経絡の基礎となりうる。そのため鍼治療とPVSとの比較は難しくはないものの、今だ霧の中である。PVSは新しく、そしてはっきりとした構造であることはデータによって示されているが、その特性についてはまだ発達するべきである。我々は経絡に関連したPVSの機能にもっと注目すべきである。器官表面のPVSの研究では、それらは鍼治療には関わらないが、皮膚や外側のPVSに関する更なる研究がなされるべきである。

 PVSは筋膜の結合線維から派生し、発生的に中胚葉が起源と考えられている。PVSは経絡やTCMの針刺激と関連する解剖学的な構造である。経絡は筋膜の一部と考えられ、fasciology理論では一般的に針刺激の生理学が説明に用いられる。しかし、神経再生と鍼治療に関してのPVSの機能はまだ研究されていない。FasciologyとPVSに対する深い研究がTCMの研究に明るい未来をもたらすだろう。

 

 

 

以下、個人的考察

とにかく長い・・・んで言ってることは繰り返しで・・・

前回の記事にも書きましたが、PVSに関しての論文が中国、韓国がほとんどっていうのはどうなんでしょう。

細胞骨格やシグナル伝達についてはたまたま研究していた内容なので比較的わかりやすかったですが

 

とにかく外部からの刺激で結合線維が反応し、組織学的にも変化して体は作り変わっていくってことですかね。

PVSに関してはあまり深追いしないようにします・・・

 

primo-vascular system

旅行中ネットがつながってないかもしれないので、今のうちに・・・

 

primo-vascular systemについて。

 

日本語に該当する訳語はなさそうですが、

primo  第一の とか 最高の

vascular  導管の

system システム

 

血液でもないリンパでもない新しい循環システムなのだそう。

そして筋膜と同様に体中のすべての器官に張り巡らされ、隅々まで入り込んでいるとのこと。

 

いま注目を浴びている新しい解剖学的概念なのだそう。

 

この論文を見たとき、これは新しい!!!来るね。

と思って、論文を検索し片っ端から読んでみよう!と思ったところ

pubMedで約80件の論文がヒット!

 

 

 

 

 

しかしそのうちの78件くらいは中国と韓国の論文・・・

 

うーん。

アメリカとかヨーロッパでの論文が全然出てこないとなるとどうなんだろう・・・

 

とりあえずいくつか読んでみて、書いてみようかと思います。

そして今気づいたのですが、今回記事にしようと思っていた論文を職場に置いてきてしまったようですΣ(゚Д゚|||)

 

うろ覚えの部分を書いていくと

 鍼灸の経絡とリンクする部分が多い

 目には見えないサイズで張り巡らされているため、これまで研究が難しかった

 シグナル伝達と関わり、DNA微粒子(?)の役割をもつ

 機械的な外力から細胞の再生、リモデリング等身体の応答に関わる

 

・・・あまりはっきりせずすみません。次回しっかりと書きますm(_ _)m

 

あと、読んでて思ったのは、毛細血管とは違うの?といった感じでした。

 

画像でみると

下記ページの中ほど、右側の画像の糸のようなものとか

Primo-Gefäßsystem – Psiram

 

p15の左の画像のBHDと記載されているもの

https://www.cecity.com/aoa/jaoa_mag/2016/jan_16/12.pdf

 

がprimo-vascularなのだそうです。

 

ひとまず読んでみて、信頼度がどの程度あるか・・・

 

 

 

なんとなくメモ代わりに始めたこのブログですが、

毎回約20人くらいの方が身に来てくれてたようなのですが

前回師匠がfacebookでシェアしてくださったところ、

一気に700人オーバーの方が!!

 

師匠の力、恐ろしや・・・きっとその気になればわたくしめなど海の藻屑です。

 

これまでの記事では、ここはいいかなーとか、ここは繰り返しになっちゃうなーって部分を結構端折ってたのですが

多くの方がみて下さっているならもう少し忠実にやっていこうかと思います。(あくまで思うだけです)

 

次回、fasciaとprimo-vascular systemに乞うご期待下さい

 

中枢性めまいに対する椎骨脳底システムのCTアンギオ

Vertebrobasilar system computed tomographic angiography in central vertigo

Pasaglu L    2017  

(筆者は医師で放射線技師らしいです。なので画像の撮影についての話が多いです)

 

概要

 めまいの発生率は人口の20-30%と言われ、その1/4のケースは中枢性のめまいである。本研究の目的は断層撮影血管造影法(以下CTA)を用いて脳梗塞ではない中枢性のめまいにおいて、椎骨脳底動脈システムを見出すことである。

本研究ではめまいの患者さんに対してCTAやMRIを用いて評価した。既往歴、身体検査、耳科や神経学的なテストから、中枢性めまいの疑いのある129名の患者(MRI脳梗塞は否定)が本研究に参加した。コントロール群として、めまいは無いが似たような脳血管疾患のリスクファクターをもつ120名の患者が参加した。椎骨動脈と脳底動脈の直径、形成不全、椎骨動脈の出口側の変化、椎骨脳底動脈のねじれ、50%以上の狭窄の有無がすべての患者において検査された。

 めまいのある群では、椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄が高頻度でみられた。めまい患者のうち78名(60.5%)に50%以上の狭窄があり、そのうち54名(69.2%)はV1に、9名(11.5%)はV2に、2名(2.5%)はV3に、13名(16.6%)はV4に狭窄がみられた(V1-V4の分類は後述)。めまい、コントロールの両群において脳底動脈の形成不全と50%以上の狭窄の保持率は同程度であった。

 

 

 

めまいの発生率は20-30%と言われている。耳科的要因、中枢、体性感覚、視覚の要因が目眩の原因となり、中枢性のケースは1/4である。半器官、球形嚢、卵形嚢と前庭神経が末梢の前庭システムを形成する。前庭核、小脳、大脳脚、脊髄、前庭皮質が中枢の前庭システムを形成する。中枢性のめまいは、失調や構音障害、複視や視覚障害弱視といった神経学的な症候を伴う。中枢性めまいは、既往歴、神経学的なテストや画像診断によって末梢性のものと区別することができる。中枢性のめまいによくある原因として、椎骨脳底動脈の機能不全、脳卒中、一過性脳虚血、偏頭痛、多発性硬化症、後頭蓋窩腫瘍、神経変性疾患、薬物、精神状態等があげられる。

 小脳や大脳脚に関連する中枢性の目眩はMRIを用いた多くの研究で示されている。しかしながら、梗塞ではない中枢性のめまい患者に対して、CTAを用いて椎骨脳底動脈の変化を調査した研究は無い。CTAとMRAは椎骨動脈の50%以上の狭窄を見出すのに高い感度と特異度をもつ。本研究では、脳卒中のない中枢性の目眩を椎骨脳底システムに対するCTAから調査することである。

 f:id:kami_12483:20170423200448j:plain

V1・・・椎骨動脈の根元からC5,6頸椎の横突孔まで 

V2・・・C5,6の横突孔からC2まで

V3・・・C2横突孔から硬膜まで

V4・・・硬膜から脳底動脈になる合流地点まで

 

結果

全249名、うち129名がめまいあり群(36-85歳, 平均59.8歳)、120名がコントロール群(31-81歳, 平均62.2歳)であった。

 右の椎骨動脈の平均径

  めまい群3.72±1.15mm コントロール群3.94±0.9mm

 左の椎骨動脈の平均径

  めまい群3.97±1.1mm コントロール群4.18±0.8mm

  脳底動脈の平均径

  めまい群3.33±0.6mm コントロール群 3.44±0.7mm

それぞれ、めまい群の方が平均径が小さかったものの、統計的には優位差はみられなかった。

 

椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄については、めまい群で明らかに高かった。78名のめまい患者には50%以上の狭窄があり、54名(69.2%)はV1に、9名(11.5%)はV2に、2名(2.5%)はV3に、13名(16.6%)はV4に狭窄がみられた。

解離性動脈瘤、線維筋過形成は両グループでみられなかった。めまいのある8名は50%以上の狭窄を伴う椎骨動脈の形成不全がみられた。8名のうち5名には経皮的血管形成術やステント留置が行われ、3名は血管内治療は希望しなかった。コントロール群では形成不全や狭窄は認められなかった。78名のうち5名は両側の狭窄があった。

 左の椎骨動脈は動脈弓から出るが、めまい群では9.3%、コントロール群では7.5%が鎖骨下動脈から出る変異がみられたが、統計学的には有意差はみられなかった。

 めまい群では9名はV1のねじれがあり、17名は脳底動脈のねじれがあった。コントロール群ではそれぞれ8名、13名で統計学的な有意差はなかった。

 

 

考察

 椎骨脳底動脈疾患の最も多い原因はアテローム動脈硬化である。椎骨・脳底動脈の狭窄はアテローム動脈硬化の2次的なもので、椎骨脳底動脈の機能不全と後方への循環障害をもたらす。めまい、失調、構音障害、複視、視覚障害が椎骨脳底動脈の循環障害でみられる。本研究では、めまい群においては椎骨動脈の形成不全と50%以上の狭窄が原因として考えられた。1側の椎骨動脈が正常な循環をしていれば、脳底動脈へは十分に供給できるが、もし両側の椎骨動脈の狭窄や閉塞がある場合には何か介入が必要である。薬、血管内、外科的な治療があり、薬では抗血小板療法や抗凝固療法が考えられる。外科治療は技術的に難しいためあまり考えられない。

アテローム性動脈狭窄は椎骨動脈起始部にもっともよくみられる。椎骨動脈の頭蓋内部分においては、狭窄は椎骨と脳底の結合部に最もよくみられる。他によくみられる部分としては、右の後下小脳動脈の分岐部前で硬膜侵入部の遠位である。椎骨動脈起始部の狭窄のある患者は、椎骨脳底動脈の虚血性疾患に高いリスクをもつ。

 椎骨・脳底動脈狭窄疾患では、TIA脳卒中がみられたり、TIAや微小梗塞後の梗塞のリスクが高くなったり する。ある研究では、椎骨動脈の狭窄があり、椎骨脳底動脈由来のTIAや微小梗塞のある患者では1ヶ月以内の脳梗塞のリスクが30%あることが明らかになっている。

 本研究では、めまいの患者では椎骨動脈の形成不全がよくみられた。他の文献では椎骨動脈の形成不全と後方への循環障害が脳卒中と高い相関があることが報告されている。本研究で脳卒中がないにも関わらず、めまい群で椎骨動脈の形成不全がみられた点が非常に重要である。椎骨動脈の形成不全は、小脳や大脳脚の血流不全からめまいを引き起こす。椎骨動脈の形成不全があると、脳底動脈の形成不全もある可能性が高いことが報告されており、これも後方循環の虚血をもたらす原因となる。1側の椎骨動脈が正常であれば脳底動脈の血流は保たれるであろうが、両側に問題があったり、1側の形成不全と反対に狭窄があれば後方循環の十分な血流が阻害されてしまう。

 これまでに、脳底動脈の狭窄がめまいの発症と関連があるだろうと報告されていたが、本研究ではその可能性は低いことが明らかとなった。近年では、椎骨動脈や脳底動脈のねじれが、めまいとの関連があると報告されている。椎骨動脈のねじれは、頭の位置を動かす際の機械的な圧により引き起こされ、結果として虚血をもたらす。脳底動脈のねじれが、閉塞やアテローム動脈硬化症の原因となり、ねじれた血管の遠位への血流を阻害することが報告されている。本研究ではめまい群とコントロール群にねじれについては有意差はみられなかった。

 めまいの診断は難しいが、詳細な患者の既往歴、身体検査、神経―耳科学的なテスト、画像診断が有用である。深刻な急性めまい症のケースでは、MRIによる後頭蓋窩梗塞の検出が有用で、前庭神経炎と鑑別することができる。造影MRAでは、心パルスや呼吸によるアーチファクトから椎骨動脈起始部の偽狭窄を描出してしまう。CTAではこのアーチファクトの影響を受けづらいため、我々はCTAをお薦めする。

 

 

以下個人的な考察

考察が結果とほとんど一緒で考察じゃない気が・・・

 

 

以前に金沢へ教えに来てくれたアメリカのPTの話では、

アメリカではめまいに対して理学療法士が徒手でアプローチするらしいのですが

日本では耳鼻科の先生がやってますね・・・

 

私もアプローチの1つとして、頸椎へのアプローチ(もちろん評価あってですが)を行うことがあります。

上位頸椎ばかり重要視していましたが、めまい群ではV1の狭窄が多いとのことから

胸郭〜C5,6へのアプローチも大事になりそうですね。

 

来週は旅行先からの更新になるので更新できるか不明です(つд⊂)

足底の皮膚受容器の役割

 

The role of cutaneous receptors in the foot

2002  Inglis JT, Kennedy PM, Wells C, Chua R

 

 

概要

 前回のブログに記載した論文の元となった論文です。(ちょっと古いです)

 足底の皮膚受容器はヒトの立位と歩行のコントロールに貢献すると考えられる。足底のレセプターの特性を確立するため、2つのアプローチが行われた。若年および年配の人々の非荷重の足底での、精神心理学的振動触覚の閾値(25Hz-400Hz)が決められた。閾値は母趾球・小趾球部分とアーチ部分で低く、踵とつま先領域で高かった。老年の人々は特に高い振動数への閾値の上昇がみられた。2つめに、非荷重下の若い人々の皮膚求心性情報から微小神経電図が作成された。結果としては、足底と手の皮膚には似たようなタイプの皮膚受容器があったが、その濃度と分布には違いがみられた。我々の結果では、足底の皮膚からの求心性入力は姿勢や歩行のコントロールに役立つことが示された。

 

 

 ヒトの姿勢を直立位に保つのは体性感覚、前庭、感覚情報が複雑に絡み合った感覚運動システムで、全ての情報が立位や歩行をコントロールしている。これらすべての入力の統合が立位の最適なバランスのコントロールに繋がることに疑いの余地はないが、下肢からの体性感覚情報は、より強力な役割を果たしていると考えられている。この体性感覚情報の元となるはっきりとした要因についてはまだ議論の余地があるが、近年では足底の皮膚受容器が重要な働きをしているというエビデンスが集まっている。いくつかの視点からの研究がこれを支持している。足底を冷やし、足底からの皮膚感覚情報の入力を減らすと静止立位時の姿勢動揺が増加することが示されている。前庭への電気刺激の後引き起こされる姿勢の動揺は、足底を冷却した際の姿勢動揺に似ている。最終的には、突然の外力(床面の動きとか)に応じる代償的なステッピング反応もまた足底の支持面の情報の減少に劇的に影響を受ける。

 足底の皮膚情報の減少は姿勢の不安定性に関連するが、足底の皮膚への低振幅の振動(0.2-0.5mm, 20-80Hz)は直接的に特別な姿勢動揺をもたらす。例えば、両側の中足骨の足底側への振動刺激は後方への動揺を引きおこす。興味深いことに、姿勢動揺の幅は振動刺激の周波数に影響され、皮膚への高周波の振動刺激はより広い範囲の動揺を引き起こす。Mergnerらの近年の研究(2001)では、正常な姿勢動揺の範囲にある足底皮膚への機械的な刺激は皮膚刺激に高い相関のある動揺を惹起することを発見している。

 

 上記の研究は立位バランスにおける皮膚情報の重要性を示しているが、足底から入手される情報の性質と種類における我々の知識はほとんどが間接的なエビデンスに基づいている。足底からの皮膚求心性情報は「圧のマップ」として足底圧の変化をコードすることができるというのは必然であるようだ。このマップは感覚の配列のようにモニターでき、圧の変化は立位や歩行時の足底を横切る足底圧の動きと遭遇する。足底の皮膚への振動触覚刺激の閾値の研究は少ないものの、足底の領域での違いを見出し、こうしたマップが存在することをほのめかしている。しかしながら、2足での立位における皮膚機械受容器のさらなる役割を評価するには、ヒトの足底の皮膚における感覚受容器の分布と働きを理解することが重要である。末梢神経の皮膚求心情報の微小神経図の記録は様々な刺激に応答する皮膚受容器の機能的な特徴をダイレクトに解析する。しかしながら、こうした微小神経図を下肢にもちいた研究は限られており、またこれらは子牛の有毛部の皮膚を検査しており、無毛部の皮膚は足底の外側面に限られている。結果として足底に特徴的な機械受容器の特性、分布、領域のバリエーションや密度や反射特性には何の情報もない。

 足底の皮膚求心情報の潜在的な貢献や、この領域が姿勢のコントロールに役に立つ情報を潜在的にコードするかどうかを理解するために、2方向の研究が行われた。1つめは、様々な振動周波数をもちいて足底の55箇所において振動閾値を調査し、足底に感覚のマップが存在するかどうか、感度の領域ごとの違いを確立した。2つめは若年と老年の人々を対象として、皮膚振動閾値が加齢によって高くなるのか、そしてこれは姿勢の不良や高齢者が転倒しやすいことと関連があるのかを調査した。2つめの研究では、足底にはどんなタイプの受容器があるのか、その分布はどうなのか、物理的な活動閾値はどうなのか、受容範囲の性質を明らかにするため、微小神経図の記録が足底の皮膚求心情報から作成された。

 

 

方法と結果

 検査はすべて背臥位で、右の足首をニュートラルに保ち、非荷重の状態で行われた。

検査1

 振動刺激が55箇所に与えられた(図参照)。それぞれの箇所に25,50,250,400Hzの4種類の周波数の振動が与えられ閾値は振動強度を漸増および漸減させていくことで調べた。

検査2

 膝窩の部分で脛骨神経にタングステンの微小電極が挿入された。神経の求心路(感覚神経?)を同定し、足底への刺激からSA1、SA2、FA1、FA2の分布を明らかにした。

 

図1の55箇所は7つのグループに分けられた

A:つまさき B:母趾球と小趾球のレベル内側 C: 母趾球と小趾球のレベル中間 

D: 母趾球と小趾球のレベル外側 E:内側アーチ F:外側アーチ G:踵部

 

 

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閾値の高い順からAGDFCEBとなった。これは4つの周波数すべてで同様であった。

しかし、年齢での閾値には一部違いがあり、25Hzは同じだが50,250,400Hzの閾値高齢者で高値であった。

(SA1-FA2の各受容器の分布は前回の記事参照)

皮膚ストレッチの方向に対して、SA2の発火には劇的な違いがみられた。

 (外側へのストレッチに対して受容器の発火が強く、長く続いている)

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考察

 ヒトの足底の振動触覚刺激の閾値は領域によって明らかに異なり、また周波数のみに依存しているのではないようである。手においては指先が最も閾値が低いが、足においてはつま先部分が最も閾値が高かった。これは受容器の分布の違いもあるが、部位によって受容器の閾値にも違いがあることが考えられる。加齢によってFA群の閾値が上昇し、反応が遅くなることが考えられる。

 微小神経図では、足底の領域によってバリエーションがあることは、受容器の密度の違いのみによるのではないことが示された。閾値や受容領域のサイズは手で示されているものよりも足の方がはるかに大きく、領域によってバリエーションがあるのは受容器の分布よりも各受容器の反応特性によるものである可能性が高い。高齢者では皮膚も固くなり、受容器の機能も変化するため、若年者とは反応が異なることが考えられる。

今後は荷重下での違いについての検討が必要である。

 

 

以下個人的な考察

まず思ったのが、考察みじか!

色々と結果があるのに、考察がこれだけとはもったいないというかなんというか・・・

 

足の領域で受容器の分布が異なるのは前回の記事通りで、おそらく部位によって機能は異なるのでしょう

 

外側への皮膚のストレッチに対して受容器が強く発火するということは

荷重下では足に対して重心が内側へ動揺する際に強く反応する

→重心が内側へ行かないようにコントロールしている??

扁平足になる人はこの受容器の働きが低下しているとか・・・?

SA2なので50Hzの振動を入れてやれば扁平足予防になるのか・・?

 

趾先で閾値が高いのは・・?

AGDFで高いということは、足底の荷重部、歩行時の重心移動の線が通るところの閾値が基本的には高い

でも母趾球部分の閾値が低いのがよくわからない・・・

ここは全くわからん・・とりあえず母趾球に触れるのは土踏まず同様に要注意なのかな

 

レセプターがほとんどない(前回記事より)土踏まず部分の閾値が低いってのも不思議!部位によってレセプターの閾値が異なるのが要因でしょうけど

 

足を触る際には部位によって少し強さを変える必要があるのかも

 

うーん!疑問ばっかり

色々と読んで、臨床での変化を見ていけば解決していくだろうか・・

足の感覚、バランス、固有受容

Foot Sensation, Balance and Proprioception

2015 Kafa N

 

概要

 皮膚の機械受容器は足底に広く分布している。足底の機械受容器の主要な役割は外的環境からの刺激に応答することと考えられる。しかしながら、これらの機械受容器はしばしば姿勢のコントロールのための固有受容の情報を中枢神経系に提供する。ヒトの姿勢は視覚、前庭、固有受容器からの情報のみでコントロールされるのではなく、これら足底の皮膚感覚受容器からの体性感覚情報も含まれて維持される。機械受容器は足底に接する圧の詳細な情報や、身体が順応する変化の情報を提供する。加えて、足底の皮膚の求心性情報は足首の動きの方向をコードする神経細胞集団の方向を確かにし、空間における体の認識やヒトの姿勢を直立位に保つことに貢献する。それゆえ、足底の皮膚の求心性情報は固有感覚入力に加えてバランスの調整に貢献することが考えられる。

 

 

足底の感覚について

 触覚はタッチ、圧、さらに振動といった複雑な感覚を複合したシステムである。感覚のレセプターは皮膚の存在し全身を多層に被っている。

皮膚は3つの型に分けられる。

 1 無毛の皮膚(てのひら、足底)

 2 有毛の皮膚

 3 粘膜皮膚

これらの皮膚はそれぞれ感覚受容が異なる

 

機械的な刺激が皮膚表面に加えられると、皮膚内にストレスやねじれを生じさせる。皮膚に刺激を起こす3種類の機械的な妨害がある。1つめは圧縮できない剪断の波と呼ばれる。これらの波は皮膚の表面にある刺激に関しては斜めに流れる。2つめは線上の圧縮された波で、皮膚表面の刺激に関しては普通に流れる。このタイプの刺激では、ストレスやねじれは真皮に存在する機械受容器に伝達される。3つめの波は刺激のポイントから離れて体の表面を広がる。この刺激の波は、皮膚刺激を加えた点から離れた位置の機械受容器を活性化する。

 

SA1 SA2 FA1 FA2の分類(過去のブログ参照)

Type1は皮膚の浅層にあり、type2は深層にある

FA1 マイスナー ライトタッチに反応

FA2 パチニ  振動刺激に最も反応

SA1 メルケル 

SA2 ルフィニ 

顔にFA2は無い。

 

足底の皮膚受容器の分布は手のものとは異なる。足底には104の機械受容器がみつかっている。

 SA1 15 (14%) 

 SA2 16 (15%)

 FA1 59 (57%)

 FA2 14 (14%)

SA1と2の分布は似ている。

足底に広く広がった受容器の分布から、地面に対する足の位置を、コンタクトの圧からコードしていることが考えられる。足底の、荷重下で体重の大部分を支えることになる部分にはレセプターの集合がみつけられ、本来床とコンタクトしない縦アーチにはレセプターはほとんど存在しなかった。(図参照)

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非荷重の状態では、足底の皮膚のすべてのレセプターがバックグラウンドでの活動が無くなった。このことから、レセプターの活動には足底が支持面にコンタクトしていることが重要であると考えられる。また、足底に広く広がる機械受容器はコンタクト圧から床面における足のポジションをコードしていると言える。

 

姿勢制御について

足底からの感覚情報は姿勢制御に大きく関わる。

太い線維Aαは筋束やゴルジ腱器官からの情報を送り、細い線維Aβは足底の皮膚受容器(メルケル、パチニ、マイスナー、ルフィニ)からの情報を送る。しかし、筋束やルフィニ、パチニ関節受容器はAβに影響をうけることから、Aβが触覚と固有受容感覚の両方をコントロールしているといえる。Aβの線維はAαよりも立位のコントロールには重要な情報を送っているようである。さらに、機械受容器内で比較すると、メルケルとルフィニ(SAの受容器)はマイスナーやパチニ(FAの受容器)よりも立位のコントロールには重要である。これはPerryらによっても支持されており、メルケルとルフィニは静止立位ではキーとなる働きをもつと述べている。

足底感覚は足底の圧分布と比例する。皮膚の機械受容器(特に圧変化を受容するSAの受容器)は機械的な振動に非常に関連性が高い。足底の支持基底面の圧の変化は姿勢の反応を変化させる。それゆえ、ある足底のエリアへの振動刺激は、実際に体を曲げて圧を変化させた時と同じように部分的な圧を増加させる。健常者では、足底の圧は歩行時や立位持の足底への感覚入力の変化に呼応して修正される。しかしながら、足底感覚が減少したニューロパチーの患者さんでは異なった圧分布をしている。このことは、足底の圧感覚の低下が姿勢のコントロール不足をもたらすことを示している。Kavounoudiasらは、前足部への振動刺激が体を後方へ傾け、両側の踵への刺激は前方へ、1側への足の刺激は外側へ傾けるということを報告している。

 触覚求心性情報による下肢筋の反射調整がSherringtonによって提唱された。足においては、反射は足のコンタクトの情報(FA1機械受容器由来)と支持面における足のコンタクト(SA1機械受容器由来)に関連する。これらは歩行サイクルの周期や姿勢のコントロールを手助けする。

 

 

以下、個人的な考察

昔、師匠が土踏まずをさわると腹圧が落ちるって話をしてくれたのだけど

土踏まずにはレセプターが存在しないこと(刺激点から離れた点でも受容できるとのことから、感覚はあるのだろうけど)が関係しているのだろうか。

足底への刺激が姿勢制御に関わるので恐らくは何か関係してるのだろうけど。

 

FA2が第3趾に多いのはなぜなんだろう・・・

わからんことが多いです。

 

もうちょっと考察を詰めれたらなぁと思いつつ

そのうち慣れてくるかなぁ